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35泊目 「東方の国では"パクチー"とも呼ばれるらしいぜ」

「美味い!!!!!」


 マンドラゴラの漬物を恐る恐るかじってみると、その美味しさに思わず声が出てしまった!

 うん、これはイケるぞ!


「だろ!? やっぱり俺様ってば天才だな! まさか魔物までこんなに美味く料理できちまうなんてなぁ……」


 オイゲンはしみじみとしながら漬物をポリポリとかじっている。


「なぁオイゲン、こっちの……ゴブリンの煮付けはどうなんだ?」


「あー、そいつは結構な難易度だったぜ。いくら臭みを消そうと思っても、従来の方法じゃなかなか消せねぇ。だからダンジョンで採取しといたかなりクセのある香草を使った。俺様は昔から食べてたから大丈夫だが、食べ慣れてないヤツにはキッツいかもな」


 その香草、というのはカメムシの様な青臭い味がするらしい。確かに、初めて嗅ぐ匂いがする。

 マンドラゴラを食べて、魔物イコール不味い、気持ち悪い、という先入観もすっかりと消え去った。

 まぁ、マンドラゴラに比べたらゴブリンはさすがに少しの抵抗はあるが、少しいただいてみようか。


「ちょっと味見させてくれ」


 そう言いながら小皿にゴブリンの煮付けを盛る。

 手の煮込みは形がそのままで食べる気がしなかったから、どこの部位かわからない肉を一欠片いただくことにした。

 うう……やっぱりゴブリン、って考えると恐ろしいものがあるな……。

 好奇心と不安が混ざった気持ちと共に、意を決してゴブリンを口の中に入れるーー


「……あ。思ってたよりイケる」


 口に入れた瞬間に広がるなんとも言えない青臭いような刺激は不思議だが、意外と悪くない。


「おっ! 坊ちゃんもこの香草イケる口か?」


「ああ。始めて食べた味だが、俺は嫌いじゃないな。なんだか異国の味がする……。好き嫌いは分かれそうだな」


「ゴブリン自体はそこまで美味い肉じゃなかったから、どうにか食べられる程度にはなった、くらいだがな。ミュウとかは嫌いそうな味だぜ、これは」


「この状況、食べれるだけでもありがたい……! 早速あいつらにも届けて、香炉を目指そう!」

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