表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
信頼と裏切りと金色の二人
33/162

お祭り騒ぎ、メリアはとっても有名人?

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

 露店の隙間を慣れた様子でラッドは進む。


 俺は鞄を二つ持っているので歩きづらくて仕方がない。


「ほら、やっぱりいたぜ」


 ラッドが一つの露店を指す。そこにはメリアの姿があった。

 

 何やら店の主人と話しているようだ。


「この翡翠竜の鱗、いくら?」

「金貨十八枚だ」

「手持ちがないなぁ。あ、滞在費のお金を使えば・・・・・・」


 メリアは懐から滞在費の入った袋を取り出した。


「メーリーアー! お前、今何しようとした!」

「ひうっ! イ、イヴァン!? 何もしてないよ。うん、してない」

「そんなわけあるか! 滞在費使って竜の鱗買おうとしてただろうが!」


 竜の鱗の適正価格とかは知らないが金貨十八枚とかあり得ない金額なんだけど。

 サルベアとユビレトを魔法列車で三往復できるんだけど。


 来て早々散財しようとしてるんだよ。

 メリアの異常なまでの竜好きは知ってるが、容認できない。


 涙目のメリアを睨み付ける。


「イ、イヴァン君、落ち着いて」

「離してくれラッド、メリアに説教しなくちゃならない」

「イヴァンさん、そうも言っていられないようだぞ」


 クウェイトの言葉で俺は周りの人々の視線に気づく。

 好意あるいは尊敬の目がメリアに向いていた。


 人が足を止めて俺たちを見ている。

 

「メリアって今聞こえたぞ」

「メリア様だって?」

「いるの!? ユビレトに来ていらっしゃるの!?」


 ざわざわしてきた。

 俺のことを嫌悪する目が混じっている。この嫌悪感はラナティスでも何度も感じたことのある『お前がなんでメリアの近くにいるんだ』的なものだ。


 ――嫌な予感がする。


「この男からメリア様を守れー!!」

「「「うぉぉぉぉ!!」」」


 ――俺が悪者になってるのかよ!?


「イヴァン君、走れ!」


 俺は左の肩から手首まで竜化して、メリアを脇に抱える。

 そのままラッドとクウェイトのいる方へダッシュ。

 

 訳が分からないまま露店の並ぶ通りを走り抜ける。

 後ろからは恐ろしい顔をした人たちが追いかけてきている。


 なんか人が増えてるし!


「メリア・フィーバー――話に聞いていた以上のものだな」


 並走しているクウェイトが妙なことを口にする。


「何その恥ずかしい名前」


 脇に抱え込んだメリアが顔を赤くした。


「もうやだ・・・・・・恥ずか死ぬよ・・・・・・」


 ラッドが俺とクウェイトの前で叫ぶ。


「頼むから今はただ走れ! 捕まったらかなりメンドウだぜ」


 状況は理解していないがそれは理解出来る。

 

「宿は後だ後! 近くにある俺の研究室に逃げ込むぞ!」


 ラッドの研究室に行き先を変更した俺たちはユビレトの街を逃げ回る。

 追いかけてくる人は増え続けるばかり。


 到着早々、こんなことになるとは思っていなかった。


 ――ユビレトが良さそうな街だとか思ったの誰だよ。


―― ◆ ―― ◆ ――


 俺たち――俺、メリア、クウェイト、ラッドの四人――は逃走劇の末、ラッドの研究室に到着。

 雑多に並んだ古い本が出迎えてくれた。


 着いた瞬間、ラッドがへばる。

 激しい呼吸をしながら倒れた。もう動けないらしい。

 

 俺とクウェイトは身体が出来てるから息切れはしているが問題ない。

 抱えていたメリアを下ろして竜化を解く。


「で、何あの現象」


 喋れそうなクウェイトに尋ねる。


「通称、メリア・フィーバー――メリアさんのファンの暴走だ」


 ファンで片づけていいのか。駄目な気がするんだけど。


 俺の足元でメリアが耳を押さえ、ぷるぷる震えていた。


 ――メリアが来たくなかった理由はこれか。


 俺は確信した。

 毎度こんな風になっているとしたらメリアとしても堪ったものではないだろう。


「もしかして俺がメリアの名前を呼んだからあんなことになったのか」

「おそらく」


 迂闊だったようだ。


 竜の研究者メリアは竜の住む街として有名なユビレトでは相当有名らしい。

 

 メリアには怖い思いをさせたかもしれない。

 あとで謝っておこう。


「今回の身辺警護の任務を甘く見ていた」


 横でクウェイトが真面目な顔で呟いた。


「み、水をくれ・・・・・・」


 ラッドが床にへばりついて呻いた。


「もうやだ・・・・・・。おうち帰りたい」


 蹲るメリア。


 ――俺、とんでもないものに付き添っているのではないだろうか。


 これからの三日間に不安を覚える俺だった。


―― ◆ ―― ◆ ――


 イヴァンたちが逃げる直前のこと。


 露店の店主に成りすましてメリアを見る男がいた。


「あれが今回の依頼のターゲットか」


 イヴァンに抱えられる姿を確認する。


 依頼人から受け取った情報を通りだった。

 

 ――男と共に行動をする金髪の女。


「計画を立てるとするか」


 男は露店をいそいそと畳んだ。

 

このあとどうなるの? どうも、紺ノです。


『竜と魔法と世界の教科書』を読んで下さる方が毎日どこかにいるようです。


作者として嬉しいです。ありがとうございます。


書きたいもの書きなぐるだけの人ですけど、よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