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ながめがよいこのごろ3
無表情の鉄色、17階建ての双子の校舎。
生徒証明書、通称“パス”を校門前に置いてある無機質な白い箱に近づける。
『生徒番号26777番。入校を許可します』
機械質な声と共にゲートが一人通れるくらいの隙間を作った。
ロウも同じように、『生徒番号26758番。入校を許可します』──
この声を聞くと彼女はいつも少し不機嫌そうな顔をして、早足でゲートを抜けて行く。僕もソレに続いた。
教室には既に僕ら以外全員揃ってた。僕はすぐに自分の席である一番後ろの角っこに腰を落ち着かせた。
ロウはいつも通りの笑顔でみんなに話しかけていく。
「ルミナ、今日も髪が綺麗だね」
「カルテア、少し身長伸びたんじゃない?」
「ドイル、消しゴム新しくなったのね」
しかし、それはロウの一方的な干渉でしかない。誰も彼も彼女の声に耳をかそうとはしないし、何の反応も示さなかった。
ロウはそれでも満足だというように微笑み、自分の席に荷物をおいて廊下に出ていった。