20泊目 いざ、愛しのダンジョンへ!
ついにこの日がやってきた。
久しぶりとなるダンジョン探索の日だ。
ゲストハウスの談話室に集まったのは俺、ミュウ、ニュウ、オイゲン、そしてエル。
このメンバーで今日、探索へと向かう。
そして、いつ帰って来れるかは……正直わからない。
運が良ければ一日、悪ければ……1週間はかかることもダンジョン探索では日常茶飯事だ。
加えて俺たちはレベル1。
早々に逃げ帰って来なければならないかもしれない。
とりあえず荷物には三日分の食料と水、そして爆薬や治療薬なども用意してある。
装備品もレベル1で装備できる最上級のものを揃えた。
洞窟内部の地図は、歩きながら完成させていくしかない。
不安と期待が入り混じったこの気持ちは、数年ぶりに感じる昂りだ。
そして俺はみんなに最後の確認をした。
「みんな、準備はいいか?」
「オッケー! いつでもいけるよ!」
「ええ、僕の力を見せてあげますわ」
「はい! 私も大丈夫です!」
「おう、いっちょ暴れてやりますかねえ」
今、全員の気持ちはひとつだ。
絶対にエルの願いを叶えてやる、そしてあわよくば……貴重なお宝を手に入れてやるぜ!!
ン=ルゴロへと向かう街道を歩いている道中、魔物が全く出て来ないことに気がついた。
「あれ、ここの街道って昔は結構な数の魔物がいたよな? ここで弱い魔物を相手にしてレベル上げをしてたんだが……」
俺が疑問を口にすると、エルが答える。
「ここら辺一帯は、駆け出しの冒険者たちが魔物狩りをしている上に、畑への被害を抑えるために自警団の人たちも定期的に狩りをしているみたいです。だから、今では全然魔物も出ないですね……。おかげさまで私みたいなひよっこの冒険者でも危ない目に合うこともなくシュトーレンへとたどり着けました!」
「なるほど、だから魔物の影も見えないわけか……。ここら辺で何回か魔物を狩ってレベルを上げたかったところだが、仕方ない……! 本番ぶっつけでダンジョンに挑むぞ!」
なんだかんだ言ったって、衛兵団で鍛え、各地の魔物も撃破してきた俺だ。
一応今までの経験もあるし、レベル差なんて大したことないだろう。
ダンジョン探索だって、危険なボス級魔物に挑むことだって日常茶飯事だった。
自分と、そして仲間を信じて力を出し切ればきっと上手くいくさ。




