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40泊目 もふもふ依存症

「ダンジョン内で眠る、ってやっぱり嫌なものだったかな? 大丈夫かな?」


 見つけた冒険者の死体を聖水で清めて埋葬した後、ミュウが不安そうな声を出した。

 その声に対し、ニュウは悲しげな顔をして答える。


「そうは言いましても、あの方は冒険者が持っているはずのドックタグも持っていませんでしたからねぇ……。身元が一切わからない分、僕たちにできることはあれくらいしか無いですわ」


 旅の道中、冒険者の死体と出会うことは珍しくないが、そのたびに辛い気持ちになるのは毎回だ。

 慣れる、ということはない。

 祝福を受けられるレベルの死体が見つかった場合は、どんなダンジョンにいても探索を切り上げて教会へと運ぶのだが、手遅れのことも多い。


「治安が悪い地域だと、出会った冒険者を瀕死にさせて行き倒れを助けた、というていにして教会からの謝礼金を貰っていくヤツとかもいるらしいぜ。さすがにエルソド地区ではそういうこともないようだが、それを稼業にしてる悪党もいる、ってわけだ。」


 オイゲンの言葉を聞いて、エルがどんどん青ざめていく。


「わ、私も以前ダンジョンで大変な目に遭いましたが、その時のことを思い出すだけで……あうあうあう……」


 目に涙を溜めながらも、マンドラゴラの漬物を絶えず口に運んでいるエルの姿はなんだかシュールだ。

 そんなエルの頭を撫でながら、俺は言ってやる。


「大丈夫だ。エルには俺たちがついている。そして、俺たちは全力でエルを守る。今となってもう、運命共同体ってヤツだ。とっととエルが目指すアイテムと、その他のお宝も入手して、クロエとユキチさんに出迎えてもらおうぜ!」


 そうエルに言い聞かせながら、俺の頭の中にはふかふかのお布団、温かい温泉、そしてふわふわのユキチさんが浮かんでいた。

 そろそろユキチさんをモフモフし、腹一杯に吸わないと禁断症状が出てきそうだ……!!

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