LVUP!
一週間が過ぎた。結局、打ち続けはしたが、レアからランクが上がることはなかった。
しかし、できる範囲で可能な限り高いレベルの武器を作ることができた。
完成した武器は、刀、大剣、槍、片手剣に盾、戦斧を作った。
(さて、行くとするか。)
「というか、鎧とかは大丈夫なのか?」
(それは気するな方法はある。)
「この島は俺一人にしては確かに大きいけど、ヘーパイトスの言う魔物なんかこの島では見なかったぞ?」
(とにかく、そこの地面にある戸を開けて、下に降りろ。)
言われたとおり、下の扉を開けると階段があり、下へと続いていた。
感覚的には、地下一階よりも地下二階分はありそうな程の階段を下り終えると、扉がそびえたっていた。
扉の中央には、ペンダントのメダルの細工が施してある。そこにかざすと、大きな扉に似つかわしくないほど静かに扉が開いた。
まず、そこは広い広場になっており、真ん中に扉。そしてそばにはなにかの機械が扉に接続されていた。
「これなんだ?」
(これの隣にある数字のキーボードに数字を入力するんだ。そうだな、まだ戦闘経験もないわけだし、とりあえず、2を入力しドアを開けよ。)
とくに何も聞かずに開けると、目の前には木々が生い茂り、ここは島じゃないんだと理解させられる。確かに島にも木々はあるが、ここのとは太さがまるきり違う。太く固そうないい幹をしている。とりあえず、どこにも魔物のような存在は確認できない。
「これは。」
(ははは、ここは昔勇者が初めて戦闘を行う訓練として使われてた森だ。オーダルの森。まあ、それも、大昔の話だがな。)
「おいおい、勇者と俺とは話がまるっきり変わってくるぞ?」
(大丈夫だ。ここには、そんなに強い魔物はいない。とにかく、メダルを握れ。)
「あ、ああ。」
手でメダルを握った瞬間、メダルを握った手から光が体全体にわたる。それと同時に、五感も研ぎ澄ませれ、周りの気配を確かに感じられるようになった。
「これは…」
(ははは、すごいだろ。今お前には身体防御陣と感覚強化の付与が施されてる。さあ、じゃんじゃん狩るぞ!)
「はいはいっと、まずは刀で行くか。」
感覚強化により、生き物の気配や匂いが細かくわかる。眼も2.0なシュンヤだが、今はその倍とも思えるほど遠くにある細かいものが鮮明に映る。
すると急に大きな狼が現れた。感覚や眼が強化されたにもかかわらず、急に目の前に現れたのだ。
白く毛並みがきれいで、目が奪われるようないでたちをしている。
「あれはなんだ?」
(ううむ、フェンリルだな。お前はわからんのか?)
「ああ、鑑定眼が働かない。」
体が固まり足も手も動かない。が、命の危機は感じない。しばらくすると、まるで興味を失ったのか、顔をプイッと方向を転換し走り消え去った。
(安心せい、あれは敵対さえしなければ襲われんだろ)
「おいおい、やっぱここあぶないじゃないか。」
(ははは、大丈夫だよ。ほら、近くにいるぞ。この気配なら、お前でも倒せる。)
ヘーパイトスが言ったとたん、目の前には角の生えたウサギが現れた。地球にいるウサギは、草食で愛玩動物とされ可愛がられている。しかし、目の前にいるウサギは、手のひら程度はあろうかという虫を貪り食っていた。
「え、うさぎ?」
(ホーンラビットじゃな、ほら来るぞ、武器を構えい。)
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ホーンラビット
LV6
HP:CC
MP:C
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ホーンラビットは、虫を食べきるとこちらの気配を気づき、構えをとる。
シュンヤもヘーパイトスに言われた通り、最初に作った刀を装備した。ホーンラビットは角を武器に突っ込んできた。
ズバッ!!!
