22泊目 「不思議なダンジョン、的なやつ?」
途中途中で魔物を倒し、なんとか戦闘の感覚を思い出しながら、地下3階まで辿り着いた。
ダンジョンに入ってから、既に8時間が経過しようとしている。
「もうダメ〜……お腹すいた……こんなに魔物が多くて広いダンジョンだとは思ってなかったよ〜」
「だなぁ……。俺様の弓もそろそろ一旦手入れしてやらねぇと使いにくくなっちまうし、ここらで休憩でもするか?」
「賛成ですわ」
「わ、私も賛成ですっ!」
「そうだな、俺も剣を研ぎ直したいし、腹も減った。どこか休憩ができそうな場所があれば良いんだが……」
「あ、それならさっきアタシが見つけた所とか良いんじゃない?」
「ああ、横穴に入ったところの滝があるところか、あそこはたしかに結界陣も張りやすそうだったな」
3階を探索している途中、人が一人通れるくらいの横穴を見つけた。そこの穴を進むとなんと滝壺がある小さな空間に出たんだ。
そこの水は飲み水としても使えそうで、地図にも記入してある。休憩にももってこいの場所だ。
俺たちは少しだけ引き返して、勝手に休憩所にした滝へと向かう。
「つ、疲れたぁ〜〜」
休憩所に着いた瞬間、自分でもビックリするくらいの間抜けな声が出てしまった。
「ちょっとユート! あんなに張り切ってたのに今、物凄く情けないよ?」
ケラケラと笑うミュウは疲れているにも関わらず、なんだかとても楽しそうだ。
「それにしてもエルさんは、よくこんなにも広いダンジョンに一人で挑もうとしましたわね……」
「事前に文献で読んだり、酒場で話を聞いたりした時にはそこまで広くない、って言われていたんです。もしかして、ダンジョン自体が広がっていってる……とか?」
「えええ……そんな不思議なダンジョンなこと、ある? 彷徨い続けてアタシたちもレベル99になっちゃったりして!」
戦斧を振り回しながらえへへ、と笑うミュウだが、あながち間違っていないかもしれない。
それ程までに巨大なダンジョンに思える。
3下層降りるだけで8時間……。
2下層目は運良くすぐに階段が見つかってこれだから、相当な広さなのは間違いない。
まったく、シュトーレンの近くにこんな巨大な地下空間があることが驚きだよ。
ま、なんと言っても腹が減っては戦ができぬ!
そろそろ飯をいただこう。
「オイゲン、よろしく頼んだ……! もう腹が限界の悲鳴をあげている……!」
そう言った瞬間、タイミングよく腹の虫が大きな音を立てて鳴いた。
「任せとけって! 最高にデリシャース! なダンジョン特製飯を振舞ってやるぜ!」




