第17話 対面
皆さんから楽しみにしているという感想をいただきました。ありがとうございます。ただ、始めに想像していた話とは大分ズレてしまいました。
それでも、読んでもらえたら幸いです。
合宿終了式は昼前に終わり、他の生徒達は各々の時間を過ごしている。そんな中、ブレイズール家に呼ばれたレンとジルは丁度お昼時にブレイズール一族の門前に着いていた。レンは久しぶりに見たその門をジッと凝視している。数年前、この場所から無理やり追い出された記憶が蘇る。レンは無意識に頭や腹に触れる。泣きわめき、何度も叩き、何度叫んでも開けてもらえなかった扉が数年たってレンを入れるために開かれていた。レンは当時の事を思い出した事で体が震え出すのを何とか堪え、扉の奥へと視線を向けた。
「どうぞ」
シリカが先頭に立ち、門の中へと入ってく。
「複雑な気分かぁ?」
レンが立ち止っていると後ろにいたジルが話しかけてきた。
「別に・・・」
「なら行こうぜぇ」
ジルはレンを追い越して門を通って行く。ちなみにジルは本当なら来なくてもいい筈なのだが、レンを心配したのか無理やり付いてきたのだ。シリカも何も言わずにそれを黙認していた。ジルが通って行くのを見た後ようやくレンも足を動かし、門を通り抜けた瞬間、
バチッ!!
と、何かがレンを害そうとした。レンは振り向き、たった今通り過ぎた門の方へ視線を向けたがそこには何も無かった。レンは門の周りを見渡したが何かあるわけでもなく、そこには立派な門しかなかった。
「・・・」
「レン、何してんだぁ?」
門を通り過ぎ、その場に立ち止まって門を見ていたレンに先に進んでいるジルが呼んできた。
「あぁ、今行く」
レンはジルの方を振り向き短く返事をするともう一度門をチラリと見て、ジルとシリカを追って歩いて行った。
「何かあったのかぁ?」
「いや、何でもない」
レンが2人に追いつくとジルが聞いてきた。シリカも何事か多少気にしているようだが黙したまま、前を向いて歩き始める。それにレンとジルが並んで続いた。ブレイズール一族は幾つもの家が入っているため、広大な敷地を有している。右を見ても左を見ても殆どがブレイズールの敷地内でその中心部分には小さいが川まで流れている。他にも池や訓練場なども幾つもあり、敷地の一番奥に本家がある。更にその後方にはブレイズール所有の山があり、その山はとある伝説の発祥の地でもある。それらに視線を向けながらレン達は本家の屋敷に向かって歩き続ける。歩いている途中にはレンがよく追い回されていた道があり、突き落とされた川があり、的にするために縛られた木があった。それを見るたびにレンはその時の記憶を詳細に思いだしていた。
「こちらです」
シリカは本家の隣にある建物を指して言う。そこは、レンも建物がある事は知っていたが、中には一度も入った事が無く何に使われているかも知らない建物だった。シリカはそこにレンとジルを連れてきた。
「失礼します」
建物の入口まで行くとシリカは大きな声で言った。扉の中からは何の返事もなく、シリカもそれが分かっていたのかレバーを倒し、重そうな扉を開けて建物内に入って行った。
「レン・ルベリエール、ジル・アースガンの二名を連れてきました」
シリカが一番に入り中にいた者達に報告する。レン達も建物内に視線を向けると、建物内は大きく開けており、開放的な空間が広がっていた。そして、正面の段差が高くなっている所にはブレイズールの当主が椅子に座ってこちらを見ている。レンはそんな視線を気にした素振り無く中に入って行くと、左右にブレイズール家の分家の者達が整列してレンを睨んでいる。それにもレンは無関心に案内されるままに歩を進める。
「・・・」
