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半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
竜と盗人とはじまりのお話
11/162

記録石と調査録 2

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

 目と口を大きく開けたまま固まったメリアに対して、俺はもう一度繰り返した。

 

 ――変なことでもしただろうか。

 

「何とんでもないことしてるの! え、解析するの魔導具なしで出来るの!?」

記録石(スフィア)に刻まれた魔法陣を正式な手順で起動すればいいだけだろう。驚いている理由がわからん」

「いやいやいや、国お抱えの魔法師たちでも記録石(スフィア)の解析に魔導具使うんだよ。それを魔導具なしでやるのはおかしいでしょ」


 記録石(スフィア)の魔法陣は透けて見えている。これを見れば起動方法はわかるはずだ。


「だとしたら、その魔法師たちは二流か三流だな」

「問題発言だよ!!」

「魔法陣の解読なんて魔法の初歩だ。研究者の俺ができるのに本職ができなくてどうする」


 師匠も『魔法を使えるだけなら二流以下だ』とか『魔法陣が読めないクズは魔法師を名乗るな』とかよく言っていたぞ。

 記録石(スフィア)の魔法陣の内容は難解な部類だが、時間を掛ければ誰でも出来ると思う。


「普通はできないんじゃないかな」


 俺はメリアを無視して、記録石(スフィア)を床に書かれた魔法陣の中心に置いた。そして、魔法陣に手を当てる。


 呼吸を整えて、頭の中を魔法陣の起動に集中させる。


 考えるのは記録石(スフィア)を解析したいということだけ。

 俺は思考を魔法陣に伝えるように、優しく呟く。


「――生成(ライズ)


 魔法陣が穏やかに発光する。その光は記録石(スフィア)にゆっくり吸収されていった。

 記録石(スフィア)に取り込まれた光は記録石(スフィア)の中で暴れまわるように反射し続ける。


 俺の作った魔法陣が正常に起動した証拠だ。


 次の瞬間、記録石(スフィア)の光が弾ける。

 研究室を記録石(スフィア)と同じ青色に染め上げた。


「ウソ……。ホントに記録石(スフィア)の情報取り出しちゃった」


 メリアは天井を見上げていた。表情は見えないが、声が震えている。

 俺も同じように天井に視線を向けた。

 

 天井には古代文字の文章が写されている。


 古代文字は四角やら丸やらといった記号を崩したようなもので構成されていた。この組み合わせで意味が変わってくる。


 俺は天上の文章の末を指で示す。


「メリア、一番下の文はどんな意味はなんだ。これだけはわからない」

「私にも読めないわ。でも、名前みたいなものが書かれてる。――アルタミア=サルミアートだって」


 そんな名前、聞いたことがない。

 とりあえず、俺は近くにあった紙に羽ペンで記録する。


「こっちで内容は調べてもいいよ?」

「そうしてくれ。俺の手には負えない」


 俺は魔法陣を停止させた。すると、研究室は普段どおり装いに戻る。


「これからどうするか、だな」


 記録石(スフィア)の調査を進めたくても、アルタミア=サルミアートという名前以外のとっかかりがない。

 歴代の研究者同様に詰んだかもしれない。 

 

 俺は記録石(スフィア)を拾い上げて、テーブルの上に置いた。

 

「魔素とか魔石とかってなんだろうね」

 

 メリアの不意の質問に俺は知りうる事を言葉にする。

 

「魔素はどこにでもある不可視の要素。魔法に必要な要素と人体に有害ってこと以外はほとんど詳細不明。魔石はその魔素が結晶化したもので――」

 

 そこまで口に出したところで、俺は動きを止めた。

 俺は記録石(スフィア)の調査ということに捕らわれていたんじゃないのか。

 着眼点を変えれば、まだあと一つ調査すべき点があるじゃないか。

 

 記録石(スフィア)は魔石で出来ている。魔石は魔素で出来ている。ならば魔素としてこの記録石(スフィア)はどうなっているのだろうか。


「あと一つ調査したいことが出来たぞ、メリア」


 興味津々の表情のメリア。

 俺は笑顔で記録石(スフィア)を指差した。


「だからさ、この記録石(スフィア)――砕いてもいいか」

週一の更新ペースは落とさないようにしていきますが、改稿やらは今書いているお話が一段落ついてからにします。

なかなか執筆作業が出来ない状況なので・・・・・・。

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