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最弱は最強!!!  作者: ハムハム
入学編
6/20

第6話 学生の始まり!!

どうぞ読んでください。

「レンが同じ学校に!?」


入学式が行われた日の夜、ブレイズールの屋敷から大きな声が響いて来た。


「しかも同じクラスで、ルベリエールの養子になって、あの人がレベリー・クライスタール!!」


「えぇ、そうよ」


シリカは入学式で起きた出来事を弟のホムラに聞かせた。


「信じられない!あんな無表情が魔法学校に入学して、レベリー結晶の生みの親なんて」


「私だって、信じられなかったわ。レン義兄様に会うなんて…」


シリカは肩を落とし、嘆息した。


「シリカ姉様、レンはもう僕達の義兄様じゃない。アイツとブレイズールはもう無関係だ」


「そうね。彼と私達の関係が知られればブレイズールの恥になる」


シリカの言葉に賛同するようにホムラは頷いた。


「それで、メアリ姉様はその事知ってるの?」


「分からないけど、多分知らないと思う。連絡しようにもお姉様は今、合宿の真っ最中。お姉様の邪魔はしたくない」


ルベリエール魔法学校は各学年の最初に魔力強化合宿が行われており、シリカの姉、メアリ・ブレイズールもその合宿に参加しているため、今屋敷にはいなかった。


「そうだね、今はメアリ姉様の邪魔は出来ないね」


2人は揃って嘆息した。


----------------------------------------------


入学式の翌日、ルベリエール家の庭でレンは素振りをしていた。レンは素振りを朝と夜、各5000回6年前から日課にしている。

今日も素振りが終わり、軽くクールダウンしていると、屋敷の方からハンツが近づいて来た。


「本日の素振りは終わったかい?」


ハンツは微笑みながら聞いてきた。レンは初め、ハンツは無表情な男だと思っていたが、家だと表情を崩し、仕事だと引き締めるようにしていたらしい。


「はい。今はクールダウンしていた所です」


「朝にこんな事言うのも何だが・・、またレベリー結晶の注文があった」


「またですか、それで何処からですか?」


「王城とサンダース家とフォルス家からだね」


「サンダースとフォルスはともかく、また王城からですか。先日、50の結晶を届けたばかりなのに…」


「大方、王立魔法師団本部が欲しがったんでしょう」


王立魔法師団とは、国の兵士である魔法師達の建物で、そこで魔法師達は訓練や研究をしている。そして、そこには現在戦闘専門の部隊が十三師団、研究専門の部署が五魔研室が存在している。ちなみにヴァイアスは第五魔法師団の団長を勤めている。