レンが無言のままシリカに着いて行くとシリカはいきなり立ち止り、レンとジルの方に一度お辞儀をすると左側に並んでいるメアリとホムラの方に歩いて行った。レン達が停まった所はまさにヴァイアスの真正面で、ジルはレンから一歩引いた所に立ち止まった。まるで王に謁見するような感じに並んでいる。
「随分力を付けたようだな、レン」
レン達が立ち止るのを確認するとヴァイアスは低い声で言ってくる。
「相当頑張りましたから」
子供の頃と同じ態度で言ってくるヴァイアスにレンは冷たく返す。そして、そんなヴァイアスに冷たい視線を向ける。
「そんな話をするために呼んだわけではないでしょう。さっさと本題を話してください」
レンはヴァイアスとの会話を拒むように言うと辺り一面殺気が高まった。どうやらここにいる者達はレンがこの場にいるいる事が気に喰わないらしい。それも数人ではなく、全員がそう思っているらしい。レンは周りが怒りに襲ってこないように周りにも意識を向ける。
「今日、お前を呼んだのは我が妻の事を話すためだ」
「妻?」
「お前も知っているだろう。イリア・ブレイズール、お前にしてみれば小母にあたるな」
「えぇ、知っていますよ。それが?」
「我が妻、イリアは数年前から床に伏している。おそらく病気なのだが一体何の病気なのか医者に見せても今だ特定が出来ていない」
「・・・」
「何度調べても原因が分からない状態で手の施しようが無いと医者から言われた。そんな時にメアリから提案があった」
ヴァイアスは整列しているメアリの方に視線を向け、レンもその視線を追ってメアリに視線を向ける。2人の視線にメアリは只一礼するだけだった。
「・・・」
「お前の力、分離の力ならばイリアの体から原因を取り除く事が出来るのではないか、と」
「・・・」
「だから、お前を呼んだ。レン、イリアを助けろ!」
「お断りします!!」
まさに即答だった。考える時間なく、今まで無言で聞いていたレンはヴァイアスの意を一蹴する。
「俺や母様すら見捨てた貴方の頼みを聞く理由はありません」
レンの言葉は子供の頃を知っている者達にとって考えられない言葉で、一瞬その場の空気を凍りついた。するとヴァイアスは呆れたように溜息をつくとレンを睨みつける。
「今はリサコの事などどうでもいい。それにお前の返答など聞いていない。助けろと言っているのだ」
その場の凍っていた空気が今度は重くなる。しかし、レンは気にしたような素振り無くヴァイアスからの視線を真正面から受け止める。
「どうでもいい、か・・・。アンタこそ何勘違いしてるんだ?俺はもうブレイズールじゃない。あんたに従う理由も義理も恩も無い。赤の他人に力を貸すほど俺はお人好しじゃない」
その場の怒りが一気に上がり、今にも爆発しそうだ。そんな中、メアリとシリカは話が拗れそうな空気に内心ハラハラしていた。
「赤の他人だと?お前にとってイリアは叔母だぞ?何とも思わんのか」
「思わないね。そもそも俺はそのイリアって人には数度しか会っていないし、顔も覚えていない。そんなの赤の他人と変わらないでしょう」
まるで同意を求めるかのように聞いてくるレンにヴァイアスは一瞬言葉を詰まらせる。レンの顔は今までヴァイアスが見てきたどの顔でもなく、不敵に笑い、恐れを感じない、弱者を見るようなそんな顔だった。だが、流石ブレイズールの当主なだけはあり、直ぐに持ち直すと椅子からゆっくりと立ち上がる。
「レン。ブレイズールの当主である私に逆らうと言う事はどういう意味か貴様なら知っているだろう」
その場に魔力が充満した。それに呼応するように周りにいた全員が臨戦態勢をとる。
「もう一度教育しなければいけないようだな」
ヴァイアスがゆっくりとレンの方に右手を向ける。常人ならば足が震え立っていられなくなるほどに魔力の重圧は高まっていた。しかし、レンは涼しい顔でまるで何も感じていないかのように笑っている。そして、ヴァイアスを笑った顔のまま見返すと・・、
