エピローグ 「ユキチハウスへようこそ!」
「ようこそユキチハウスへ!……って、あれ?エル……?だよな?」
「ユートさんっ!!お久しぶりです!!」
「元に戻る魔法薬の調合は成功したんじゃないのか?何でまだ女の子の姿なんだ?っていうか、学校はどうした!?」
聞きたいことが沢山あって思わず早口になると、エルはふふっ、と可憐な笑顔で笑った。
「やだなぁ、調合は成功しましたよ。ちゃんと男の身体に戻っているじゃないですか」
エルはそう言うけれど、目の前に立つエルの見た目は以前と少しも変わらず、魔法学院の女子制服を可憐に着こなしている。
「あ、この格好ですか?これは普通に男の身体の時から着ています。ボク、カッコいいものよりも可愛いものの方が好きなんですよね〜。なので、ファッションとしてスカートが大好きなんです」
そう言ってその場でくるりと一回転するエルは、どこからどう見ても天使そのものだった。
「ぶにゃ」
「あ!ユキチさん!お久しぶりです!お元気ですか!?今日も可愛らしいですねぇ〜」
エルは玄関を覗きにきたユキチさんを抱き抱えると、ユキチさんに頬ずりをしながら話し出した。
「今日こっちに到着するっていうお手紙を送ったはずなんですけど……まだ届いていませんか?学院からここまでの距離だと投函がギリギリだったかなあ?……突然で驚かせてごめんなさい!ようやく春休みになったので、遊びに来ちゃいました!」
「うーん、まだ手紙は届いていないようだなぁ……って、あれ?もしかしたら今朝捨てた手紙……か??」
「えええ!!捨てたって酷いです〜!!なんでそんなことするんですかぁ〜!!」
「いや、ユキチさんがビリビリに破いちゃって全然読めなかったんだよ。なんか下僕、がとうとかこうとか書いてあったが……」
「ああ!それ多分僕の手紙です!ユキチさんとお話してると、みなさんのこと"下僕"って呼ぶのでそれをそのまま書いちゃったんですよね」
「ん?俺たちが下僕呼ばわりをされていることはまぁ置いといて、エル、ユキチさんと話せるのか……?」
「あれ、言ってませんでしたっけ?少しなら話せますよ?学校で動物会話魔法も習っているので……」
「そういうことは!!早く言え!!!ユキチさんと会話ができるだとぉ!?羨ましいにも程がある……!!で、今!今ユキチさんはなんて言ってるんだ!?」
モフモフ可愛いユキチさんと会話ができるだなんて、動物会話魔法というものは夢のような魔法だ……!!俺もまずはそこから勉強しよう!そして、今以上に愛らしいユキチさんと仲良くなってたくさんモフモフさせてもらうんだ……!!
「あー……。うん、何て言ってるかは知らない方が良いです」
エルはユキチさんの喉を指で撫でながら、苦笑する。
「おい、そう言われるともっと気になるじゃないか…!!」
「あはは、ユートさんも頑張って動物会話魔法を習得してくださ〜い!」
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季節は春。優しい木漏れ日が差し込むゲストハウスには、今日もたくさんのお客様がやってくる。
冒険者や旅行客、偉大な魔法使いに亜人、グルメトラベラーに大商人など、この扉をノックする人々は様々だ。
どんなお客様であっても、ユキチハウスの扉を叩いてくれれば極上のおもてなしを約束する。
是非一度、君も遊びに来てみると良い。
愉快な仲間と猫神様であるユキチさんが、誠心誠意、心を込めてお出迎えをさせていただく。
ここは沢山の出会いと別れの場、ユキチハウス。やってくるお客様に素敵で快適な暮らしを約束するぜ!
おっと、そうこうしている間にもまた新しいお客様が見えたようだ。
さぁ、今日も笑顔でお客様をお迎えしよう。
「ユキチハウスへようこそ!」
初の長編小説、ついに完結です…!!
ユキチハウスの仲間たち、全員愛しちゃったのでまたいつか続きが書けるといいなあ。
皆様お付き合いいただき、ありがとうございました!!
感想やレビューなど、何かしらアクションをいただけるととても励みになります……!!
今後とも頭の中の妄想を書き殴っていければいいなぁ、と思っています。
これからもう少し見やすいように話数を調整したり、誤字脱字などの調整を行う予定です。
細切れになってしまってすみませんでした。