「ハンツさん、今回の注文数は?」


「サンダース家が10、フォルス家が15、王城からが100」


「100!!!」


「研究に使うから急ぎで頼む、とも言われたよ」


レンは頭が痛くなってきたようにこめかみをおさえた。


「王立魔法師団はどうしてもレベリー結晶の製造方法を突き止めたいらしい」


「往生際の悪い」


「全く!そもそもレベリー結晶は君の特異な力が無い限り出来ないし、他に特異な力を持っている人がいたとしても君ほどのコントロールが身に付くとも思えないしね」


「はぁー、取りあえず注文表はセンに渡しておいて下さい。後で目を通します」


「では、頼むよ」


「了解です」


レンの返事を聞き、ハンツは屋敷へと戻って行った。


「さて、そろそろ切り上げて登校の支度をしないと」


そう言い、レンも屋敷へと戻って行った。


----------------------------------------------


レンが朝食を食べ終えた頃、ようやくリサリーが起きてきた。


「遅いお目覚めだね、姉さん。ハンツさんはとっくに起きて仕事してるのに…」


「五月蝿い。私の仕事は昨日全て片付けた。それに私は家に仕事は持ち込まない主義だ」


「そうかい。それじゃあ、俺はそろそろ行くよ」


そう言うとレンは立ち上がり、部屋を出ようとした時、


「まて、レン」


リサリーに呼び止められた。


「何か?」


「何か、じゃない馬鹿者。腰の物は置いていけ」


リサリーはレンの腰にさしてある刀を指差して言った。


「腰の物って、[雪姫(ゆきひめ)]のこと?」


「他に何がある。そんな物をぶら下げていたら他の生徒が怖がるだろ」


「魔法の方が断然、有利なんだけど…」


「気持ちの問題だ。いいから置いていけ」


「はいはい、分かりました」


レンはがっかりしたように刀をリサリーに渡して、屋敷を出た。


----------------------------------------------


ルベリエール魔法学校は一学年8クラスあり、1クラス40名前後が割り振られる。クラスはA~Gクラスまでの7クラスがあり、レンたち学年上位10名は同じAクラスに割り振られた。


(これはもう、面白がってこのクラス分けにしたとしか思えないな)


レンはルベリエール魔法学校の理事長の顔を思い描きながら思った。すると、後ろからレンの背中をつついてくる者がいた。


「(なぁー、このクラス分け理事長が面白がってやったんじゃないか?)」


レンと同じ考えに至ったジルが、レンに聞いてきた。レンは呆れ顔でそれを肯定した。それを見て、ジルも呆れ顔で視線を正面に向けた。その時、教室の扉が開かれ、1人の女性が入ってきた。その女性は20代中盤から後半ぐらいの容姿で、顔は十分に美人と言える顔立ちだった。そして、青い髪を腰まで伸ばし、灰色のレディースの上からでも胸の膨らみや、腰回りの細さが分かる身体をしていた。そんな大人の色香を十分に漂わせた女性が教室の教壇の上に登り、クラス全体を見回し、笑顔で口を開いた。


「私が本日より、このクラスを受け持つ、セリアン・ストレイアです。よろしくお願いしますね」


セリアンの笑顔を向けられた生徒達、特に男子は見惚れたり、顔を赤らめ目をそらしたり、大いに喜んだりと、様々な反応をした。

しかし、他の男子生徒が様々な反応を示している中で、ただ2人だけレンとジルだけはセリアンに白い目を向けていた。


「それでは皆さん、先ずは入学式が行われた講堂に集まって下さい。そこで、明後日から行われる一年生の強化合宿の説明があります。しっかり聞いて忘れ物などの無いように気をつけましょう。…では、講堂へ移動して下さい」


セリアンの合図で生徒達はバラバラに教室を出て行った。そんな中、レンとジルだけは教室に止まっていた。


「レン・ルベリエール君、ジル・アースガン君。どうかしましたか?」


セリアンは笑顔で2人に聞いてきた。すると、レンは小さく笑い口を開いた。


「笑顔がまだ少し、嘘くさいよ、セン」


その言葉にセリアンの顔から笑顔が消えた。


「申し訳ありません。まだ、慣れていませんので…」


「いや、センを良く知っている俺達だから分かった事だからね」


「お前がこのクラスの担任をしてるのは理事長の指示かぁ~?」


ジルの質問にセンは首を縦に振り、肯定した。


「はぁ~あ、これで決まりだな。理事長の奴、完全に面白がってるぜ」


「全く、困ったものだね。とりあえず俺達も行こうか」


「そうだなぁ」


そう言うと、レンとジルは立ち上がり、教室を出て行った。その後ろにはセンも続き、3人で講堂へと向かった。


----------------------------------------------


講堂では一年対象の強化合宿の説明がされていた。これは夏にある十二魔戦大会のための合宿で一年は一週間、二年は二週間、三年は三週間で行われ、合宿の終わりは三学年同時に終わるように予定されている。昨年は十二魔戦大会の成績が今一だったため、二・三年は特に力を入れ、合宿に参加している。


「つまり、一年生は山の中にある学校所有の合宿場で、まず魔学論などの勉強を3日やり、その後魔戦大会に向けての魔法戦の訓練を3日やります。最後の1日は魔法戦において、自分に足りない所を集中してやれるように各グループになって、強化訓練をします。以上が強化合宿の日程になります。質問のある人はいますか?」


