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半竜の研究者は世界の秘密が知りたい  作者: 紺ノ
竜と盗人とはじまりのお話
10/162

記録石と調査録 1

初投稿です。

誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。

 今までやった記録石(スフィア)の調査を自分の研究室でまとめた後、俺は眉間にシワを寄せた。


「わからん」

 

 俺は椅子から立ち上がって、伸びをする。

 なし崩し的にメリアから記録石(スフィア)を預かった俺は自分の研究室に帰ってからすぐに調査に取りかかっていた。


 しかし、進捗は芳しくない。


 調査すればするほど、記録石(スフィア)は魔石の加工物であるという事実のみを強固にしていくだけ。

 元々の依頼内容である『魔素は人を生かした。代わりに竜を滅ぼした』なんていう言葉の真偽を調査する手掛かりはないに等しかった。

 テーブルにあった記録石(スフィア)を手に持って、刻まれている魔法陣を眺める。

 

 ――こいつの作成者は何を伝えたかったんだろうな。

 

「イヴァン、開けてイヴァン!!」

 

 研究室の扉を激しく叩く音にメリアの声が混じる。

 何を急いているのか。

 

「開いてるぞ」


 勝手に入ってこい、と暗に伝えると扉が壊れそうな勢いで開いた。

 研究室に入ってきたメリアは肩で息をしている。


「メリア、走ってきたのか」

「そうだけど。そうじゃなくって!」


 メリアは俺の顔前に一枚の紙を広げた。近すぎてよく見えないが文字が書いてある。


 俺はメリアの手から紙を奪った。

 汚い字で書かれた紙の内容を読み上げる。


「えっと、月の満ちる時、歴史を奪いに参上します。オリフィス――って、あいつの予告状か」


 ――この詩的な文面はなんだ。オリフィスのやつ見ない間に変わったな。


 月の満ちるというのは満月のことか。

 歴史というのは正直何を指しているのか断定は出来ないが、おそらく記録石(スフィア)のことだろう。

 

 問題はこの記録石(スフィア)の存在がどこから漏れたか、ということだ。

 メリアは記録石(スフィア)の発掘登録をしていないと言っていたので、存在を知っているのは、俺と遺跡調査の現場にいたメリアみたいな研究員の誰かぐらいのはず。


 ――容疑者は不特定多数か。


「あれ、思ったより反応薄い」

記録石(スフィア)なんて代物があったら、あいつが来るのは必然だろう」


 俺は予告状をテーブルの上に置く。

 きょとん顔のメリアに先ほど、まとめ終わった調査資料を渡す。

 

「目の下。すごい(くま)だよ」

「こっちに戻ってからずっと調査してたからな」


 メリアがありえない、と言った表情でこちらを睨んできた。

 俺はただ今の面倒な状況から脱してしまいたい一心で調査しただけだ。


「あれから三日経ってるんだけどね」

「マジか」

「大マジです」


 ある程度調査をして、何か収穫があったら仮眠を取ろうと思っていた。しかし、収穫がなかったので調査を続行していたら三日過ぎていたか。

 

 頭が痛い。なによりロクな成果が出ずに時間を費やしてしまったのが辛い。


「相変わらず調査してるとき、部屋の中が散らかり過ぎだよ」


 研究室の床には紙が一面に散乱していた。

 俺が古代文字を調べたときの本や過去の研究資料だ。


 普段は木の床が見えているが今は足の踏み場があるかないかぐらいなってしまっている。

 調査中は部屋を綺麗にすることが頭からすっぽりと抜け落ちているため、これは毎度のことだった。


「ところで、資料があるってことは何か分かったの?」

 

 ぱらぱらと俺の作った調査資料をめくりながらメリアが質問してきた。

 俺は頬を指で掻いて、そっぽを向く。


「メリアの依頼内容についてはさっぱりだな。全くわからん。資料を見て貰えばわかるが、刻まれた魔法陣の解析、魔石としての性質調査を行ったがどちらも普通だ。特殊な点が見当たらない」

記録石(スフィア)の情報についてはどうなの?」

「それを調べようとしたんだが、一部内容がわからなくて中断した」


 調査が滞るのを避けた結果だ。

 古代文字の知識は師匠に覚えろと言われたが、面白くなくて俺はまともにやらなかった。


 当時は必要性をそこまで感じなかったのもある。世界の秘密を暴こうという今となっては必要なので、過去の俺に説教したいところだ。


 ――メリアなら少しは古代文字がわかるかもしれない。

 

「メリア、すまないが少し古代文字について教えてくれ」

「私が分かる範囲でいいならいいけど、私が聞いたのは記録石(スフィア)の情報を読み取るのって専用の魔導具いるけどどうなの、ってことで」


 魔導具というのは、魔石と魔法陣を使って動作させる道具のことだ。

 人が生活するなら絶対にどこかで使用している。簡単に火を起こす調理用のもの。高価ではあるが人や物を運搬する乗り物もある。

 

 話に挙がっているのは記録石(スフィア)の情報を確認するには専用の魔導具だ。高価かつ希少な魔導具のため、大きな研究組織でない限り持たない。


 ラナティスにも一台だけある。しかし、今回の調査は記録石(スフィア)の存在そのものがないことになっているので、魔導具の使用申請などできない。

 

 メリアはこれらの理由から『情報の解析はできないではないか』と言っているのだ。

 

 俺は返答する代わりに、足で床の資料を払いのける。


 床にチョークで書かれた円形の魔法陣が現れた。

 幾何学的な模様と魔法記号の羅列が床全体に書かれている。


「この魔法陣は?」

「メリアの言ってる魔導具の代替だ。調査開始直後に作った」


 俺の言葉にメリアは目を見開いていた。

書いていたら、長くなってきたので分割します。


他のページは改稿ついてですが、サブタイトルをいじってわかりやすくしようと思います。

行き当たりばったりですみません。

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