37泊目 連携&連携
「ゴアァァァァァァァァァァァッ!!!」
何者かによる物凄い声量に、突風が巻き起こる。
何事か、と振り返るとそこには軽く3メートルはあるであろう一つ目の巨人ーーヴァロールがいた。
「ちょ、ちょっと待って、結界陣があるのにこっちを認識してる!? どういうこと!?」
ミュウが手に持ったお椀を投げ出して叫ぶ。
「まさか……僕の結界陣のレベルが……足りてない? 結界陣には自信があったんですけど、ごめんなさい……! このヴァロールには……効かない!」
「後ろは滝壺。前方にはヴァロール。絶体絶命ですわね」
双剣を構えたニュウが唇を噛む。
「このヴァロールは、親ヴァロールみてぇじゃねぇか……。でも、やるしかねぇよなぁ!!」
オイゲンがヴァロールの目を狙って弓を射る!
弓矢は見事命中し、相手は怯んだ。
「アタシに……任せてッッッ!!!!」
ミュウは戦斧を頭上から振り下ろし、ヴァロールの膝に重い一撃を喰らわせ、疾風の如く相手の後ろに回り込んだニュウもそれに続く。
「死になさい」
ヴァロールの腱に素早く双剣を刺し、斬る。
俺は体制を崩したヴァロールの脛に剣を叩き込み、更に追加のダメージを与える。
「そこを……どいてくれ!!!」
その直後には、エルの爆弾が炸裂する!
「特製のエル印爆弾、食らってくださーいっっっ!!!」
「ギャァァァァァァァッ!!!!!!」
大きな叫び声と共に、ヴァロールは激しい音を立てて床へと倒れ込む。
俺は肩で息をしながらも安堵の気持ちが先行し、疲労や空腹などはとっくに吹っ飛んでいた。
「や、やったか……!? やっぱりヴァロールといえども、俺たちの連携にかかればどうってことないな……!」
「うんうん、ありがとねユート、ナイス連携だったよ! なんとかなったみたい!」
「この調子なら、香炉を探すときも魔物には苦労しなさそうですわね。」
「私の調合した爆弾、ちゃんと発動して良かったあ……」
全員が勝利を確信した次の瞬間ーー




