プロローグ 「五つの運命が交わる日」
皆さま、本作品を手に取っていただき、ありがとうございます。
本作は、一人の青年と五人の女性が織りなす恋愛物語です。
幼馴染、大学の同級生、会社の先輩、国民的人気アイドル、そして初恋の相手。
それぞれ異なる人生を歩んできた五人が、一人の男性との出会いをきっかけに運命を交わらせていきます。
舞台は、現実とは異なる「複数婚制度」が存在する架空の世界。
恋愛だけではなく、信頼、家族、葛藤、そして新しい幸せの形も描いていきます。
五人それぞれの想いと成長、そして主人公がどのような未来を選ぶのか、最後まで温かく見守っていただければ幸いです。
それでは――。
『五つの誓い――僕だけの五人の花嫁』
物語の始まりをお楽しみください。
「ねえ、あなたは運命って信じる?」
そんな言葉を、誰かに聞かれたことがある。
昔の僕なら、迷わずこう答えていただろう。
――信じない。
努力して、勉強して、仕事をして。
人生は自分の力で切り開くものだと。
そう思っていた。
だけど、あの日を境に、僕の人生は大きく変わった。
それは、一人の女性との出会いではない。
二人でも、三人でもない。
五人の女性との出会いだった。
そして、その誰もが――。
「あなたの妻になりたい」
そう言ったのだ。
⸻
時代は少しだけ未来。
世界では深刻な少子化が続き、多くの国が新しい家族制度を導入していた。
その中の一つが、『複数婚制度』。
一定の条件を満たした者だけが認められる、新しい結婚制度だった。
もちろん、誰でも利用できる制度ではない。
厳しい審査。
経済力。
人格。
家族全員の同意。
法律上の手続き。
数え切れないほどの条件を満たして初めて、一つの家族になることが許される。
その制度は賛成派と反対派で世論が二分され、毎日のようにニュースで取り上げられていた。
だが、その話は僕には関係のない世界だと思っていた。
少なくとも――あの日までは。
⸻
「神代悠斗さんですね。」
大学から帰る途中、一人の女性に呼び止められた。
黒いスーツ。
革靴。
胸元には政府機関の身分証。
「はい……。」
「内閣家族制度管理局です。」
突然差し出された身分証に、僕は思わず固まった。
「えっ?」
「あなたは複数婚制度の候補者として選出されました。」
「…………え?」
何を言われたのか理解できない。
僕は普通の大学生だ。
特別なお金持ちでもない。
有名人でもない。
スポーツ選手でもない。
芸能人でもない。
なのに。
「正式な審査を受けていただきます。」
「え、いや……人違いじゃ……。」
「人違いではありません。」
女性は静かに微笑んだ。
「あなたの人生は、今日から大きく変わります。」
⸻
その日の夜。
僕のスマートフォンには、一通の通知が届いた。
『複数婚制度対象者ポータル』
最初は悪質な迷惑メールだと思った。
しかし、昼間にもらった認証コードを入力すると画面が切り替わる。
そこには、信じられない文字が表示されていた。
【第一希望登録者 1名】
【第二希望登録者 1名】
【第三希望登録者 1名】
【第四希望登録者 1名】
【第五希望登録者 1名】
「……なんだ、これ。」
さらに画面を開く。
そこには、五人分のプロフィールが表示されていた。
だが、写真だけは非公開。
名前も年齢も職業も伏せられている。
表示されているのは、一言だけ。
『あなたを人生の伴侶として希望しています。』
その瞬間、背筋が震えた。
「誰なんだ……。」
幼なじみなのか。
同級生なのか。
昔助けた誰かなのか。
それとも、まったく知らない人なのか。
何も分からない。
分かるのは、五人全員が僕との未来を望んでいるという事実だけだった。
⸻
数日後。
運命は、ゆっくりと動き始める。
幼なじみとの再会。
大学での出会い。
偶然のすれ違い。
仕事先で巡り合う女性。
そして、誰も予想できなかった最後の一人。
五人それぞれが違う想いを胸に秘めながら、一人の男性を愛していた。
友情は恋へ。
恋は家族へ。
家族は、未来へ。
これは、一人の青年と五人の女性が、それぞれの想いを胸に歩み始める物語。
誰か一人だけを幸せにするのではなく。
全員で笑い、全員で泣き、全員で支え合いながら、新しい「家族」の形を探していく。
五つの恋が、一つの未来へとつながる日まで――。
『五つの誓い――僕だけの五人の花嫁』
物語は、ここから始まる。
最後までプロローグをお読みいただき、本当にありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
今回のプロローグでは、主人公・神代悠斗と、この物語の世界観、そして「五人の花嫁」という大きな物語の始まりを描きました。
この先は、一人ずつヒロインに焦点を当てた物語が続いていきます。
それぞれが異なる人生を歩み、異なる理由で悠斗を愛するようになった経緯を、じっくりと描いていく予定です。
まずは第一章「朝倉美咲編」。
幼馴染だからこそ積み重ねてきた時間と、友達以上恋人未満だった二人の関係が少しずつ変化していきます。
五人全員の想いが揃ったその先に、どのような未来が待っているのか。
ぜひ最後まで見届けていただけたら嬉しいです。
作品の感想や応援、ブックマーク、評価などをいただけると、今後の執筆の大きな励みになります。
次回より、第一章「朝倉美咲編」が始まります。
引き続き、『五つの誓い――僕だけの五人の花嫁』をよろしくお願いいたします。




