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半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
竜と盗人とはじまりのお話
27/162

相性と反撃の狼煙

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

「竜殺しの魔素・・・・・・か?」 


 俺は痺れる身体に鞭を打つ。

 壊れた人形のように不自然な動きをして立ち上がる。


 記録石(スフィア)の調査のときにも痺れたが今回は毒性がさらに強力になっている。


 痺れがなかなか取れない。


 怒りでいっぱいだった頭がさっきの一撃で正気に戻された。

 頭の歯車が正常に回り始める。


「竜殺しの魔素ねェ。そういう言葉が出てくるってことは随分と熱心に世界の真実を調べてるンだなァ」


 オリフィスは俺が師匠の研究を引き継いだことが面白くないようだ。

 冷たい目が俺を突き刺す。


「師匠の夢を叶える。それが今の俺に出来ることだからな」


 俺はオリフィスに言葉を返しながら竜殺しのカラクリを思索する。


 目に映るのは俺に敵対心剥き出しのオリフィスと青く光る古ぼけた大剣。あとは周りに広がる闇夜の森と砂の魔法でヒビの入った地面だ。


 ――どこかにヒントはないか。


 竜殺しという想定外の魔法はすぐに打開しないと、攻撃される度に脱力と麻痺で俺が一方的に不利になる。


 ――ただでさえ俺とオリフィスは昔から相性が悪い。


 オリフィスは魔導の仕組みを理解している。俺が魔石よる魔素の分解がロクに出来ないことも知っている。それ故に本来やらないはずの魔素の適量分解を実行し、俺から魔力を掠め取れないようにしている。


 竜化は下手をすると動きを止められて隙を生む。魔導による魔法の行使はさせてもらえない。

 やりづらいことこの上ない。


 脂汗が俺の頬を伝う。


 オリフィスの大剣が発光しなくなる。

 何を思ったかオリフィスは魔法を解いて俺に話しかけてきた。


「今ココでお前がエル先生の夢を諦めるっていうならオレはもう何もしないサ。拒否するなら――」

「ふざけんな! 誰が諦めてやるかよっ。俺は師匠に約束したんだ、世界の真実を絶対突き止めてやるって」


 昔、師匠と約束した教科書作りの旅は守れなかった。だから代わりの約束を師匠の墓前で俺はした。


 師匠の夢は俺が叶えてやるから、と。


 ――他人に口出しされて『はい、じゃあやめます』なんて言ってたまるか。


「なら力尽くで諦めさせてやるサ」


 オリフィスの纏う雰囲気が重くなる。


「上等だ。やれるもんならやってみやがれ」


 暗い森の中、大剣の魔石が力強く光を放つ。


 俺はその一瞬、確かに見た。

 魔石の中で魔法陣がうっすらと浮き上がっていた。つまり、オリフィスの魔石も記録石(スフィア)だ。


 おそらくメリアが発掘した記録石(スフィア)と同種。


「その記録石(スフィア)が竜殺しの鍵か」

「眼が良すぎなのは問題サ」


 オリフィスは俺に斬りかかってくる。


 地面を蹴って後ろに回避する。

 大剣の振りが鋭くなっていた。風切り音がしっかりと聞き取れる。


 もし、俺が人に戻ることで竜殺しの毒が効かなかったとしても、剣の振りと重さで骨が折られる。

 剣が当たったら即アウトの状況は変えられそうにない。


 ――竜殺しの付与(エンチャント)を封じて、竜で戦う。


 現実的かはともかくそれが一番スマートだ。


「あっぶね」


 思考しながらの回避で大剣の切り返しに当たりかけた。


 上半身を反らしてギリギリで避ける。


 研究者になってからは荒事が起こると竜化してすぐに片を付けていた。ここまで追い詰められて戦うのは初めてだ。


 ――対策をするのに時間稼ぎが必要だな。


「相変わらず回避は上手いねェ!」


 オリフィスの斬撃は止まない。

 四方八方から大剣が俺の身体を狙ってくる。

 クウェイトもなかなかの剣戟だったが、オリフィスには遥かに劣る。


「お得意の魔導は使わないンか?」

「どっかの誰かさんが魔力を綺麗に使い切ってるおかげで無理なんだ、よ!」


 あからさまな挑発に俺は見栄で笑った。


 俺はしゃがみこむ。そして竜の力を全開にして地面を殴る。


 竜の一撃で地が縦に大きく震える。


 オリフィスの魔法でヒビの入っていた地面が嫌な音を立て始める。

 

「な、何を考えてるサ!」


 オリフィスは予想外の揺れに戸惑っていた。

 地面の揺れが強くなる。地のヒビが俺とオリフィスの足下を走った。


「――地の底へ一緒に落ちようか、オリフィス」


 森が二つに裂けた。


「竜の力はデタラメ過ぎるサ!?」


 俺とオリフィスは割れた地面に吸い込まれていった。


―― ◆ ―― ◆ ――


 森の地下は存外明るかった。


 月の光を遮っていた木も俺とオリフィスと一緒に落ちてきたせいだろう。

 俺たちがさっきまでいた地上まで戻るのは常人では無理だ。壁を走るにしても届かないだろう。手を竜にして、爪を刺しながら上れば問題ないはずだ。しかし、今そんなことしたらオリフィスに狙われるのでしない。


 砂と岩で覆われた地下には上から崩れた瓦礫の山がある。

 俺はその一画に身を潜めていた。


 作戦を練るためだ。


「ヴァン、どこいったサー」


 音でオリフィスに場所がばれないように腰の鞄に静かに手を突っ込む。


 ――紙、ペン、インク瓶、スライム調合セット、火傷時の薬に止血用の軟膏あとは空の薬瓶と魔素の試験薬か。他の薬は瓶が割れてるな。


 手の感触だけで鞄の中がどうなってるか、何が入っているか確かめた。


 俺の手札は割とショボいらしい。

 でも、やりようはある。


 地下の広さを目測で判断する。


 ――申し分ない。あとは俺次第か。

 

 俺はオリフィスに見つからないように反撃(実験)の準備を始めるのだった。


祝日やっほい! どうも、紺ノです。


『多分、ちゃんとしたラノベってこんな風に書くんだろうなー』とか思って書いてます。

今まで技術的(?)に書かなかったことやってたらこうなってた。


大丈夫かね、これ。


読者さん、いつもありがとう。

多分、紺ノはアクセス数とかユニーク数(←こっちは最近知った)とか目に見える物がないとモチベ続かないので、読者いてくれることに感謝です。


本当にありがとうございます。


これからも読んでもらえると作者として、大変嬉しいです。

今後ともよろしくお願い致します。


―― ◆ ―― ◆ ――


メリア「うーん」

紺ノ「何やってるの?」

メリア「いやーこの作品の始めの文と今の文見てたんだよ。かなり変わってるよね」

紺ノ「二週間で三万字近く書いてるせいか、なんか気がついたら変わってた。僕にもわからない」

メリア「イヴァンにも物語書かせたら、口調直るかな?」

紺ノ「変わったとして、敬語のイヴァンとか気持ち悪いでしょ」

メリア「だよね!」

イヴァン「そういうのは本人のいない所でやれ」



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