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2018/04 其2『幻影』

 

 森の中に拓かれた道を軍用トラックが進む。

 周囲に映るのは一時間近くも代わり映えのない森の姿。

 そんな景色に飽きのきたアーモボックスは気さくに機動隊に話しかけるも、彼らは皆神経を尖らせており、満足な会話ができないでいた。

 仲間が殺された怒りよりも、同じ訓練を身につけた部隊が何一つ成果を残すことなく消えた恐怖が勝っているのだ。

 集落へと到着し、物資を降ろし、簡易テントの設置を済ませると機動隊達は声を掛けることもなく去って行った。


「エニシへの警戒心が高いことは悪いことじゃないんだがな……」

「友達でも作りに来たのかお前は」

「それにしたってってことだ。……周囲は森、ファレアティップ粒子の散布的に現在は森にいるんだろうけど……まあ探し出すのは無理だな。集落の規模は……住んでいて数十人程度だな。夜までにアタリが引けりゃ良いんだが」

「それじゃ私は罠を仕掛ける。引っ掛かって台無しにするなよ」

「人には見えるようなトラップにしてくれると助かるんですがね!?」


 アーモボックスは民家の中に入り物色していく。

 電気や水道の通っていない、インフラ整備も芳しくない木製の住宅。

 その内部は狭く、シンプルなものだ。

 森や川で手に入る資材や食料を保存する箱。床に敷かれた寝床に、いつでも着まわせるようにと干されたままの服。


「――ここは違うな」


 アーモボックスは次々と家を探り、その中を調べて行く。

 何の反応も見せずに済む家もあれば、その内部の惨状を前に眉間に皺を寄せるときもあった。

 密閉された家ならば生まれたてのエニシが侵入してくることは稀だが、簡易的な家ともなれば話は別だ。

 十二番目に入った家、そこでアーモボックスの様子が変化する。

 比較的穏やかであった表情は失われ、そこには冷静に分析を行うエニシ狩りとしてのアーモボックスの顔があった。


「ここか。縁人の住処は」


 アーモボックスが見つけたのは一般的なファッション雑誌。

 それなりに古く、ボロボロとなっているが何度も読み返されたような痕跡がある。

 他にも画面が割れ、動かなくなってから相当な期間が過ぎたであろう携帯電話。

 電気が通わず、使えないはずのラジオやブラウン管のテレビなどの家電もある。

 アーモボックスが探していたのは集落にそぐわない私物を持つ家。

 集落の生活や伝承、それらからエニシに結び付くイメージが湧かない理由、それは集落の外から手に入れた物がエニシになったのではと推測していた。

 こういった集落に住む者達は自分達の生き方を受け入れている場合が多い。

 だが根絶された孤島でもない限り、外の文化を知ることで触発される者は生まれてしまう。

 きっとこの家の住人は他の集落との交流などを繰り返すうち、森の外にある世界と接触する機会があったのだろう。

 そしてゴミとしか見えないものを拾っては家に持ち帰り、様々な思いを馳せていたのだろう。

 こうなった扱いを受けた私物には縁が残る。エニシになる可能性も十分に高い。


「当人が捨てる可能性は低い。となると親族が見かねて捨てたか、家を訪れた者の仕業か。親族の場合は縁人の態度を見かねて捨てた……いや、それなら他の物が残っていることの説明がつかないな。一つだけ捨てる必要があったということか? 家を訪れた者ならば純粋に価値を感じての盗み、だが発覚されるのを恐れて森に隠した……?」


