第6話、小説の使い道
お待たせしました。
待つ人いるのかわからないけど。
ゴブリン達との戦いで、光治はLvが10まで上がったので、一旦ステータスを確認することにした。
神谷 光治
17歳
人間
Lv10(NEXT10000)
HP800
MP1200
物理攻撃690
魔法攻撃300
物理防御250
魔法防御230
素早さ600
魔力500
成長適正、MP、物理攻撃、素早さ
魔法適正&耐性
火、適正A、耐性300
水、適正S、耐性600
雷、適正A、耐性300
氷、適正S、耐性980
土、適正A、耐性300
風、適正A、耐性300
光、適正S、耐性400
闇、適正A、耐性300
癒、適正S
スキル
《念話》Lv5[消費MP7→5]
《反撃》Lv3[効果範囲UP]
《武器製作》Lv2
《永久凍結》Lv1
《下克上》Lv1
《解析》Lv1
魔法
水、氷、光、癒
称号
《巻き込まれた者》《反撃好き》《生物対話》《鍛冶師》《テュラリムの友達》《スキルチート》《コボルトキラー》《ゴブリンキラー》《リザルティアが認めた者》《リオーンの飼い主》
「おお!意外と上がってる!?」
光治は、思ったよりも上がっていたステータスに満足し、増えたスキルなどを確認することにした。
光治は、さっそく《下克上》と《解析》に目を通した。
《下克上》使用後数分、自分よりLvの高い相手に強くなり、受けるダメージも軽減される。
[Lv1]消費MP35、使用後、強化時間2分
《解析》相手の能力などを見ることができる。Lvが上がるにつれ、完全に解析できる上限も上がる。
[Lv1]消費MP0、Lv100まで完全解析可能、Lv100以上の場合Lvとネームのみ解析可能
光治は、二つのスキルを見て、使い道を考えた。
《解析》は消費MPが0なので、使いやすい。
しかし、スキルLv1の状態では、Lv100までのステータスしか完全解析出来ない。
簡単に言えば、Lv100以上だが、スキルを使わなくても勝てるような、低いステータスの敵に思いきりスキルを使ってしまい、即座にMP切れを起こす可能性もある。
スキルLvを上げるには、そのスキルを使い続けること、しかし、同じ者に使い続けてもLvは上がらない。
なので、物凄い地味な作業をすることになる。
光治にはあまり関係ないが、普通の人ならすぐに心が折れそうだ。
光治は、むしろ地味な作業を好む。
地味な作業は、光治にとってはただの作業なのだ。
光治は試しに、持ち物欄にある、[小説]に《解析》を使ってみた。
解析完了
[小説]暇潰しに最適、読み終わると次の巻を入手できる。
小説タイトル…解析不可。
解析され、小説の詳しい説明などが出現したが、タイトルの解析だけ失敗した。
理由は大体わかっている。
光治は、これ以上触れると危ないと思い、小説の解析を終了した。
そして、暇潰しにしか使えないことに、少しだけ絶望していた。
異世界では、暇潰しならいくらでもあるからだ。
「これは色々終わってからだな、小説で言うところの最終回のその後みたいな時にゆっくりじっくり読むことにしよう。」
光治はそんな事を言いながら、小説をアイテムボックスにしまおうとした。
その時、リオーンに腕を掴まれた。
リオーンの目線の先を見てみると、その目は光治の小説を見つめていた。
光治の持っている小説に、興味を抱いているようだ。
「ご主人様……その……その本を見せてほしいのですが……?」
リオーンは、無意識に光治に上目遣いで頼んだ。
大半の男性は、可愛い者の上目遣いと「ご主人様」と言う言葉に弱い。
光治もその一人で、べこのように頷きながら小説をリオーンに渡した。
リオーンは、「ありがとうございます!」と言い、光治に抱きつき、止めの「ほっぺにキス」をした。
光治も男だ、女性からキスをされて喜ばないはずがない。
光治は、顔を真っ赤にして"立ったまま"気絶した。
「…………。」
リザルティアは、そんな光治を何も言わずに呆れた目で見つめていた。
そして、気絶した光治を無視して、リオーンは小説を読み始めた。
しかし、日本の字は、当然異世界の者には当然伝わらず、リオーンはページをめくるごとに首をかしげていた。
