別れ
君を動かすと、音が響いた
僕には、悲鳴のように聞こえた
いつもの君は、物静かで従順で
僕の、とてもいいパートナーだった
僕は君に声をかける
もっとパワーを出せるだろう?
それに対して君は答える
もちろんさ、見ていろよ!
二人して無茶をして、結果を出した
どんなもんだい!
退屈な僕は、いきなり君に話しかける
やさしい君は、いつでも僕を受け入れる
何も知らなかったのは、僕だけで
君を、全く理解していない
何でも知っていたのは、君だけで
僕の、全てを理解してた
ある日僕は気が付いた
君がかすかに呻いていることに
驚いた僕は、君を調べた
君は、もうボロボロだ
僕が、慎重に使い始めると
君は、らしくないと突っぱねる
それでも、心配な僕は
君を、慎重にまた使う
僕は、また理解していない
君は、また理解している
僕は、君を引退させた
君は、黙って従った
傷のない僕と、傷だらけの君は
鏡のように真逆だが
言いたいことは、ただ一つ
気持ちも、ただ一つ
ありがとう
またいつか
長年使っていたリール(釣り具)が、退役し、世代交代をしました。
その時の気持ちを綴ったものです。