 日が暮れる前にはアクロと合流する必要がある。少しでも情報を分析するために家の中をデジカメで撮影してまわる。


「こんなものか」


 縁人が何かしらを拾い、持ってきた。周囲にある物からしてゴミ処理場からでも拾ってきたのだろうか。

 ならばその場所で入手できる物、そしてそこから生まれるエニシの特異性。

 様々な考えを張り巡らせつつも、壁の傍の床に視線を向ける。

 アーモボックスはその場所に妙に整えられたスペースがあるのを感じ取る。


「……この辺のスペースに、該当の物があったのか。……何かが置かれていた後がある。大きさ的にそれなりだな。横に置いてあるのは……座布団?」


 アーモボックスは試しにと座ってみたが、椅子の上に敷くクッションのようで地べたにおいて使うには少々座り心地が悪い。

 壁に寄りかかると、該当の物はその真横に位置することになる。


「ここに寄りかかって、拾った物を眺めていた……にしては位置が微妙だよな。壁に座る理由も……そうか、そういうことか」


 アーモボックスは視線を正面に戻す。その視線の先にあったのは反対側に立てかけられていた大きな白いベニヤ板。

 箪笥などから取り出した板に白いペンキを塗っただけの物。

 外の文化に憧れた者が集めたにしては文明の叡智を感じぬ物。

 だがその板こそがエニシの正体を示唆していた。

 アーモボックスは立ち上がり、より確証を得るために家を後にした。


 陽は沈み、街灯のない集落は闇の中へと沈んでいく。

 アクロ達は集落の様々な箇所に設置型のLEDライトを設置し、点灯させた。

 発熱の少ないLEDライトならば常時点灯させていても夜のうちに尽きることはない。

 また人間の文明の利器を設置することでエニシを誘き出すこともできる。

 だがアーモボックスだけは僅かに渋い顔をする。


「これだとエニシが嫌う条件が整いそうなんだよな」

「そりゃあエニシのコアがアモカンの予想していた物で、考えているような特異性を持っているならこの状況は問題があるかもしれないけどな。違ったら闇夜での戦いだぞ。今日は月明りも雲で遮られている。流石に銃が使えないんじゃ話にならないぞ」

「まあな。ま、むしろ弱まると思えばいい作戦ではあるんだがな」

「それで、本部への連絡は済ませたのか?」

「一応見当をつけた内容で報告はしたさ。ある意味ではレア物だろうからって回収だとさ」

「まあ日本じゃそうそうエニシ化しない物だしな」


 アクロはどの道回収だろうなと予想していた。仮にも機動隊を一方的に屠れる特異性、モルギフトとして使えば戦闘時に高い効果が期待できるのは言うまでもない。

 非回収となるパターンは、懐中時計のような一般的な思い入れの残りやすい物、モルギフト化したとしても役に立たないと判断された場合である。

 最近のエニシ狩りで本部が判断に悩んだのは田舎村の山に祀られていた御神体。

 結局その特異性はその村の山を守るといった限定され過ぎたものだったため、本部の判断は処分であった。

 基本エニシ狩りの独断で処分を行っても良いが、コアとなった物が特殊だった場合や予想外の特異性を発揮してみせたエニシのコアは回収案件となる。

 後者の場合は一時撤退し、その詳細を本部に報告する必要があるためにエニシ狩りとしては面倒な部類となる。

 そのため戦闘に入る前にその特異性を見極める必要があるのだ。


「カートリッジを一つくれ」

「お前の判断で血弾を補充するなよ。私が要ると言ったら用意しろ」


 念の為の保険としてアーモボックスはアクロの銃のカートリッジを受け取る。

 エニシと戦闘となった際、アクロが『回収は無理だ』と判断した場合には即座に処分する必要が出てくる。

 その場合、アーモボックスへ指示を出して血弾入りのカートリッジを用意してもらう算段となる。

 今回の様に回収が前提となる仕事の場合での常套手段となっている。


「自分の血肉なんだから、節約するさ」

「私としちゃいつだってフル装填で持ち歩きたいところだ。モルギフトで血液を増やす特異性とかないもんかね」

「血を増やすねぇ……造血剤に縁を感じる人ってどんな生き方なんだろ」

「血が溢れる伝承とかでもいけるだろ。マリア像って目から血の涙を流してなかったか?」

「あーわりとありそう。でもそんな貴重な奇跡を体現したマリア像を手放す人はいないと思うぞ?」

「それもそうだな」

「あ、でも血を自在に操る能力ってちょっと格好良いよな! スタイリッシュなヴァンパイアってイメージでさ! 俺の血なら一撃必殺だし、思った以上に強いモルギフトになるんじゃね!?」

