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67話『未踏』

獣人の里を目指して二日目。草原地帯を抜けた二人は森林を通っていた。



「爽やかな森だな」


「この森は人の手が入ってるし場所によって農耕もされてるから比較的安全な森だよ」



凪の言葉が示す通り、森は清浄な空気に満ち溢れている。適度に間引きされた木々は新緑の色を湛え、風に揺れる木の葉からは木漏れ日が差し込む。生き物の力と命を感じさせる痕跡と確かな存在。魔の森と比べるとこの森は生命の宝庫とも言えた。



「それでも魔物はいるのか…」


「全世界に生息範囲を広げている魔物がいない地域なんて殆ど無いさ」



森の中ということもあり、草原地帯に出現した魔物とはまた違った進化を遂げた魔物だ。樹上から糸を吐いて二人を絡め取ろうとする巨大な蜘蛛を黒刀の能力で両断する。


既に森の中を歩き始めてから数時間が経過している。それほど大きくはない森だが簡単に抜けることが出来るほど小さくもない。



「そろそろ着くと思うんだけどなぁ」


「どこに? つーか今どこに向かってんの?」


「里だよ」



草原地帯同様に簡易的な舗装がされた道は農耕具が通れるようにと草原地帯の道よりも幅が広く作られている。車が存在しないこの世界での移動手段の多くが徒歩か馬車だ。武道大会の時に見掛けた飛行船は一般庶民が使うことは基本的にない。



「………」


「そんな顔されても困るよ…」


「疲れた。 だりぃ」



合間合間に休憩を挟んでいるとはいえ景色の変わらない道を歩き続けるのは苦痛だ。二人しかいないのでいつまでも会話が保たない。話せる話題も良く分からず、凪にとってこの数時間は苦痛でしかなかった。

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