学年主任の先生が周りを見ながら聞いた。そして、誰も手を上げていないのを確認すると、


「では、これで強化合宿の説明を終わりにします。生徒の皆さんは各教室に戻って下さい」


そう言うと、先生は壇上から降り、生徒達もバラバラに自分達の教室に戻って行った。レンとジルも教室に戻ろうとすると、


「レン・ルベリエール君、ジル・アースガン君、君達は少し残ってくれ」


学年主任の先生が2人を呼び止めた。2人は顔を見合わせ、席に座り直した。全生徒が講堂を出て行くのを確認し、2人の正面に立った。


「強化合宿の件だが、理事長がお前達2人は合宿は必要無いから出なくても良いぞ、と仰ってな。お前達の好きにしろとの事だ。ただ出ないのなら此方も予定を変更しなければならない所があるから今ここで決めて貰うと助かるのだが…」


「もちろん、出席しますよ」


「俺もぉ~」


レンの後にジルが言った。


「分かった。2人共出席と言うことで良いんだな?」


「「はい」」


2人の返事を聞くと学年主任は頷き、その場を離れていった。レンとジルも立ち上がり、自分達の教室に戻って行った。




レンとジルが教室に戻ると、担任教師に早く席に着くように促され、2人は席に着いた。


「えー、では明日から合宿が始まる訳ですが、その前に学級委員長を決めなければなりません。誰か立候補者はいますか?」


セリアンはクラス全体を見回しながら聞くとクラスのほぼ全員が「バッ!!」と手を上げ、それを見たセリアンは目を丸くした。

実はルベリエール魔法学校の学級委員長は3年間変われないが、様々な特典がついて来る。例えば、成績の加算。学級委員長はあらゆる学校活動のクラス代表になるため、一癖も二癖もある魔法師をまとめたとして、卒業後も評価の対象となる。また、大会や行事で優秀な成績を残した場合、さらに加算されたりする。他にも命令権限や卒業後の師団入団した場合の小隊長就任などもある。そのため、誰もがやりたい役職なのだ。

しかし、クラスほぼ全員が手を上げる中、4名の生徒は手を上げていなかった。


「じゃー、ルベリエール魔法学校の伝統として手を上げていない人達の多数決で決めます。同じ数になった場合はジャンケンですからね。では、この人にやってほしいと思う人を言って下さい。まずは、ルシル・ハワード君」


「誰でも良いッス。興味ないんで」


ルシルの言葉にセリアンは少し動揺したが、直ぐに持ち直し、次の人に聞いた。


「えっ、えーと。じゃあ、リエラ・ハイヒールさん」


「えっ、えっと」


セリアンに名前を呼ばれたリエラは全員の視線を向けられ、俯いてしまったが、なんとか言葉を発した。


「しっ、シリカ・ブレイズールさんが良いと思います」


最後の方は声がかすれてしまっていたが、言った名前はなんとか聞き取れた。


「シリカ・ブレイズールさんに一票ですね」


そう言うとセリアンは黒板に[シリカ・ブレイズール 一票]と書いた。それを見たシリカは机の下で小さくガッツポーズをしているのがレンとジルには見えた。


「では、次はレン・ルベリエール君。誰が良いと思いますか?」


今度はレンに視線が集まって


「シリカ・ブレイズールさんが良いと思いますよ」


「先生、俺もぉ~」


レンの推薦にジルも同意した。2人の推薦にクラス中が驚いたが、一番驚いたのはシリカだった。


「えっ!!」


シリカは2人の方へ丸く見開いた目を向けた。


「では、3人の推薦があったため、このクラスの学級委員長はシリカ・ブレイズールさんにやって貰います。皆さん宜しいですね」


皆、一同に頷いた。中には渋々頷いた者もいたが、全員で決めた事なので、誰も何も言えなかった。そんな中、ブレイズール一族の者達は厳しい目つきをレンとジルに向けていた。

誤字脱字があったら、報告をお願いします。

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