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第11話:招待客の身体検査(セキュリティチェック)をしたら、カイン閣下の愛が爆発(カンスト)していました

 婚約披露パーティーに向けて、私のやるべきことは山積みだった。


 特に重要なのが、招待客の選別。……つまり、【不審者の徹底排除】である。


「閣下、見てください! 前世……いえ、私の独自理論で開発した最新の防犯デバイス『マジック・スキャナー』ですわ!」


 私は書斎で、水晶玉に複雑な魔法陣を組み合わせた機械をカイン閣下に披露した。


 本来これは、相手が隠し持っている武器や毒物を検知するためのもの。だが、魔法回路の調整をミスったのか、なぜか「相手が心に抱いている熱量(感情)」が色と数値で表示されるようになってしまった。


「ほう、これで敵意を持つ者を炙り出すのだな? ……試しに俺を測ってみてくれ」


 カイン閣下が水晶の前に立つ。


 私はスイッチを入れた。


「ええと、青色なら『安全』、赤色なら『警戒』……って、ええっ!?」


 次の瞬間、水晶玉が真っ赤に発光し、内部から「ピピピピピ!」と爆音の警告音が鳴り響いた。


 表示された数値は【999,999,999……(測定不能)】。


(――な、なんですって!? 計測限界突破オーバーフロー!?)


「閣下! 危ないですわ! この機械によると、あなたの体内に核兵器並みの破壊的エネルギーが充満しています! もしかして、強力な呪いか爆弾でも仕掛けられているのでは……!?」


「……。……いや、エルナ。これはおそらく、俺の君に対する『情熱』の数値だと思われるが……」


 カイン閣下は顔を赤らめ、視線を逸らした。


(えっ? 『情熱(防衛へのやる気)』がそんなに高いの!? さすが閣下、警備に対する情熱が人類の域を超えているわ!)


「素晴らしいわ、閣下! これほどの防衛熱量があれば、どんな刺客も灰になりますわね!」


「ああ……。君を狙う奴は、俺が一人残らず灰にしてやるから安心しろ」


 閣下の頼もしすぎる言葉に安心し、私はさっそくこのスキャナーを、夜会の招待状の返信に同封することにした(※水晶に触れて返送してもらうシステム)。


 数日後。


 返送されてきた水晶玉の結果を見て、王宮はパニックに陥った。


「な、なんだこれは! 某公爵の『浮気心』が数値化されて届いたぞ!」


「こっちの伯爵は、王家の金を横領しようとする『黒い野心』が真っ黒な煙として表示されている……!」


 私が「危険人物(不審者)」としてリストアップした人々は、図らずも「隠していた悪事」をスキャナーによって暴かれてしまったのだ。


「エルナ……。君は、パーティーを前に、この国の腐敗セキュリティホールまで一掃しようというのか。……どこまで完璧な妻なんだ、君は」


 カイン閣下は、私の「身辺調査」の結果(という名のスキャンダルリスト)を手に、満足げに頷いた。


「当然ですわ! 怪しい人間は一人も、私たちの『聖域パーティー』には入れません!」


 こうして、パーティー当日を待たずして、王宮からは不敬な貴族たちが次々と「自主退場(という名の謹慎)」に追い込まれていった。


 エルナの「防犯チェック」は、いつの間にか【国家の腐敗を浄化する聖戦】へと進化していたのである。


 一方、何も知らないアポロン王子は、自分に届いたスキャナーの数値が【0(無能)】だったことにショックを受け、寝込んでいたのだが……それは誰も気にする必要のないことだった。

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