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山南の最期

作者: みるく

藤堂平助が江戸の花火が見たいと言うものだから、山南敬助も無性に花火が見たくなってしまった。

江戸に行こう。江戸の花火が見たい。

その想いは、山南を駆り立てた。

そして彼は今、屯所を出ようとしている。

脱走は死罪だとわかっていても、もう山南は、江戸にどうしても行くと決めていた。


脱走が発覚すれば、誰かが追ってくるだろう。

誰だろう。藤堂だったら、一緒に花火を見に行くか。左之助あたりでも、乗ってくるかもしれない。

もし、沖田だったらと思うとぞっとした。

沖田だったら。辞世の句を考えておかねばなるまい。

山南は、足を速めた。


沖田の足は、速かった。

山南は、気づいてしまった。その気配に。

しかし沖田とて、素人ではない。

「どなたかな」

山南が訪ねた。物陰から出てきたのは沖田であった。

「あなたでしたか」

「江戸に行くと」

書置きにはそうあった。

「はい」

「なぜ」

「江戸の花火が見たくて」

沖田は絶句した。そんなことで、新撰組の法度を犯したのか。

「なぜ!」

「なぜ、ばかりですね」

山南は哀しそうに微笑んだ。

「どうしても、見たくなったのですよ」

山南は、月を見た。これが最期に見る月か。

沖田だったら、一太刀で首を落としてくれると、心のどこかで安心していた。

「馬鹿なことを・・・」

沖田はその場に膝をついて涙を溢さんとした。

「立ってください。あなた、私が逃げたらどうするつもりですか」

「追うに決まっているでしょう。私の方が足は速い!」

夜の静けさに、沖田の声が響いた。山南は溜め息をついた。

「叫ぶと、病が悪化しますよ」

沖田ははっとした。こんな時にも、自分を斬る沖田を案じてくれる山南が恐ろしかった。

「なぜ・・・」

「もういいでしょう。切腹しますから、場所を探しましょう」

山南が沖田に背を向けたので、沖田はとびかかるように彼に食いついた。しかし、もう彼が逃げないことは明白で、沖田はしょんぼりとしてついていった。どちらが切腹する身かこれではわからない。

すみません、あとで追加します・・・。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 山南が沖田を畏れているという解釈は新鮮でよかったです。 [一言] 続きを期待しております
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