世界と秘密と昔の約束
初投稿です。
誤字脱字の指摘・ご意見など下されば幸いです。
俺の住む世界には三つの謎がある。
・竜はどこからやってきた。
・魔法はいつからある。
・世界はどうやって創造された。
人類が生まれて、数千年経った今でもこの三つは謎のままだ。
これらはどう足掻いても解けない謎なのだ。
なぜか、と問われればこう答える。
――紐解くための歴史が存在しないから、と。
正確には、歴史が虫食い状態で証明できないことがありすぎるのだ。
残っている文献もちぐはぐで、「竜は突如、異世界からやってきた」というものから、「竜は世界創造された時からいた」という正反対のものがある。しかし、人の歴史は例外的に、問題なく辿ることができるという不思議な状態。
現状があまりに異常なので、学者の間じゃ関わってはいけないものとなっており、
この謎に挑むのは物好きかバカしかいないとまで言われている。
――俺の師匠はバカに分類される人物だった。
「私はね、知りたいんじゃなくて教えたいんだよ」
「なにを?」
子供の頃の俺は師匠の言っている意味がわからなかった。
師匠は俺に微笑む。
「世界の秘密だよ。世界には不思議なことが一杯あるんだよって。そして、その不思議はどうやって起こっているのか、どうしてそうなったのかを教えたいのさ」
多分、師匠の言葉を学者や研究者の類いが聞けば、嘲笑されるだろう。でも子供の俺はそんなことを考えなかった。
「すげー、ししょー! おれもしりてー!」
バカな師匠の弟子である俺もバカなのだ。
「なら大きくなったら一緒に真実を探しに行こうか。そうだな。教科書作りの旅、ってところか」
「うん! きょうかしょつくるー!」
――そんな約束をしてから十年。
俺は師匠の夢を引き継いで研究者やってますよ。