ながめがよいこのごろ8
「私が推測するに、あなたが仮想空間で外からの干渉を受けなかったのは、適性が有りすぎるため、つまり上手く扱え過ぎていたのね。」
上手く扱え過ぎていた、か。
「完全に他をシャットダウンできるほどの完璧なる世界の創造、それをあなたは無意識のうちにやってのけていたのよ」
ロウはとても上機嫌に早口に語る。
きっと褒められているのだろうけど、あまり嬉しくはなかった。実感がないからだ。
「じゃあ、何でロウは僕のところへやってこれたの?」
「さぁ?強く願ったら出来ちゃった。多分だけど、今まで流されるがまま他人の世界を覗いていたから、初めて自分から念じたことによるエラーか何かでしょう」
強く願ったら、ということは、君の祈りが僕の世界を越えたということだ。
そして、同時にそれは──
「だからね!私絶対にこの機会を逃さないわ!もう二度とこんなことは起こらないかもしれない。次は見つかってしまうかもしれない。だから、だからよ!」
ロウ──いや、彼女は僕の肩を強く掴んだ。まっすぐに射抜くような視線。煌めく瞳。少し上がった口角。自信と希望に満ちた君は、もう一度僕に微笑んだ。
「君の力が必要なの。この世界なんてもうどうでもいい、新しい、人が人でいれる、そんな世界を作りましょう?」