「それは俺のセリフだ」
と言った瞬間、建物の入口が吹き飛んだ。全員が何が起こったのか分からず、目を見開いて吹き飛んだ扉を見つめる。それは仕方がない事だった。扉は分厚く、人の力では動かせない程の重量がある。それがいきなり吹き飛んだのだ。いきなりの事で全員が言葉を失う中、1人小さく笑っているレンはヴァイアスに向かって言った。
「さて、教育されるのはどちらかな?」
笑いながら言うレンを見て、ヴァイアスは久しく忘れていた感情が蘇ってきた。恐怖と言う感情が・・・。
「レン様、お待たせいたしました」
「主様、待ったかのぅ」
ヴァイアスがレンに恐怖を感じていると入口の方から煙にまぎれて二つの影が浮かび上がってきた。
「なんじゃ、少しド派手にやり過ぎたかのぅ」
その場の全員の視線が二つの影に集まった。そして、扉が吹き飛んだ事で舞っていた煙が晴れてくると二つ、いや2人の姿がしっかりと見えてきた。
「なっ!!」
その姿を見た瞬間、全員の顔が青ざめた。その場にいる者達は2人が何者なのか知っている。
「魔人ユキ、魔人ウラル」
誰かがポツリと呟く。扉を破壊したユキとウラルの2人はそのまま建物内に入り、レンに近づくとレンの両隣りに立ち止る。たった今まで、レンに襲いかかろうとしていた者達は茫然とその場に立ち尽くすしかなくなってしまった。相手は魔人2人に加え、その2人を倒したレン、そしてブレイズール家と同じ魔十導家の一つアースガン家のジルもいる。これではいくら火属性最強のブレイズール家も簡単には手が出せなくなってしまった。
「どうやら2人を呼んどいて良かったようだ。これで平和的に話が出来るな」
レンはニコニコと笑いながら言った。
(何が平和的、だ)
ヴァイアスは心の中で舌打ちをした。ヴァイアスですらこの4人を一度に相手することは出来ない。かと言って他の者の中にこの4人に匹敵するほどの強者はいない。戦えばブレイズールの方が負けるだろう。
「ハァー」
静まり返った建物内でヴァイアスが必死で模索をしているとレンは溜息をついた。
「正直失望したよ」
「何?」
レンはいきなり周りにいる者達を見回して言った。
「何か勘違いしてないかな。なんで俺がこんな状況でも大人しくしていると思ってんだ」
「・・・」
誰も何も答える事が出来なかった。ヴァイアスすら超えるレンの殺気に口を開く事が出来なくなってしまったのだ。
「俺はな、お前らが、このブレイズールって一族が憎い。お前らを殺したいほど憎悪してるんだよ」
レンの言葉を聞いたヴァイアスの頬から汗が垂れる。他の者たちも肩を震わせ、固唾をのみ、その場に座り込んでしまう者もいた。
「殺したくて殺したくて堪らない」
レンの強く握られた拳から血が滴り落ちる。
「だが、今の俺にはルベリエールという名前がある。ブレイズールは仮にも魔十導家の一つ。滅ぼせば大事件となる。拾ってくれたルベリエール家の名を汚すわけにはいかない。それに、母様は・・・」
レンは一度言葉をきり、小さく息を吸うと言葉を続けた。
「母様はブレイズールを恨んではいなかった。アンタが無理やりこの一族に嫁がせ、アンタの身勝手で捨てた母様。この一族を、アンタの事を一番恨んでいるはずの母様がアンタの事を許していた。だからこそ、俺もその事への謝罪一つで全てを忘れるつもりでいた。・・・だが、どうでもいい、か。どうやらそれすら高望みしすぎていたようだ」
レンは言い終わるとそのまま入口に向かって歩き始める。誰もそれを止めることなど出来なかった。
「帰ろう。ここにはもう用は無い」
そう言うとレン達は建物から出ていこうとした瞬間、
「待て、レン」
後ろからの声がレンの足を止めた。振り向くと、そこには赤い髪の少し禿げた頭の老人が立っていた。
「ヒザンお爺様」
「ヒザン爺様」
「爺様」
