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半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
竜と盗人とはじまりのお話
16/162

手合せと戦闘狂

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

 警備団の訓練場へ会議室にいた面々は赴いた。


 俺とクウェイトはラナティス本部の外にある訓練場の真ん中にいた。


 屋根はなく、日差しが真上から照りつける。こういう日は研究室に籠もって研究しているにかぎるのだが、そうはさせてもらえない。


 クウェイトはやる気に満ちあふれているのか、模擬戦用の木剣で素振りを始める。対してやる気のない俺は地面の上で胡座を掻いて欠伸をしていた。


 もうすぐ手合わせ開始と言うところで、厳ついオッサンが俺に近づいてくる。このオッサンは会議室でクウェイトの隣にいた人物だ。


「ハーヴェン隊長がすまないな。強い相手とは戦いたくなる人なんだ」


 オッサンは俺に耳打ちでそういった。

 なるほど。クウェイトは脳筋なんだな。


「あんたが謝ることではないだろう」

「しかし、研究者のルーカスさんに怪我をさせてしまったら、護衛ギルドの人間が何をしているんだという話になるわけでだな」


 確かに、『依頼元の人間を傷つける護衛ギルド』なんて意味のわからないことになる。依頼も減ることだろう。しかし、『竜化』したら俺は並大抵の攻撃じゃビクともしない。怪我の心配は無用だ。

 

「おい、ハロルド! お前、イヴァンさんに手加減するようにとか言ってないだろうな!」

 

 俺とオッサンことハロルドが話しているとクウェイトが勘違いをしていた。

 

「言っておりませんよ。ルーカスさん、無茶だけはしないようにお願い致しますね」 


 ハロルドはそう言うと婆さんとマイロがいる見学席へ歩いて行った。


「イヴァンさん手加減無用で頼むぞ」


 ――手加減しなきゃ人間ぐらいの重さなら軽く雲付近まで殴り飛ばせるんだけどな。


 クウェイトみたいなタイプは納得できるまで何度も戦いを挑んでくる。落としどころというものが必要だろう。


 手合わせを早めに終わらせて記録石(スフィア)の研究したいため、落としどころをどうやって作り出すか考えなくてはいけない。


 クウェイトは見たところ魔法を使う戦闘をしなさそうだ。


 腰につけている薬品の入った鞄を俺は触る。


 俺が主に使う魔導というのは相手の魔法を利用することで効果を発揮するものが多い。オリフィスの偽物を捕まえた時のような魔法への細工はできないと思って行動すべきだろう。


 ――落としどころ思いついたはいいけど、どうするかが課題か。


「じゃ、審判は俺がやろう。準備はいいか?」


 団長が俺とクウェイトに確認する。


「こちらは準備オーケーだ!」

「さっさと終わらせようぜ」


 俺はゆっくりと立ち上がる。


「では――始め!」


 団長の声に合わせてクウェイトは俺の懐に飛び込んできた。


 クウェイトがニヤリと笑って木剣を振り下ろす。


 俺は身体を反らして回避する。


「早っ!?」


 マイロが俺の心を代弁するように叫んだ。


 この脳筋女、相当の使い手らしい。ちゃんとしないと痛い目を見そうだ。


「どんどん行くぞ!」


 クウェイトは木剣を最低限の動きで確実に俺に当てようとしてくる。


 俺が何かしようとしても切り返せる余裕がある。

 手合わせのレベルを遥かに超えていた。それでも俺は的確に避け続ける。


 この程度であれば師匠のしごきに比べたらまだマシだ。

 前進しながらクウェイトは攻めてくるので、俺は必然的に後退する。結果、訓練場の壁へ追い込まれる。


「追い詰めたぞ。案外あっけないな」

「期待ハズレで悪いな。俺はただの研究者なもんでね」

「では、これで終わりだ!」


 手合わせを終わらせるための一撃だからなのか、木剣の振りが大きくなる。


 ――ここだな。


 左腕を『竜化』させて相手の木剣を横から叩く。


 クウェイトの手から木剣が吹き飛ぶ。手加減はしたので木剣を握っていた手は赤くなっているが問題は無い。


 いや、クウェイトの表情には問題ありか。夢幻(ゆめまぼろし)を見たような顔をしている。


「これを狙っていたのか?」

「剣がなけりゃ戦えないだろう。これで手合わせは終了だ。終了」


 俺が左手の『竜化』を解く。


 武器の無力化が俺の狙いだった。問題は無力化する隙をどうするかの一点だ。隙さえ作ればななんとかできると思っていた。


 これで手合せは終了だ。あとは警備の話を聞いたら記録石(スフィア)の調査に戻れるはず。


 俺が気を抜いているとクウェイトは後ろにジャンプして距離をとっていた。


「いや、まだです」


 クウェイトはどこかに隠し持っていた灰色の魔石を取り出した。


 魔石による魔素分解の兆候――発光現象が発生する。


 空中に槍が生み出されていく。

 最終的には俺の視界を幾百の槍が埋め尽くす。


「おいバカ! これは手合せだろ!」


 俺の言葉にクウェイトは目で答える。


 ――腹の虫が収まらないんだ、と。


 負けず嫌いも入っているとなると手の付けられない戦闘狂だ。

 ハロルドのオッサンが無茶をするな、と言っていたが無茶はどっちだ。


「全てを貫け!」


 すべての槍が俺に向かって襲ってくる。


 俺は舌打ちをして、腰の鞄から薬瓶を三つ取り出す。そして宙に投げる。


「――生成(ライズ)!」


 声を荒げる俺はただ想いを明確にする。


 ――師匠の夢を叶えるまではまだ死ねないと。

 

「イヴァンさん、一応寸止めにしたんだけどびっくりしていただけまし……たか?」


 クウェイトの自信あり気な声が素っ頓狂な声に変わる。


 それもそのはずだ。寸止めの予定だった槍は俺の生成したスライム状の壁にすべて絡め捕られているのだから。


 俺に魔法で一矢報いるつもりが全て防がれてしまった、といったところか。


「お強い、ですね。私の完敗です」

「そりゃどうも」

 

 俺はクウェイトの心を折ることに成功したようだった。

前回に引き続き、衝動で書いてしまった。

たぶん、後で修正入るんじゃないかと。


とりあえず、気が付いたら修正していきます。

修正内容は矛盾の削除と言い回しとかなので物語そのものは変更いたしません。

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