光治がようやく目を覚ました頃には、リオーンは小説に完全に飽きており、地面に無造作に置いていた。
結局自分しか小説は読まないので、あまり使い道はない。
そんなことを考え、光治は少しがっかりしながら、小説をアイテムボックスにしまった。
そんな光治を、リザルティアは変わらず呆れた目で見ている。
「私も日本の字くらい読めますが」と言おうとしていたが、なんとなく落ち込んでいる光治が面白かったので黙っておくことにした。
そんなことをしている内に、気付けば昼になっていた。
光治は時計を持ってないので、太陽の位置で判断している。
「真上にあるし多分昼だろ」と言いながら。
「だから光治の世界とは違うって言ってるのに……」
「いくらなんでもそれはテキトー過ぎだと思いますけど……」
リザルティアだけでなく、リオーンも光治の発言には呆れていた。
もちろん光治は気付いていない。
昼なのかは不明だが、普通ならば食事にするところだ。
しかし、光治は何も食べなかった。
そもそも小説以外何も持っていなかったからだ。
光治はここで「食べ物を持っていけるようにテュラリムに頼めばよかった……」と後悔した。
もちろんそんな理由で落ち込んでいる者を慰める馬鹿などどこにもおらず、二人とも呆れていた。
話し合いの結果、結局リオーンが取りに行くことになった。
光治は、申し訳程度に、《武器製作》でリオーンの装備を作ってあげることにした。
《武器製作》を使い、変形するタイプの手首・足首専用の武具をイメージして製作した。
[武装鋼]魔力を流し込めば武器に変形する武具、何故か壊れない。リオーン専用装備。耐久値無限。装備効果、攻撃力7800、防御力12000、身体力強化
スキル《武装変換》
光治は、自分で作っておいて物凄く驚いた。
いつも通り作ったはずなのに、出来たのはまさかの専用装備、光治は、今なら自分専用の武器作れるのでは?と思い、もう一度《武器製作》を使い、今度は刀を想像して武器を作ってみた。
しかし、出来たのは専用装備では無い普通の刀だった。
実質、MPの無駄遣いをしたのだ。
光治は、何故リオーン専用の装備が出来たのかを少し考えることにした。
リオーンは、光治の作った装備を、好きな人へのプレゼントと勝手に勘違いし、「もう装備変えません!」と言って[武装綱]を装備した。
もちろん光治はリオーンの気持ちを理解していないので「何故?」と聞いている。
それをリオーンは、わかった上で聞いているとまた勝手に勘違いし、「秘密です」と言った。
光治は、マジで気付いていないので、嫌がらせされたと思い、しょぼんとした。
それでも諦めずに、光治はしばらく考えた。
しかし、やっぱりわからなくなったので、シンキングタイムに突入した。
そんな光治には気付かずに、リオーンは装備の着け心地を確認した。
実は[武装鋼]は、鋼と書かれておきながら、実際原料はオリハルコンに似た鉱石だ。
そのため、想像以上に重いはずなのだ。
見た目的にも重そうなのだが、装備してみてリオーンは「意外と軽い……、それどころか軽すぎる!?」と言って驚きながら両腕両足を振り回している。
どうやら、専用装備は、その者が装備すれば軽くなるらしい。
さらに専用装備には、必ず装備効果に、身体力強化が付く。
しかし、専用装備と言えども、耐久値無限は滅多に無いようだ。
リオーンの専用装備は、壊れない、軽い、動きやすいの3拍子揃った、まさに完璧な装備なのだ。
リオーンは、身体力強化により軽くなった体に驚いたが、光治が自分のために作ってくれた事を考えて愛の力と変な勘違いをし、うきうきしながら森の中に入っていった。
光治はまだ考え事をしていた。
リザルティアは、そんな二人を白い目で見ていた。
森に入ったリオーンは、さっそく近くの木に実っている木の実などを片っ端から5、6個余るように調節しながら採っていった。
そんなリオーンを、一つの黒い影がじっと見ていた。
隠密スキルがあるのか、リオーンは全く気付かなかった。
小説のタイトルは自分で考えてくれ。
作品のタイトル出した後に怒られるのは嫌だから作品のタイトルは個人の想像に任せるよ。