「外に血液を出したら汚れるだけだろ。戦闘の度に外の病原菌をダイレクトで回収してたら普通に死ぬぞ」

「……確かに。免疫力を高めるモルギフトも手に入れないとな」

「免疫力を高めるのってなんだ。ニンニクか?」

「ヴァンパイアの縁人ならニンニクに縁があるかもな」

「ヴァンパイアがそもそもいないってオチになったな」


 他愛のない会話をしていると、LEDライトの一つが破壊された。

 二人は即座に身構え、その方向を見据える。しかしそこにエニシの姿は見えない。

 しばらく注視していると別の箇所のLEDライトが破壊された。

 アクロは素早く銃口を向けるがやはりそこには何もいない。


「わざわざ隠れながら壊してくるか。いよいよもってアモカンの予想通りになるかもな」


 次々と破壊されていくLEDライト。そして残るのは二人の傍にある数個だけになった。

 集落を照らしていた光は失われ、闇の中へと景色は溶け込んでいく。


「最近のエニシは太陽だけでなく街灯も嫌うんだな。眠らない街とかは平和そうでなによりだ」

「それはそれで人的トラブルで平和にはなりそうにないんだけどねぇ。――アクロ!」


 アーモボックスが指示した先、そこに一体のエニシが現れた。

 単眼の直方体型のエニシ。しかし闇に紛れる筈の黒い体躯は仄かに赤く発光している。

 アーモボックスは素早く物陰に隠れる。アクロは銃口を構えるが、即座には撃たない。

 今目視しているエニシがいる地点、そこにはワイヤートラップが仕掛けられている。

 もう少し接近すれば作動し、壁に設置されている手榴弾が炸裂する。

 エニシのコアは基本体内の奥に存在するため、外側への攻撃は捕獲する上で最も効果的に弱らせる手段となる。

 エニシは徐々に距離を詰め、ワイヤーの張られている地点へと差し掛かる。

 しかし罠は作動しない。アクロは舌打ちと同時にエニシに向けて発砲するが銃弾が命中した反応は見られない。

 続く銃弾でワイヤーのある場所を撃ち抜き、強引に罠を起動させる。

 炸裂音と共に周囲の壁が崩れ落ちる。だが爆風に巻き込まれたと思ったその瞬間、エニシは姿を消した。

 アクロは視線を動かし、先ほどいた場所の十メートルほど横に移動していたエニシを発見する。


「なるほど。見て撃っただけじゃダメってことだな。ならアモカンの予想に従うとするか」


 アクロはナイフを取り出し、エニシへと突撃する。エニシはそれを見て巨大な口を開き、迎え撃とうとする。

 アクロは躊躇うことなくエニシへと接近していく。だが握ったナイフを突き立てるような素振りは一切ない。

 接触まで僅かとなっても、アクロはその勢いを止めない。エニシはアクロの頭部を噛み砕こうと口を閉じる。


「――ビンゴだ」


 アクロは攻撃を回避しない。エニシの口は閉じられた。だがアクロには怪我一つない。

 エニシの体がアクロの体をすり抜けたのだ。

 アクロはエニシの立っている箇所に重なり、周囲を見渡す。

 そして、目当ての物を発見するや、即座にナイフを投擲した。


「ギィヤァッ!?」

「うわっと!?」


 物陰に隠れていた傍のアーモボックスの頭上から、黒ずくめの巨大なエニシが落下してきた。

 その風貌は先程アクロ達の前にいたエニシと同じ形状。

 しかし違いとしてその体は発光しておらず、空を飛ぶための羽が生えていた。

 単眼には投擲されたアクロのナイフが深々と突き刺さっており、その激痛に悶えている。

