第三話 「幸福な新人冒険者」
「アルス!アルス!」
「遅かったか......」
急に聞いたことのない声が響き渡ってきた。
女の人が泣いてる声と必死に誰かを呼ぶ声がする。多分、四人くらい居るのが分かる。
「私のせいで......私のせいで......」
顔に水? が降ってくる。なんかすごく心地いい。目を開けたいが、このまま眠っていたい気持ちだ。
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ーギルドリカバリー施設ー
「ん〜......特に異常はありませんねぇ」
「わかりました。......謎だ、一度死んでいたのに何故生き返った? あとあの時の光はなんだ?」
「もういいじゃない、でも良かった〜無事で。あの男の人がいなければみんな大変な事になってたわね」
「あのお方は相当な強者だったな」
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......オレは今、夢を見てたのか? ......あ、そういえばあの変態じじいに手を向けられ気を失って......そこからの記憶がない。
「「「アルス!」」」
「うわぁ!!」
アルスはベッドから転げ落ちた。
なんだ、なんだ、オレの目の前にイケメンと巨人と何だこの現実世界ではありえねぇ可愛い女の子!!
アルス(宅馬)は、ベットから顔を出し尋ねた。
「......誰方ですか?」
「え?アルスお前は、何を言っているんだ?」
「アルス、僕だよ僕!忘れたかい?」
イケメンと巨人がよくわからない事を言っている。
「待ってロイ、確かエターナルスネークには、毒牙があった筈よ」
か、かわいい〜。
「毒? 確かに聞いたことはあるが微弱な毒で人間には、害は無かったはずだが......」
「アルスはまだ、新人冒険者だし多分レベル10も超えてないはずよ。そんな子が自分のレベルを超える魔物の毒を喰らえば、いくら微弱とは言えど効果は現れる......かもしれないわ」
「じゃ、じゃあその毒のせいでアルスの記憶が!」
「えぇ、何らかの障害を起こしたとしか思えないわ」
何だ、ものすごく話が進んでるぞ、とりあえず整理しよう。
......そうだ! ここは異世界か!
転移では、なさそうだな。
オレ→アルス?
あと、オーバーな3人達。
やべぇ......イマイチ状況が掴めない。
とりあえずここは、話を合わせておこう。
「オレはー」
「オレ!?」
「私はー」
「私!?」
「僕??」
「「「うん。」」」
やば、もう話噛み合ってないぞ。
「えーーっと......僕は、何故ここにいるんでしたっけ?」
「やはり、覚えてないか......じゃあ説明しよう。」
ロイは、何故ここにいるか詳しく話した。
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なるほど。なんとなく状況は掴めた。
この子とか言う奴は、本当は、もう死んでいて、オレがこの体に転生したのか......というより何故この子なんだ?
あのじじいは、何を企んでいるんだ......
とりあえずまだ記憶が戻っていない事にしよう。
「そうなんですね、ちょっと記憶が……」
「申し訳ない、俺たちのせいでこんな目に合ってしまって。」
「そうだ、アルス、自分のステータスとか見てみなよ! 何か思い出すかもしれない……」
「ステータス? それは、どうやって見るんですか?」
「全て忘れてしまったのね......アルスは、鑑定のスキルを持っているのよ。念じたりしたらでるんじゃないの?」
念じる? なんて念じるんだよ……
『ステータス出てこい、出てこい』
すると目の前に表示された。
「う、うわぁ!」
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名前 :アルス
種族: ヒューマン
年齢: 14
職業: - 『RANK 0』
属性 : 全属性
称号 : 冒険者 F
ーステータスー
Lv.4
HP:50
MP:80
攻撃力:20
俊敏力:30
魔法攻撃力:10
知力:40
物防:10
魔防:5
ースキルー
EXS:全属性魔法Lv.1
US: 鑑定Lv.2
SS:-
RS:-
NS : 剣術Lv.1
ー加護ー
???神の加護
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なるほど。とりあえず鑑定?の使い方は分かった。
色々としっかりしているな。
あのじじいがくれたエクストラスキルはー......
全属性魔法!? ......強いのか? でも、エクストラスキルだから強いだろうな。
他にも聞いておこう。
「属性ってどれくらいあるんですか?」
「それは、難しい質問だな。基本だと、【大元八属性】と言い、【土】【火】【水】【風】【氷】【雷】【光】【闇】がある。しかし! ここ最近これだけではなく稀に特殊な属性を持って生まれる奴がいると噂になっている。あと、普通ならば一人に一つの属性、才能がよければ二つの属性何だが、ついさっき俺達は、とんでもない者を見てしまったんだ。」
「私も見た、あれは確実にに5つ以上の属性を使い熟していたわ。」
「そ、そんな人がいたんですね〜、す、すご〜い」
やばい、やばい、やばい! オレの属性のとこ全属性になってるじゃねーか!
嬉しいけど、これを今話したらとても不味そうだな......
あのじじいのお陰か? それとも元々この子が持って生まれたかのか?
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オレは、この3人に色々な事を聞いた。この子の為にも頑張らなくちゃな。
この体の、前世のアルスが死んだせいか複雑な気持ちだ。
「じゃ、アルス帰るね〜」
「またな、アルス」
「また、会おうね」
「色々ありがとうございました! また、どこかで会いましょう!」
今の3人は、違う村に冒険しに行くらしい。できれば、今後の為にもオレを誘って欲しかった。
まぁ、3人は罪の意識を感じているのだろう。
アルス(宅馬)は、一人で色々考えていた。
一時間経過した頃か、扉の奥から誰かがやってきた。
《ガチャッ》
「お〜元気そうじゃないか!」
だ、だれだ?
アルスは、無意識の内に今来た人を鑑定した。
な、な、なんだこれは!!