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半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
竜と魔導と教師のお仕事?
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かくれんぼ、ですか?

「かくれんぼのルールは簡単だ。隠れている俺を見つけて、魔法を当てることができたら終了だ。捕まえる側はもちろんお前たち四人だ」

「ハァ? ガキの遊びかよ」


 ダリウスが顔をしかめた。

 俺とのかくれんぼと聞いて甘く見ているのだろう。

 

「なら本番の前に俺に魔法を当たれるか試してみるか。絶対無理だろうが」


 来いよ、と指を使って挑発する。


「ナメんな!」


 ダリウスが魔石を持ち、魔素を分解し始めた。


 ――俺の顔面狙いで魔法弾。大きさは昨日俺に打ち込んだものよりも大きめ。その分速度は少し遅いか。


 至近距離で放たれる魔法弾を俺はしゃがんで躱した。


「かわした!?」


 魔力感知を最大限利用した魔法の予測。魔力の操作と魔法の発生の時間がかかればかかるほど俺の読み取れる情報は多くなる。


 ――次は広範囲にバラまくような魔法弾。横には広いが距離が足りない。このまま二歩下がるだけで俺まで届かなくなる。練度不足だろうな。

 

 後ろに二歩下がると、俺に届く前に魔法弾が泡のようにはじけて消える。


 次々と魔法弾が飛んでくるがすべてを回避していく。


「なんで先生は躱せてるでしょうか?」

「わかんないけど、すごいねー!」

「本気は、出していなさそう」


 外野の生徒が喋っている中、一番後ろにいるヤシュヤが慌てた様子だった。

 俺にハンドサインを出してくるが俺にはさっぱりわからない。


「なんで……なんで当たらないんだよ、クソがあああああ!」


 ダリウスは吠えてそのまま練習場を飛び出す。


「トイレにでも行ったのか」

「違うッス! ルーカス先生がプライドズタズタにしたからッスよ!? こっちはサイン出してたッス!!」


 ――そういう意味だったのか。


「プライドがズタズタってこれで心折れるなら魔法師に向いてはいないな」


 ヤシュヤの双眸が獣のように鋭くなる。

 冷たくて重い眼。

 俺に対する軽蔑の眼だった。

 

「向いているとか向いていないとかじゃないッス。先生は生徒のやりたいことをサポートするのが仕事ッスよ」

「誰でも得手不得手はあるだろうが。あと俺は臨時で教師やってるだけで研究者だ」

「……少しでもルーカス先生が他の先生と違うと思ってたウチがバカだったッス」


 ヤシュヤは走って練習場を出ていく。


「ヤシュヤ先生の怒ったところ初めて見ました……」

「……怖かったー」


 リオンとユンが壁際でプルプルと震えている。


「授業は、どうするの?」

「俺は四人の臨時教師だからな。探してくる」


 魔法陣を出して消えない炎を三つ出す。


「俺が戻ってくるまで炎を消す自習ってことで。もちろん、ロシェトナが使った魔法陣破壊以外でな」


 練習場を歩いて出ていく。


 ――どこにいるのか、手に取るようにわかる。

 

 さっきまでダリウスは魔法を使っていた。その残り香とも言うべき魔力が俺にはしっかりと感知できていた。


 ――全力で学生寮へ走ってるな。魔力が霧散しきる前に追い付くか。


 ―― ◆ ―― ◆ ――


 学生寮と校舎をつなぐ長い坂道。そこで俺はダリウスを見つけた。


「ダリウス、何故お前はここにいる」

「……叔父上」


 ――ガリオンも一緒かよ。

 俺は近くにあった柱に身を隠す。


「午後の授業がお前はあるはずだが?」

「『ルーカス』の授業なんて受けたくないです……」


 ダリウスがうつむいて答えると、ガリオンの右手がダリウスの頬を叩きつける。

 表情一つ変えないガリオンの前に涙目のダリウスが倒れた。


「私は『ルーカス』の授業に出てアイツの弱点を探ってこいと言ったはずだ。違うか?」

「そうで、す」

「もう一度言う。アイツの弱点を探してこい。この学校から、いや。魔法界全てから『ルーカス』を排除するために。わかったら授業に戻れ」


 ガリオンの前からダリウスが動かない。

 足が震えている。


 ガリオンがやれやれといった顔で右手を振り上げた。今度は平手じゃない。握り拳だ。


「ダリウス見っけ」


 俺はガリオンが殴る前に言葉をはさむ。


「これはこれは『ルーカス』先生。ウチの甥が授業を抜け出したようで。今叱っていたところです」


 涼しい表情のガリオンに反吐が出る。

 この前ダリウスが頬を腫らしていたのもおそらくガリオンが原因だ。


「そうかよ。戻るぞ、ダリウス」

「え、わぁ!!?」


 ダリウスに有無を言わさず右脇に抱える。メリアよりも軽いので竜化もいらない。


「そうだ、一つ言いたいことがあるんだわ」


 ガリオンに背中を向ける。


「なんですか、『ルーカス』先生」

「――俺を追い出したきゃいくらでもケンカ買ってやるよ。くだらねぇことにガキ巻き込んでんじゃねぇぞクソ『ホーランド』」


 目端でガリオンの口角が下がったのが見えた。


「盗み聞きとはさすが『ルーカス』だな。性悪だ」


 左手が熱くなる。竜化まではしていない。


 ガリオンを殴りたくなったが、先にダリウスをどうにかしないといけない。ガリオンが近くにいる限り、ダリウスの震えは止まらない。


「ダリウス、少し走るからな」

「は、え?」


 俺は練習場まで疾走する。


 ――これだから嫌いなんだ、人間のいざこざは。


「ちょ、離せぇ!」


 ガリオンが見えなくなって暴れ始めるダリウス。

 練習場まで走ればすぐに着く。


「なんであんなやつの言うこと聞いてるんだ」

「離せって言ってるだろおぉ!! みんな見てるじゃねぇか!!」


 廊下ですれ違う人間たちが不思議そうに俺たちを見る。


「元気にはなったか」

「おいこら、エセ教師! オレの話を聞けぇ!」


11/25に更新できたらいいな、って

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