表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
信頼と裏切りと金色の二人
40/162

金色を狙う影、嵐の前の静けさ

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

「クウェイト、なんでこっちにいるんだよ」


 ラッドの研究室を訪ねてきたクウェイトに質問する。

 

 メリアの警護はどうしたんだよ。


「そういうイヴァンさんこそ。いや、私的には好都合か」

 

 勝手に納得されて、話が打ち切られた。


「それでハーヴェンさんは俺に何か用かい?」


 ラッドがクウェイトにゆったりと話しかける。

 クウェイトは首を横に振った。


「私はラッドさんにイヴァンさんの居場所を聞こうとしていたんだ。宿に戻ってもいなかったから分かれた後何処かにいったものだと思っていた」


 ――俺に用事なのか。


「イヴァンさん、メリアさんから手紙を預かってきた」


 クウェイトから手紙を受け取る。


 ――買い物リスト。パーティがはじまるまでに買っといてね!


 そう書かれていた。

 買ってくるように書かれているものは食べ物ばかり。一部店の指定まである。


「なんで俺がパシられなくちゃならないんだよ」


 マイロ呼んで来いよ。多分、今頃ラナティスで雑用やってるだろうけど。


「メリアさんはすごいな」

「どこがだよ。俺は確かにあいつの部下だけどこんな事をするために下にいるんじゃないんだぞ」

「『買い物が私のお願いだよ』だそうだ、イヴァンさんは適当に言ったことは忘れてるだろうからそう言えば良い、と」


 ふふふふ、とメリアが腕を組んで笑っている姿が浮かんだ。

 

 俺は自分の口を呪う。

 ――最悪だ。

 買い物に時間を取られるということは本を読む時間を奪われるということだ。

 

 後一冊ある『妖精郷の王子』も『精霊の旅路』と同じぐらいの分厚さがあった。つまり四百ページ超の長編。

 ラッドに本を借りていられるのがユビレト滞在中だ。

『精霊の旅路』を読み終えるのに八時間近く掛かっている俺だ。『妖精郷の王子』も同様の時間が掛かるはず。

 

 そこまではいい。

 

 問題があるとしたらパーティ以降の催しは俺もメリアの部下として出席しなくてはいけない。

 出席せず本を読むという手段もある。しかし、それをするとラナティスに帰ったとき婆さんにどやされかねない。


 ――それは面倒だ。果てしなく面倒だ。


「グダグダ言っても始まらないか」


 目先の買い物を済ませるとしよう。


 俺はソファーから腰を上げる。


「ラッド、買い物に付き合ってくれないか」

「俺はここから離れられないぜ」


 慣れぬ土地で店を探すとか難しいだろう。


「面倒だけど人に聞くか」

「私が案内しようか?」

「クウェイトは警護の仕事しろよ」


 俺の言葉にクウェイトが困った顔をした。


「これでも仕事中だよ。ギルドの方に戻って増員の話をしに行く途中だ」


 昨日の夜そんな話してたな。


「俺に付き合ってたらダメじゃないか」


 警護の仕事の延長線上に警護対象以外の道案内があるとは聞いたことがない。


「大丈夫だ。意見交換会の会場は招集された研究者しか入れない。どのみち私やハロルドは会場の外で不審者が入らないか見張ることしか出来ないんだ」

「俺と一緒に彷徨いていい理由にはならないような気はするぞ」


 意見交換会でメリア・フィーバーが起こるとは思わないけどさ。


「ちゃんとメリアさんには許可も貰っている。十八時までに戻ればいいそうだ」


 ならいいか。


 買い物が終わってなかったらメリア五月蠅(うるさ)そうだ。

 それこそ許して貰うために俺の鱗を差し出さなくてはいけなくなる。


 それはごめんだ。


「案内、頼むわ」


 俺はクウェイトに案内をして貰うことにした。

 少しでも早く終わらせたらパーティーまでの時間を読書に当てられるからだ。


 クウェイトと話し合って、案内の前に護衛ギルドで増員の要請をすることにした。


「それじゃ、ラッドまた夜のパーティーで」

「おう。また後でな」


 ラッドが手を振って見送ってくれた。


 ――さて、面倒ごとを片付けにいきますか。


 俺とクウェイトと共にラッドの研究室を後にした。


―― ◆ ―― ◆ ――


 イヴァンとクウェイトがラッドの研究室を出る姿を見ている二人の男がいた。

 昨日、露店の店主に化けて見ていた男とその手下である。


 とある建物の屋根の上からイヴァンとクウェイトが街に向かうのを確認していた。


「アニキ! あの金髪のネェちゃんがあっしらの得物ですね!」

「馬鹿か。確かにあの女も金髪だが違う。俺たちの狙いはメリア=マイアットだ」

「え、あれは違うんですかい?」


 金髪の女、という言葉に手下は思考が捕らわれていた。

 片や男はクウェイトの容姿と装備から状況をおおよそ理解していた。


「あれは護衛ギルドのハーヴェンだな。露店街でも見かけたがどうやらメリア=マイアットを護衛ギルドの連中が守っているようだ」

「どれだけ守られていたとしても、あっしらには関係ないことですよ。だってあの魔法がありますから」


 キシシ、と手下が調子を上げて笑う。


「過信はするな」

「アニキ、心配性っすね」

「依頼を絶対にこなすために必要なことだ。一度アジトに戻るぞ。計画の練り直しだ」


 男は身を翻して屋根の上を走る。

 目的は街の外にあるアジト。


「あ、待って下さいよ。アニキィ」


 手下は獣のように四足で男の後を追った。


最近また格ゲー始めました。どうも、紺ノです。


仕事と執筆と格ゲー、あと友達とマイ◯ラやったりしてます。


時間が足りない・・・・・・。


―― ◆ ―― ◆ ――


読者の方、いつもありがとうございます。


この作品は読者がいるおかげで続いています。


これからも読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