刀の刃が半分ほどホーンラビットにの角の脇の頭部に食い込み、絶命した。シュンヤがしたことといえば、ただ刀を構えただけで、斬るまでの体の運び、斬りかぶりと体が動かされた。勝負は一瞬で着いた。そもそも、五感の能力が上がっていて目でとらえられていたが、はじまりと終わりは一瞬で終着した。
「え、終わり?」
(ふむ、試し切りというスキル、なかなかなスキルじゃな。特に体が勝手に動くとは、強い武器を使えば使うほどさらに強く成れるぞ。)
「ああ、しかもLVがあがった。」
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LV3
職業:鍛冶師
HP:BB
MP:BB
スキル:鍛冶 経験値2倍 試し斬り 鑑定眼 魔術庫 確率補助 付与魔術辞典
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(ふむ、まだまだ狩るぞ。)
「おうや。」
それからは10匹程倒して終了した。
1匹狩る毎に得物を変え戦う。
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LV10
職業:鍛冶師
HP:BBB
MP:BBB
スキル:鍛冶 経験値2倍 試し斬り 鑑定眼 魔術庫 確率補助 付与魔術辞典
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(いやー、LVがあがったなー、これでよりいい武器を打てるようになるぞ)
「武器を打つのにLV関係あるの?」
(うむ、もちろんだ。)
「じゃ、これからもちょくちょく行くか。とりあえず、帰るぞ。」
(うむ、メダルに魔力を注げ。)
魔力を注ぐと、地下にあったはずの扉が目の前に現れた。
「見覚えあるなこーゆーの。」
(ん?まだ地球にはまだ、実現不可能だぞ?)
「ああ、いやなんでもない。」
某アニメみたいだなとはとても言えないな。
帰ってくるなり、鍛冶鍛冶と連呼するヘーパイトスをなだめ、畑をきれいにし、戻るとちょうどおお昼過ぎの時間になっていた。冷蔵庫もどきから食材を適当に選び食べていると、
(シュンヤはこれからどうしたいのだ?)
「うーん、生きてく力をつけて、この世界を見て回りたい。あとは、地球に帰る魔道具の作成かな。」
(ふむ、そうか…。とりあえずは、ランクの高い武器の作成と、LVの向上だな。)
「ああ、そうなるな。だからよろしくヘーパイトス。」
(ああ。)
昼食もぼちぼち食べ終わり、金槌を持ち家事を始めようとしたときかすかに違和感があった。
「なあ、ヘーパイトス。」
(なんだ?)
「なんか、この金槌違和感があるんだけど?」
(ふふふ、もうこの段階に至ったか。)
「段階?」
(鍛冶師はな、人にもよるがLVや鉄を打つ年数によって、撃ち手に変化が現れるのだ。)
バーン!!!
なんか、音が聞こえた気がする…。
「どういう変化だ?」
(それは、今からとにかく打ちながら感じるほかあるまい。)
「なんか、適当なじょげんだな。」
とにかく打つ、打って打って打ちまくると、昨日よりもより体力の浪費が激しくなってきた。
金槌を振るうたびに、この素材の完成形が頭の中にイメージとして浮かび上がってくる。その完成型は、両刃刀。ごくありふれた、騎士が使っていそうな剣だ。
打ち続けること数時間。
「か…完成。」
(ほおぉー、とうとうランクが上がったぞ。)
「おお、まじか。」
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武器:両刃刀
ランク:ハイレア
スキル:飛衝
説明:火と魔力によりたたき上げられた剣。ハイレアの入り口並の力を持つ剣。
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今までの武器とは違い、スキルが付け加えられていた。
「スキル?剣にもあるのか。」
(うむ、あまりないがな。)
「にしても、ハイレアか。ここまで来るのに早野か、遅いのか。」
(ははは、まだまだ入り口だぞ?)
「そんな、甘い話でもないか。」
(ははは、お主はまだ赤ん坊だ。)
「はいはい、じゃあ風呂入ってくるわ。」
そういってそそくさと、風呂に向かった後。
(にしても、ハイレアになるまでのスピードと、ハイレアにスキルが付与されるとは、尋常ならざる成長スピードだな。)
深刻そうなつぶやきにも見て取れるが、どちらかというとワクワクした口調にも聞き取れる。