「親父」
メアリ、シリカ、ホムラ、ヴァイアスの順にその老人の事を呼んだ。老人は老人とは思えないほど鋭い目でレンを見つめている。ヒザン・ブレイズール、ブレイズール家の先代当主でヴァイアスにとっては父、レンやメアリ、シリカ、ホムラにとっては祖父にあたる人物だ。年をとっても衰えていない威厳、ヴァイアスですら今だ頭の上がらない人物だ。そのヒザンに呼びとめられたレンは視線だけをヒザンに向けている。
「久しぶりだな、レンよ」
「えぇ、何十年ぶりでしょうね」
レンは体をヒザンに向け、静かな声で言った。レンもヒザンに会った事はまだ幼少の頃だけだったが、うる覚えながらもヒザンの事は覚えていた。
「レンよ、イリアを治してやってはくれないか」
ヒザンはその威厳ある立ち振る舞いからは想像できない物腰の低く言ってきた。どうやら何処かで話を聞いていたらしい。ヒザンのそんな態度に厳しいヒザンを知っている者達は茫然とした。レンもそうだったが元々良く知らなかったため、小さな驚きで留まっていた。
「言ったはずだ。俺は優しくないと・・」
「分かっている。お前の事、そして母であるリサコの事、近くで聞いていた」
するとヒザンはいきなりその場に膝をつき、レンに向かって頭を下げた。
「すまなかった」
ヒザンは頭を床に擦りつけながらレンに謝罪した。その光景に誰もが何が起こっているのか一瞬分からなくなる。
「お、親父・・」
ヴァイアスの驚きのあまりに茫然と呟いた言葉は誰の耳にも届かずに空気に溶けていく。誰もがそんな心境だった。恐ろしく、厳しく、しかし頼りになるヒザンがこの場では只の人となって自分の孫に頭を下げている。まるで夢でも見ているような光景だった。
「お前の母、リサコ・ブレイズールを捨てるようにヴァイアスに言ったのは・・・、私だ」
「!」
「そして、お前をブレイズールから追い出すように言ったのも、私だ」
流石のレンもその事は知らなかった。てっきりヴァイアスの独断で決めたものだと思っていたのだ。だが、新たな真実を知ったレンは驚きはあったものの、それでも取り乱すことなく静かにヒザンの言葉を聞いていた。
「お前が恨んでいるヴァイアスはブレイズール家の現当主。簡単に人に頭を下げる事は出来ん立場だ。だが、事の原因は私にある。恨まれるべきは私だ。だから恨むなら私を恨め。私を殺したって構わない」
ヒザンの申し出は誰もが信じられないものだった。
「ちょっと待て、親父!!」
「お爺様!!」
「お前らは黙っていろ!!」
ヒザンに駆け寄ろうとしたヴァイアスとメアリはヒザンからの怒鳴り声で足を止めた。
「レンよ、頼む。元凶である私の命をやる。だから、イリアを助けてやってくれ」
なおも頭を下げたまま言う悲痛な声で言うヒザンを誰もが痛々しい顔つきで見つめる中、レンは、
「ふざけるな」
と一蹴した。何を言っているのか分からず、全員が驚愕の顔をレンに向ける。ブレイズール家の実質的な支配者であるヒザンが頭を下げてまで頼んだ事が、まさか断られるとは思っていなかったからだ。レンの返答は頭を下げていたヒザンをも驚愕のあまり頭を上げてしまうほどだった。
「アンタが何て言ったのかは知らないが、最終的に決断したのはヴァイアス・ブレイズールだ。アンタの命なんかいらない。どうでもいい」
レンから冷たい視線を向けられながら言われたヒザンは何とも言えない顔つきでレンを見返している。
「帰ろう」
見つめ返しているヒザンから視線を外し、レンは出口へと向かっていく。すると、
「ル、ルベリエール君」
レンの前にシリカが立っていた。シリカはあまり呼びなれない名前を言いながらジッとレンを真っ直ぐに見つめる。緊張しているのか恐怖しているのか分からないが、震えて言う事の聞かない体を何とか動かしてシリカはレンの前に行くと、いきなりその場に跪いた。
