36泊目 そして物語はプロローグへと
「おっかえりー! どうだった? 大丈夫だった? 魔物って何? どんな料理になった?」
滝の休憩所に着くなり、ミュウの質問攻めにあった。
「まぁまぁ落ち着け。残っている食料は……と。うん、まだ少しは魔物産じゃないものも残っているな」
ゴブリンなんて言ったら、絶対に食べない! とも言い出しかねないから、俺は華麗に質問をスルーしつつ残っている食材をチェックした。
「期待してくれて構わんぞ。俺様の手にかかれば、どんな食材だってデリシャース! な豪華料理に変わっちまう、ってなもんよ!」
オイゲンも調子を合わせて適当に流してくれている。ナイスプレーだ!!
「魔物で食料の確保ができたとはいえ、とっとと香炉を壊さないとジリ貧だからな、準備が終わったら早速香炉を探しに奥へ進むぞ!」
改めて剣の手入れをしつつ、皆声を掛ける。
「私、少しだけ魔物料理に興味が出てきました。どんな感じなんだろう……」
「あら、エルさんは一番怯えていましたのに、どうなさいましたの?」
「もしかしたら普通の食材にはないステータスアップ効果とかもあるかもしれないじゃないですか。それに、新しい効果を見つけて論文を書ければそれだけで良い評価がもらえるかも……! 前期の成績、思うように行かなかったんですよね……」
「確かに……。こう、一気に攻撃力とか上がってバトルも楽にならないかしら」
背後からニュウとエルの話し声が聞こえてきた。二人とも、なんだかんだで魔物を口に入れる覚悟ができているみたいだ。
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そう。ここまでが俺たちの冒険の軌跡。
そして、ここからが俺たちの冒険の未来。
ミュウがゴブリンの煮付けに文句を付け、俺がマンドラゴラの漬物を味わっている時、それは穏やかな時間になるはずだった。
賑やかな団欒を切り裂くような咆哮が轟く時までは。




