資料庫と牢屋
初投稿です。
誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。
魔素の変化の可能性について調べるためにラナティス本部の資料庫に来た。
過去の研究成果や論文などがまとまっているここは調べ物にはうってつけだ。
「何調べるの?」
メリアはなんかついて来た。
「魔素の定期計測記録についてだな」
魔素の定期計測とは名前の通り、定期的に魔素の濃度などを計測することだ。それをまとめた記録を現在から過去に辿れば何か新しい発見があると睨んだのだ。
――問題は何年前までの記録が保管されているのか。
資料庫の外で人が走り回る音がする。
「今日の本部はなんか慌ただしいな」
「オリフィスの予告が届いたからだよ」
メリアは行儀悪く机の上に顎をつけていた。
「なるほどな」
「イヴァン、随分と落ち着いてるよね。みんな研究が盗まれないようにしたり警備強化したりしてるのに」
ジト目でメリアがそう言った。
俺は必要な資料を腕に重ねて机に運ぶ。
「ここの警備を上げたところで無駄だろうからな」
「なんで?」
「認めたくないが、アイツは俺の兄弟子だぞ。侵入をどう防ぐんだよ」
メリアは俺の言葉に納得したのか、あー、と声を出した。
俺と同じ師匠を持つオリフィスが誰かから妨害受けたところで屁でもないのだ。
オリフィスの侵入を防ごうと思えば、俺以上の戦闘能力持った人材を集めてこないといけないだろう。
メリアが横領した記録石を白衣のポケットから取り出す。
「もっとも、アイツが狙っているのは俺が絶賛調査中のコレなワケだが」
「コレ、だよね」
記録石の解明は空白の時代を埋める物になると俺は確信している。
重要なものだ。盗まれるわけにはいかない。
「持ってきたの!?」
「置いとくよりかはいいと思って」
研究室に置いてて盗まれました、とかみっともないだろう。
「言いたいことは分かるけど出さないでよ!」
「はいはい」
そんなに怒鳴らなくてもいいんじゃないか。誰もいないのは確認したぞ。
俺は記録石をまた白衣のポケットに入れた。
「メリア、俺に付き合ってていいのか。お前も研究あるだろ」
「申請通したんだけど、アタシの手元に資料が届かないのよー」
不満の声を出すメリアを俺は気にせず、資料を読み始める。
これは三年前から去年までの記録らしい。
「何か分かった?」
「そんなにすぐわかるかよ」
魔素濃度の変化とか魔力変換時の効率とか見る数値多いんだぞ、と言ってやりたかったがメリアには分からないことだ。
俺は資料の中でも必要な部分だけを目で追っていく。それでも膨大な量となることだろう。
――頭に入りきるだろうか。
「次だな」
四年前から十年前の資料に手を出す。
「イヴァン」
「なんだ」
「退屈なんだけどー」
「知るかよ」
―― ◆ ―― ◆ ――
同時刻、ラナティスの地下牢では一人の男が叫んでいた。
「オレのメシはまだか!」
イヴァンが捕らえたオリフィスの偽物である。
ラナティスが本物のオリフィスに狙われて慌ただしくなっているため、忘れ去られていたのだ。
「ま・だ・か!」
空の食器をスプーンで鳴らして催促する。
しかし聞く者は誰もいなかった。
ラナティスの関係者では、という話だが。
「騒いでもでねぇサ」
オリフィスの偽物は向かいの牢屋に入っている人物を睨んだ。
長い銀髪に中性的な顔立ちで男か女か判断がつきづらい。背丈と声質から二十前後の青年だと推測する。
「なんだよ兄ちゃん、お前もなんかして捕まったのか?」
「コレからなんかする予定なンだよ」
青年は悪戯な笑みを浮かべた。
言葉の意味は理解できない。
「なんだそりゃ」
「オッサンは何をしたンだ?」
青年の品定めをするような視線にオリフィスの偽物はびくつく。
酷く冷たかった。
ヘビに睨まれたカエル、という言葉が現状を表すのに適切だ。
声を少し震わせて、偽者は返答する。
「魔石を盗んだ」
「ショボすぎ」
視線から冷たさが消えた。
やる気を失ったのか。青年はそっぽを向く。
オリフィスの偽物は青年の態度に憤慨した。
「こっちはな。生きるために必死なんだよ! 魔法師首になってなりふり構ってられねぇんだ! なのに、あのイヴァンとかいうガキが邪魔したんだよ! なんだよあの魔法陣も魔石もなしの魔法は!」
思い出すだけでムカムカする。
魔法を容易く避け、見たこともない魔法を公使する研究者。
魔法師として働いていたときでもそんな化物に出会ったことがない。
「イヴァン?」
「そうだよ! イヴァン! あぁ、忌々しい!」
「本当にそいつはイヴァンと名乗ったのか?」
「名乗っちゃいなかったが、そう呼ばれてるのを聞いたぜ」
青年は顎に手を当てて思案顔だった。
「ヴァン――弟かと思ったんだけどなァ」
そんなことを青年が呟いた。
青年の手がほんのりと光る。
「とりあえず、お仕事しようかなァ」
仕事ってなんだよ、オリフィスの偽物がそう尋ねようとしたとき確かに青年は口にした。
イヴァンという研究者と同じ言葉を――。
「――錬成」
言葉を聞いたと同時に牢屋の鉄格子が裁断される。
人が軽々通れるサイズの穴がそこにはあった。
「おい、兄ちゃん・・・・・・今、何した」
「何って魔導サ。もっとも、弟には全然及ばないけどサ」
「俺も出してくれよ!」
「ダーメ」
青年は笑顔で続けて言う。
「人の――オレの名前を騙ったヤツを助けると思うのは可笑しいよなァ」
「名前を、おま、え? お前が?」
青年が無言の笑みで返す。
――自分がオリフィスだと。
イヴァン「これより裁判を始める」
メリア「イェーイ!」
イヴァン「検事、静かにしろ。さて、被告人前へ」
紺ノ「・・・・・・はい」
イヴァン「作者もとい被告人よ、数ヶ月何していた?」
紺ノ「仕事で身体壊してました。あと、思いついてしまった別の作品に時間かけてました」
メリア「裁判長! 被告人の言っていることは嘘ではありませんが、その話は一ヶ月前のモノであります!」
イヴァン「発言を許してないが、まぁいい。証拠は?」
メリア「マイロくんが持ってきてくれました。これです!」
モ◯スターハンターワールドのパッケージが裁判長の前に置かれた。
紺ノ「ごべんなざい! HR140までしてごべんなざい!」
イヴァン・メリア「有罪!!」
というわけで、一月末まで身体壊してました。
更新するとか書いといてそれかよと。
読者の方申し訳ありませんでした。
またちょこちょこ更新します。
三月中旬まで休職しているので、そこまでは出来た端から更新してます。多分
そっから先はまた一~二週間に一ページかなと。
とりあえず、モンハン楽しいです(反省してない)