「今まで本当にごめんなさい。謝ります。だからお願いします。どうかお母様を助けてください。お願いします」
シリカは頭を下げながら言った。シリカが言い終わると同時にヒザンもまた、その場で頭を下げる。その光景に誰もが茫然とした。そんなヒザンとシリカを見て、レンは何かを言おうとした瞬間、
「私からもお願いします」
と、ヒザンが頭を下げている所から言ってくる者がいた。レンは視線を向けると、ヒザン、シリカと同じくヒザンの隣でメアリが膝をつき頭を下げていたのだ。
「当時の事は謝ります。本当にごめんなさい」
メアリまで頭を下げている事実に、他の者達はもうどういう状況か分からなくなってしまっていた。しかし、それでもレンの冷たい視線は変わらない。それでも、頭を下げている3人は頭を下げたまま動こうとしなかった。すると、レンは溜息をつくとゆっくりと口を開く。
「さっきから何度も言っている。変わらないよ」
そう言うとレン達はシリカが頭を下げている隣を通り抜け、建物から出ていこうとしたが、今度はその場にいたヴァイアスを除く全員がレンの前に立ち停まると、ホムラを先頭に一斉に頭を下げてきたのだ。すると、
「「「「「すまなかった」」」」」
と一斉に謝って来たのだ。傍から見ると異様な光景だろう。火属性最強であるはずのブレイズール一族が1人の人間に頭を下げているのだ。ブレイズール家は最強と言われているからこそ、プライドが高い。それなのに頭を下げてきたのは、先に動いたシリカとメアリが今、レンに頭を下げているからだろう。だが、2人が頭を下げたからと言っても個人にもプライドはある。まして、相手は昔いじめていた男で助けてもらうのは1人の女の事だけだ。いくら2人が謝ったからと言って、自分も謝ろうと思う事は難しい。それでも、今までレンに非道な行いをしていた者達が全員頭を下げたのだ。レンとしてはそんな光景を見て、嫌な気分になるはずが無かった。そして、レンはチラリとヴァイアスの方に視線を向ける。ヴァイアスは全員が頭を下げている中、只一人立ったまま、渋い顔をしていた。
「ハァー」
周りの光景を見て、レンはヴァイアスと頭を下げている全員に呆れたように小さく溜息をついた。
「分かった」
レンは大きな声で宣言した。その声を聞いた瞬間、全員だ一斉に頭を上げた。
「今回に限り手を貸しましょう」
その言葉に全員が「おおー」と声を上げ、立ち上がり、大きな声で叫びだした。まるで、もう助かったような勢いだった。そんな連中に視線を向けながらレンはまた呆れたように息を吐く。すると隣からジルが近づいてきて、フッと笑いかけてきた。レンも同じく笑いかけ、後ろからはユキとウラルが笑っていた。
「俺ってやっぱりお人好しなのかな。憎んでいた連中に力を貸そうとしてるんだから」
「そうだなぁ」
「その通りです」
「当り前じゃ」
3人とも声を揃えて返事をした。すると、今度はメアリ、シリカ、ヒザンの3人が近づいてくる。そんな3人にレンは視線だけ向けた。
「ありがとう、ルベリエール君」
「感謝します。レン・ルベリエール」
「礼を言う、レン」
3人がレンの前に立ち止まると感謝を言ってきた。
「今回は力を貸しましょう。ただ、忘れないでください。俺は貴方方を許したつもりは無い」
そう言うと3人は悲痛な顔をしたが、レンから視線を離さずに見返していた。
「分かっている」
代表してヒザンが言うと、3人はたったまま頭を下げてきた。
「イリアの事、よろしく頼む」
「お母様の事、よろしくお願いします」
「お母様をお願いします」
頭を下げて言ってくる3人にレンは体を向ける。
「全力は尽くしましょう」
レンは力強く、宣言した。
そんな光景を見ながら、ヴァイアスは静かに何かを考えていた。
誤字脱字があったら報告お願いします。
評価もお待ちしてます。