表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/25

第16話:防犯訓練のつもりが、伝説の暗殺ギルドを壊滅させてしまいました

 アポロン王子が更生したことで、公爵邸には平穏な日々が訪れていた。


 だが、私は知っている。平和な時こそが、最もセキュリティが脆弱になる瞬間(魔の時)だということを。


「閣下、本日は『実地防犯訓練シミュレーション』を執り行いますわ!」


 私がキリッとした顔で提案すると、カイン閣下は一瞬ポカンとし、それから耳まで真っ赤にして頷いた。


「実地訓練……。つまり、二人きりで街へ出て、君を狙う不届き者がいないか『パトロール』するというのだな? ……なるほど、世間ではそれを【デート】と呼ぶそうだが、君がそう言うなら訓練なのだろう」


「はい! 最大の警戒態勢で挑みましょう!」


 こうして、私たちは『連結索(鎖)』で繋がれたまま、城下町へと繰り出した。


 私の格好は、可愛いフリルが付いたドレス。だが、その裏地には『対物ライフル級の衝撃を弾く強化鋼』が仕込まれ、カゴの中には「お弁当」ではなく『煙幕弾と特製ジャーキー』がギッシリ詰まっている。


 一方のカイン閣下は、なぜかかつてないほどの殺気(=私を守るためのやる気!)を放っていた。


「……いたぞ。エルナ、三時の方角。路地裏に『害虫(暗殺者)』の気配だ」


「閣下、さすがの感知能力ですわ! 私のレーダーにも反応がありました!」


 実はそこには、この国を裏で牛耳る伝説の暗殺ギルド『黒い影』の精鋭たちが潜んでいた。彼らはアポロン王子の残党に雇われ、エルナを狙っていたのだ。


「――作戦開始です! 閣下、『一網打尽フォーメーション』を!」


「了解した。……エルナ、俺から離れるなよ」


 次の瞬間、カイン閣下は鎖をグイと引き寄せ、私を抱きかかえたまま路地裏へ突っ込んだ。


 暗殺者たちが毒矢を放とうとしたが、私のドレスから自動射出された『防犯用反射パラソル』がすべての矢を弾き返す。


「なっ!? 矢を跳ね返しただと!?」


「逃がしませんわ! これでも食らいなさい!」


 私はカゴから、開発したばかりの『超音波防犯ブザー(魔法増幅式)』を投げ込んだ。


 「キィィィィィィン!!!」という、耳を劈くような高周波が路地裏に響き渡る。


「ぐわぁぁぁ! 頭が……頭が割れる!」


 悶絶する暗殺者たちを、カイン閣下がジャーキーを食べて強化された力で、次々と「安全な気絶(再起不能)」へと追い込んでいく。


 わずか30秒で、伝説の暗殺ギルドは、一人の令嬢と一人の公爵騎士によって壊滅した。


 息を切らす暗殺者の首領が、床に這いつくばりながら震える声で言った。


「……お、お前たち……。たった二人で、我がギルドを……。そこまでして、この令嬢を……愛しているというのか……」


 カイン閣下は、私を抱いたまま、冷徹な死神の瞳で首領を見下ろした。


「当然だ。エルナの『平和なパトロール』を邪魔する者は、神であっても許さん」


(……ええ! 訓練の邪魔をする不審者は徹底排除ですわ!)


 夕暮れ時。私たちは街の人々に「仲睦まじい恋人同士」として温かい拍手を送られながら(※鎖で繋がれたまま)、公爵邸へと帰還した。


「いい訓練でしたわ、閣下! 街の治安も守れて一石二鳥です!」


「ああ……。君と一緒なら、どんな戦場も『天国デート』に見える。……エルナ、明日もまた、訓練デートに行こうか」


 こうして、私の「防犯パトロール」は、いつの間にか【国中の悪を駆逐する最強の掃除屋】として、裏社会から恐れられる伝説になっていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