 アクロはもう一本のナイフを取り出し、エニシへ一気に駆け寄るとそのナイフを羽へと突き立てた。

 そして流れるような手捌きでその両羽を切断。さらに暴れようとしたエニシを蹴り飛ばし、壁へと叩きつける。

 そこには別に設置されていたワイヤートラップがあり、罠が起動。エニシは手榴弾の爆発の直撃を受ける。


「ギュィイアアアアアァッ!?」


 体の表面の何割かを失い、悶えるエニシ。アクロは駆け寄って距離を詰め、抉られた箇所に両腕をねじ込む。


「――ここか」


 そしてそのままエニシの体の中からコアを引き抜いた。

 アクロは全身にエニシの体液を浴びるも、その無表情は変わらなかった。

 コアを失ったエニシの体は僅かに震えた後、徐々に風化が始まっていく。

 それに合わせアクロの体に付着していたエニシの体液も風化していき、アクロの手元にエニシのコアが残るだけとなった。

 コアは赤みを帯びた透明の球体。その中にはコアとなった物質が透けて見えた。


「プロジェクターのエニシか。壁に自分の映像を映して、本体は頭上から音もなく奇襲か。危なかったな、アモカン」


 コアの中にある古びたプロジェクターを眺めつつ、アクロはアーモボックスの方を見る。


「いやぁ、羽音はおろかプロジェクターの放つ光さえまともに見えなかったな。見える映像も最新のホログラムが真っ青だったし、エニシの特異性で完全に映像を映すことだけを再現したんだろうな」

「ま、映像が映されている箇所から見りゃ、妙に眩しい光が見えたんだがな。狙いはアモカンか私のいた場所の背後辺りだとヤマを張っていたからな、狙いも楽だった」


 アーモボックスが確認して回ったのは機動隊が発砲した箇所だ。

 集落を巡って探すことで、それが全て壁にのみ発見されていた。

 機動隊の者達は壁に映し出された映像に騙され、発砲していたと推測された。


「銃撃している間に音もなく後方の仲間から襲われ、それを繰り返しながら徐々にって感じか……なかなかのホラーだよな」

「私みたいに突っ込めば絡繰りに気づけたんだろうがな。肉薄したとき、肌に感じるはずの圧迫感が全くなかったからな」

「あんなでかい口を開いて威嚇されちゃあな……普通は逃げるか遠距離で仕留めるよ?」


 アクロの接近を感じ取ったエニシは、接近させまいと映し出していた映像で反撃を行おうと威嚇行動をした。

 さらに言えば地面を歩く存在だと意識させ、本体は空から襲い掛かっていた。

 これらのトリックが普通のプロジェクターならば、機動隊はおろか集落の人々でもその仕組みに気づき、生存者はもう少し多かっただろう。

 だが特異性によって映像を浮かび上がらせる機能を手に入れ、それを狩りに適したレベルに昇華させたエニシの力は十分脅威に値する。


「虎穴に入らずんば虎子を得ずってやつだな。でも電気の通ってないこんな場所でこんなものがエニシになるとはな」

「だからこそだな。縁人はプロジェクターがどう言うものかを知っていた。だから家に設置し、壁に白いスクリーンとしてベニヤ板を立てかけていた。外の世界に憧れを抱き、この集落で生きる事に不満を感じていたんだろう。プロジェクターの横に座って外の世界にいる自分を、理想の自分の生活を白いスクリーンに映し続けていたんだ」

「寂しい遊びだな」

「何もない場所だからな。思いを共感してくれる人もいない。できることは一人で静かに妄想に耽ることしかなかったんだろうさ。だけどそうしている事が長く、目に余るようになっていたんだろう。その姿を心配した家族か友人がプロジェクターを奪った」


