表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
信頼と裏切りと金色の二人
42/162

お礼、それは魔法の講義で

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

 ユビレトの街はサルベアと比べ物にならないぐらい商店がある。

 

 食べ物屋や雑貨屋はもちろん、指輪などの装飾品を売っている店が目に入った。

 ほとんどの店には引っ切り無しに人が出入りしている。


 サルベアでは閑古鳥が鳴いて当たり前の服屋にまで人がたくさんいる。こちらは見た目を気にして活動する人が多いらしい。


 目端には顔を赤くしているクウェイトがいる。

 ギルドを出てからずっと無口だ。


 俺はメリアから頼まれている食べ物が詰められている紙袋を片手にクウェイトの斜め後ろを歩く。

 紙袋には魚のフライやらハムが入っている。


「トリトンさんの言っていたことは真に受けないでくれ」


 クウェイトは俺と顔を合わせないで早口だった。


 嫁だなんだという話のことだろう。


「当たり前だ。そういう話は本人たちが好き同士で初めて成立する話だ」


 大体、俺が誰かを好きになるということに無理がある。

 初恋すらまだなのだ。

 

 俺の中に恋愛感情と呼ばれるものがあるかすら分かったものではない。


「しかし、私もイヴァンさんがギルドに入ってくれたら、とは思う」

「そんなことあの緑帽子に聞かれたら本当にクウェイトが俺の嫁にされるぞ」

「ぬ、それは……」


 言葉に困るクウェイトと共に石畳の下り坂を降りていく。

 

 俺は次に何を買いに行くか買い物メモを取り出して確認する。


 ――アルヴ・スースの木の実マフィン。


「次はマフィンを買わないと駄目らしい。しかも店指定の」


 メリアはどこから店の情報を仕入れてきているんだろうか。


「少し魔法のことで質問がある」

「急な質問だな」

「先ほどから思っていたのだ。イヴァンさんが魔法で店を探せばよかったのでないかと思ってな」


 クウェイトの疑問に俺は首を横に振る。


「それは無理だ。『魔法の限界』にぶち当たる」

「『魔法の限界』? 魔法に限界なんてあるのか」


 俺はその言葉に驚く。


 クウェイトは魔法を使う剣士だ。

 魔法を使う上で知っていると思っていた。


 現代において魔法は魔石があれば誰でも使えるものだ。

 魔石の値段も一般家庭で買えるお手頃なものから特別な性能を持つ高級品まである。


 魔石の購入費さえ準備すれば、後はどうにでもなるというのが普通になってしまっているのかもしれない。

 実際は色々と制約やら法律やらがある。しかし、一般人が魔法を使っても咎められないのは、危険水準に達した魔法を使う人間がまったくいないと言っていいレベルであることが大きな一因だ。


 おかげでみんなルール無用だと思って、間違った認識で魔法を使う。


「『魔法には限界はなく、人間が限界を生み出す』ってのが限界の正体なんだけどな」


 クウェイトの歩みが遅くなる。

 目を輝かせて俺の顔をじっと見てきた。


「え、この話続けるのか」

「是非」


 意外に食いつきがよかったみたいだ。

 戦闘に魔法を使っているから気になるのだろうか。


 買い物の手伝いをしてくれているので、クウェイトが望むなら話そう。

 ただ、わかりやすく話すにはどう話したものか。


 結論から言って話を広げていくことにしよう。


「まず、魔法には三つの限界がある。『魔力の限界・時間の限界・想像力の限界』だ。魔力の限界についてはクウェイトもわかるはずだ」

「魔法の不発、か」

「正解。魔力不足による魔法の不発だ」


 魔法の規模、内容に比例して要求される魔力量は増える。

 俺がさっきクウェイトの言っていた『魔法で店を探す』を無理だといった理由がこれだ。


「特定の場所や物を探す探索魔法は存在する。しかし、街全体というのは現実的な規模ではない。せいぜい民家一軒分ってところだろうな」


 家の鍵を無くした時に使われるぐらいの魔法だ。


「魔力さえあれば可能、ということのように聞こえるが」

「可能か不可能かで言えば可能だな。多分、ユビレトのサイズなら二百近い魔法師が魔素を分解してギリギリ魔力が足りるかどうかだな」

「二百でギリギリなのか……」


 クウェイトが具体的な数字を聞いて参っていた。


 俺が言ったのは魔力量の話だけの話だ。実際は他人の魔力を使うには魔導の知識が必要になるから実質不可能なことではある。


「次に時間の限界。これは魔法で未来にも過去にも行けないこと指すんだが……わからないよな」

「言いたいことはなんとなくわかるがな」


 ――だよな。俺も昔は訳が分からなかった。


「簡単に言うとガラスのコップを割ってしまった後、割れた事実をなかったことには出来ないってことだ」

「なるほど」


 最後の説明が更に厄介なんだよ。

 何度も何度も俺は師匠に確認したり質問したっけ。


「想像の限界は……そうだな。例えば『本を食べれるようにしてください』って言われた場合、クウェイトはどうする」


 俺の荒唐無稽な質問にクウェイトは眉間に皺を寄せた。


災難続いた……。どうも、紺ノです。


現在、深夜1:30。


明日会社なのになにやってんだか。遅刻しないようにしないとね。


―― ◆ ―― ◆ ――


読者の方、いつもありがとうございます。


何の間違いか、PVが3000いきそうです。


皆様のおかげです。


これからものんびりやっていくのでお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