第22話:令嬢たちから「毒入りの紅茶」を振る舞われましたが、これって「耐性訓練(ボーナス)」ですわよね?
処刑を二週間後に控え、王宮では私の「お別れパーティー(※表向きは婚約祝賀茶会)」が開かれた。
そこには、カイン閣下を狙っていた令嬢たちが虎視眈々と私を睨みつけていた。
「あらエルナ様、これをお飲みになって? 私の領地で採れた、特別なハーブティーですのよ(※致死量の三倍の痺れ薬入り)」
(――キタ! これこそが王宮伝統の【消化器系へのサイバー攻撃】ね!!)
私は、差し出された真っ黒な紅茶(明らかに毒々しい)を見て、内心で喝采を上げた。
(処刑当日、いつ毒を盛られるか分からないもの。今のうちに『パッチ(抗体)』を当てておくのは、セキュリティエンジニアとして当然の嗜みだわ!)
「いただきますわ!」
私が迷わず一気に飲み干すと、令嬢たちは「ふふっ、今に喉を押さえてのたうち回るわよ……」とニヤついていた。
……が、五分経っても、十分経っても、私はケロッとしておかわりを要求した。
「……あら? 案外、マイルドな刺激ですわね。私の特製『泥水解毒剤』に比べれば、ただの炭酸水みたいなものですわ」
(エルナの脳内:日頃からあの『クソ苦い解毒剤』を飲んで胃壁を鍛えておいて正解だったわ! 私の胃は今、いかなる不正アクセスも許さない【最高強度のファイアウォール】と化しているのよ!)
絶望する令嬢たちの背後から、カイン閣下が血相を変えて飛び出してきた。
「エルナ! 大丈夫か!? 今、不審な魔力(殺意)を感じたが……!」
「閣下、ご心配なく! 皆様が、私の『内臓耐久テスト』に協力してくださったのですわ。おかげで当日の毒殺リスクが30%軽減されました!」
(カインの脳内:な、なんてことだ……! エルナは、俺を妬む女たちの悪意を全て分かった上で、あえてそれを受け入れ、俺の立場が悪くならないように『テスト』と呼んで笑い飛ばしているのか……! 毒すらも愛の力で浄化してしまう、まさに聖女……!)
カイン閣下は感動のあまり、震える手で私の(毒入り紅茶を握りしめた)手を包み込んだ。
「エルナ……君という人は……! その汚れなき心(物理的に毒耐性MAX)を、俺が一生かけて守り抜いてみせる! この茶会を台無しにした者たちは、今すぐ俺が『物理的なデバッグ(極刑)』に処そう!」
「いいえ閣下、それはもったいないですわ! 彼女たちの『攻撃パターン』は、今後の防犯マニュアルの貴重なサンプルになります。ぜひ、私の【ハニーポット(囮)】として今後も活用しましょう!」
(カインの脳内:『ハニーポット』……。つまり、自分を囮にしてまでも、俺への害を未然に防ごうというのか……! 君の献身、もはや神の領域だ!)
カイン閣下は私の「防犯用語(エンジニア用語)」をすべて「自己犠牲的な愛の言葉」に翻訳し、衆人環視の中で私をきつく抱きしめた。
令嬢たちは、毒が効かないどころか、さらに二人の絆(と鎖)を深める結果になったことに絶望し、「あの女、人間じゃないわ……」「化け物だわ……」と震えながら退場していくのであった。




