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10泊目 「痛いよ……」

 エルがユキチハウスに来て10日が経過した今日、エルは初めて朝食会場に姿を現さなかった。

 毎日見ているのが気持ちいいほどの量を平らげるエルが朝食を食べないなんて珍しい。具合でも悪いのか?


「あれ、エルちゃんがいないなんて珍しい。どうしたんだろ?」


「心配ですね、毎日きちんと決まった時間には席について遅刻したことなんてないのに……」


 ミュウニュウ姉妹も不安そうな顔をしている。


「ミュウ、ちょっと部屋の様子を見てきてくれないか? もしかしたら勉強に没頭してそのまま寝坊してしまったのかもしれないし」


 毎日楽しみにしている朝食を食べられなかった、なんてことになったら、どうして起こしてくれなかったんですか! と怒りの言葉をぶつけられるのが目に見えている。

 たとえ気持ちよく寝ていたとしても、叩き起こしてあげる他ない!

 頼んだぞ、ミュウ……!

 ミュウが立ち上がり、階段へと向かおうとしたその時、玄関に吊るされているベルが弱々しく鳴り、ドアが開く音がした。


「ちょっと!!! アンタどないしたん!?」


 ーーーーその刹那、玄関ホールにいたクロエの叫び声が響いた。

 ミュウニュウと共にホールへ飛び出すと、そこにはボロボロになったエルの姿があった。


「ご、ごめんなさい……ちょっと、し、失敗……しちゃって……」


 クロエの膝を枕にして苦しそうに息を吐き出すエルに、俺は声をかける。


「待て、大丈夫だ、喋らなくていい、今はゆっくり休むんだ。ミュウ、クロエ、頼んでいいか?」


 ミュウとクロエのは頷き、2人の真ん中にエルを支え、優しい声をかけながら客室へと連れて行った。

 何だかんだ言ってもクロエの僧侶としての腕は確かだ。あの様子ならきっと大事には至らないだろう。

 俺は3人を見送った後、キッチンで朝食の準備をしていたオイゲンにお粥と温かいお茶を頼み、それらの完成を待つことにした。

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