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半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
信頼と裏切りと金色の二人
41/162

護衛ギルド、ふざけているけどギルド長?

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

 現在の時刻は二時前。


 ラッドの研究室から徒歩二十分ぐらいで護衛ギルドのユビレト支部に到着した。


 ちょっとした宿屋よりも大きな石造りの建物だった。周りには山風を防ぐためか、白い石の柵が並んでいる。


 クウェイトと建物の中に入ると、依頼受付と書かれたカウンターの周りに人が群がっていた。

 噂に聞く依頼の取り合いだろうか。

 

 俺の職業が研究者で良かった。

 仕事を手に入れるのに競争する必要なんてないからな。


「おや、クウェイトじゃないか。仕事中じゃないのん?」

「トリトンさん、いいところにいてくれた」


 糸目で大きな緑の帽子をかぶった青年がクウェイトに話しかけてきた。


 クウェイトの反応からして警護の増員に関係ある人らしい。


「ん? ん? なになに? クウェイトがハロルド以外の男を連れてるなんて珍しいこともあんのね」


 好奇の目で男に俺は眺められる。


「仕事サボってデートはいただけないんよ」

「デートだと? 私はそんなことしていないぞ」


 淡々とクウェイトは言葉を返す。


「えー、おもしろくないのん。白衣のお兄さん、この子こんなこと言ってんよ? 男としてどう思うん?」


 糸目の青年――トリトンは俺に顔を近づけてくる。


 白衣のお兄さんって俺か。


「特に何も」


 事実、デートなんてしていない。後で俺の買い物に付き合ってもらうだけだ。


 トリトンは口を尖らせる。

 何か不満なのか。


「イヴァンさん、まともに相手をしなくていいぞ。この人は人をおちょくるのが好きなんだ」

「人をおちょくるのが好きなんじゃないんよ。ただ人の困った顔とかが好きなだけだよん」


 胸を張るトリトン。

 クウェイトは目で俺に「困った人だろう?」と言っていた。


「随分といい趣味してるな」

「褒めてくれてるのん? ありがとん」


 ――褒めてない。


「トリトンさん、ちょっと真面目な話がある」

「クウェイトの話で真面目な話じゃないことあったのん?」


 首を傾げながら煽るようにトリトンは言った。

 クウェイトの口角が引きつる。


 トリトンの一番のおもちゃはクウェイトではなかろうか。


「警備の増員をお願いしたいんだが」

「いいよん」


 あっさり了解を得てしまった。

 これでいいのか不安になる。


 ギルドはラナティスと違っているとはわかっていたがここまで違うものか。


「昨日露店街でメリア・フィーバーあったって聞いてたからこのことは予想はしてたよん。今日の夜までに手配しとくよん」

「ならお願いする。イヴァンさん、では行こうか」


 クウェイトは俺たちが入ってきた扉を開けて出ていく。


「え、こんな簡単に終わっていいのか」

「いいんだよん。ボクの予想内だもん。ところで、クウェイトと戦ってキミが勝ったって本当なのん?」


 トリトンが疑いの視線を俺に向けていた。


「勝った負けたで言うなら勝ったんじゃないか」


 あの手合わせは勝つことではなく、早く終わらせることしか考えてなかった。

 面倒だったし、やる気もなかったはずだ。


「クウェイトは若いけど実力はうちの中でトップクラスなんだよん。それが研究者に負けるとは思えないんだけど」


 トリトンは俺をまっすぐに見る。


 信じられないのか、それとも俺の何かを探ろうとしているのか。

 多分、後者。

 

「何が言いたいんだ」


 声に少し圧を加える。


「んー、キミみたいなタイプは言葉で惑わすより、ハッキリものを言った方がいいねん。――キミ、護衛ギルドに入らないん?」


 ――はい?


「ボクはギルドを大きくしたいんよ。そのためにはより良い人材が欲しいのん。強い人が欲しいのん」


 本当にはっきりと物を言ってきた。


「それでクウェイトに勝った俺をスカウトしようとしてるのか」

「イエスなのん。クウェイトがラナティスの依頼から帰ってきてからというもの、キミの名前をよく聞いていたからねん」


 ――俺の名前を?


 クウェイトのやつと関わった時間は二日に満たない。その中で何かあっただろうか。


「もう、いっそのことクウェイト嫁にしていいから入らないん? 夫婦でギルド盛り上げてよん」


 無茶苦茶を言い始めたトリトンに俺は呆れる。

 

 目的のためには手段を選ばないという事なのだろうか。

 本気かどうかわからない。


 なんだこの人は。

 今まで出会ってきた人間の誰にも当てはまらない。


「誰が、誰の、嫁になると?」


 殺気の(こも)ったクウェイトの声に身体が強ばる。

 振り向いてはいけない。


 冷や汗を掻くトリトンが目の前にいる。

 立ち位置的に恐ろしい顔をしているクウェイトが見えているはずだ。


「ギルド長というのはそんな権限を持っていたのか。初耳だな、私は」

「クウェイト、剣に手を掛けないで欲しいのん!」


 俺とメリアって周りから見たらこんな感じなのかな。


 そんなことを思いながらトリトンとクウェイトのやり取りを聞いていた。



買い物まだー? どうも紺ノです。


買い物の話書くつもりがこんな風に化けた。


どうなるかマジで未定なので2章の終わりがどうなるか紺ノも楽しみです。


読者の方、いつもありがとうござます。


突然ですが、明日の4/11はリアルの方で用事があるため、お休みです。


次は4/12または4/13です。


これからも『竜と魔法と世界の教科書』をよろしくです。

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