 縁人の収集癖について、周囲の者はある程度寛容だったのだろう。

 しかし、プロジェクターを使った現実逃避を始めてからはその行動が目に余るようになっていた。

 それ故に、何者かがプロジェクターを森に隠してしまった。

 森に隠した理由は、縁人が改心すれば返すつもりがあったのだろう。

 いや、ひょっとすれば周りから説得された縁人が自らの手でプロジェクターを手放した可能性もある。

 自分の目に付かない場所に隠してくれと他者にゆだねた、それでも十分に可能性はある。

 どの様な経緯があったのか、既に得られる情報が失われている以上、それを完全に推測することはアーモボックスにはできなかった。


「それで結局この惨事が起きたわけか。いい迷惑だな」

「あーもぅ、そういうこと言わないの! エニシが生まれるなんて分かるわけないでしょ」


 エニシの存在自体は世界に広まりつつある。

 しかし人と縁を持った物がエニシとなる事についてはその仕組みが解明されていない。

 予防策として物を無くすな、残したまま死ぬな、常に忘れぬよう思い出し続けろと言われたところで万人がそれを実行できるはずもない。

 世界中ではエニシの具体的な発生要因を調査しているが、答えを導き出せた国は未だいない。

 国としてできることはエニシを狩る者達を増やし、他国と協力し合い、その被害を最小限に収めながら日夜研究を進めることだけである。


「ただ私としちゃ、プロジェクターが空を飛ぶってのが一番の謎なんだがな」

「それは縁人が抱いていたイメージに起因するんだろう。このプロジェクターはこの場所に囚われている自分を解き放ち、広い世界へ飛び立たせてくれる――的な」


 御神体のエニシも本来は木像であった。しかし信仰者たちがその木像ではなく、木像が模った存在を崇めていたことでエニシは崇められていた存在の姿となっていた。

 物に込められた想いは時にエニシに影響を及ぼすことも多々確認されている。


「思い込みもほどほどにして欲しいもんだ。それじゃあアモカン、さっさと迎えを呼んでくれ」

「夜道は危ないからどの道朝まで来れないって言ってたぞ?」

「うげ、じゃあテントか適当な家で寝るしかないのか。風呂もベッドもないとか地獄じゃないか」

「地獄の境界線がえらい温くない? 一晩くらい平気でしょうに。あとアクロはワイヤートラップ解除しておけよ。迎えの人が引っ掛かったら国際問題だぞ」

「……くそう。調子に乗って仕掛け過ぎた」


 アクロはアーモボックスにコアを預けると集落の闇の中に消えて行った。

 アーモボックスは縁人の住んでいた家へと向かい、コアを元にあった場所に置いた。

 クッションの上に座り壁に背中を預け、手持ちの灯りで照らされる白いベニヤ板を静かに眺める。


「ファッション誌で見た服を着て、都会で暮らす自分でも想像していたのかな。理想の世界に住む自分、それを映し出してくれる動かないプロジェクターか……ロマンチックだねぇ」


 アーモボックスは過去を思い出し、ifの世界に住む自分の光景をスクリーン上に思い浮かべてみる。


「エニシ狩りにならなかったら、俺はどんな仕事をしていたんだろうなぁ……今よりは全然安全なんだろうけどさ」


 どんな想像上の自分も、今の自分と比べればしっくりくるものだとアーモボックスは苦笑いする。

 同時に集落のどこかで手榴弾の炸裂する音が響く。

 一回、二回、次々と爆発音が騒がしく耳に響いてくる。

 一度ならばアクロの不手際の可能性もあったが、テンポよく続く音に回収が面倒だからとワザと起動させて回っているのだと理解できた。


「あの子ったら……真面目に報告したら始末書になるんじゃないか? ……まあいいや」


 文句の一つでも言おうと思ったが、冷静に考えると今何もしていない自分が偉そうなことを言える立場じゃないなとアーモボックスは聞かなかったことにすることにした。




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