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主は悪役令嬢を名乗る公爵令嬢  作者: 狐のボタン


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捕まった子



一度表通りへと戻り、例の花屋で花束を二つ購入。

おばさんの墓へと戻り、花束を一つ供えてから路地を出た。


「シン、その花束はどうするのです?」

「お嬢様へと…。些細なお礼ですが、お嬢様のお部屋に飾っておきます」

「直接手渡したらどうです?」

「…無理」

「とんだチキン野郎ですね。そんな子に育ててきた覚えはないのですが。しかも私へは無いのですか?」

「メリスさん花束とか欲しがるような人でしたっ…いってぇ!! いきなり殴りますか!?」

「女性への気遣いをもう一度教え直す必要がありそうですね。まったく…私だって花束とか貰ってみたいですのに…」

今度必ず買ってきます…。お世話になったメリスさんへ渡すのが嫌なわけではないし。

てっきり”花などという軟弱なもの私には不要!” とか言うかと。 

ナイフとか渡したほうが喜びそうな人なんだから仕方無くない?


でも…確かにメリスさんから女性へのプレゼントは花束やお菓子等から始めるよう言われたっけ。

いきなり宝石やアクセサリー、ドレス等を贈るのは重すぎるから、と。

”バカな相手ならそれで簡単に落ちるでしょうが、そのような相手は信用してはいけません。警戒心のない相手など、こちらの情報すらいつ漏らすかわかりませんから気をつけなさい“って言われた。


そういえば…。お嬢様も王子から贈られてきたプレゼントを呆れた顔をしてみていたっけ。

無理もないか。贈られたアクセサリーのデザインはお嬢様がされたものだし、販売元もお嬢様がオーナーの店だ。

少し調べればわかるはずなのに、それすらせずに人気のものだからと安易に贈る王子が悪い。

受け取り拒否して送り返せと言われて、そのとおりにしたっけ。



お屋敷へと帰り、花束を抱えていた所をお嬢様に見つかり…。

「シン、それどうしたのよ?」

「少し街へ出たので購入してきました。お屋敷に飾ろうかと思いまして」

「…ふーん。リリス叔母様へ渡すとか言ったら監禁するところだったわ」

怖っ…。

「ヘタレが」

隣にいるメリスさんの呟きを無視して、お嬢様のお部屋へと向かい、お部屋の花瓶に生けておく。



突然の人の気配に振り返ると、部屋の入り口にお嬢様が。

「私の部屋に飾るんだ?」

お嬢様も気配消すのやめていただけませんか?メリスさん仕込みなのは間違いない。じゃなかったら僕がこんなギリギリまで気づかない筈がないし。

「メリスから聞いたわ。どうして手渡してくれないの?」

「そ、それは…。 えっと、やる事があるので失礼します!」

「あっ、コラ逃げるな!」

ダメだ。今はお嬢様の顔をマトモに見られる気がしない。

意識してしまうと頭がどうにかなりそう。何だこれは…。


どこか落ち着く場所へ行って頭を冷やさなくては…。そう思っていたら呼び止められた。

「シンちゃん。ママが会いに来たわよ!」

「リリス様…。いらっしゃってたのですね。お迎え出来ず申し訳ありません」

「ママと呼んでと何度も言ってるでしょう?」

「畏れ多くてとても…」

「呼んでくれるまで毎日通うから!」

無茶を言いなさる。ちゃんと実子も居られるのに…。

貴族の奥様は、あまり自ら子育てをされない方が多いけど、リリス様はどちらかと言えばメイドに任せきりにせず、ご自分で面倒を見ている方なのに。

こうして暇を見つけては僕なんかにわざわざ会いに来てくださる。


「今日もお茶しましょう?」

「はい。先ずは客間へご案内しますね。お茶は直ぐにお持ちします」

「大丈夫よ。メリスちゃんに会ったから、あの子が持ってきてくれるわ」

何時もの客間へ案内したら、本当にメリスさんがすぐにお茶とお菓子を用意してくれた。


「さっきは何か慌てていたみたいだけど、シンちゃんはどうしたの?」

「別に慌ててなど…」

「嘘ね。 ねぇメリスちゃん、何があったの?教えて」

「実は…」

もしかして話してしまうんですか!?黙っておいてほしかったです…。


………

……


「ヘタレね」

「ええ。とんだヘタレです」

「酷い…」

「ママへのプレゼントがないのもマイナスよ!」

リリス様へ渡したら僕は監禁されるそうなのですが…。


「もう正式に婚約も済ませているのだから、プレゼントの一つくらい渡してあげたら?花束くらいなら貰う方も受け取りやすいわよ」

「そうかもですが…。今更お嬢様に面と向かってプレゼントを渡すとか照れくさくて…」

ましてや意識してしまった今となっては尚更渡しにくい。


「ちょっと、メリスちゃん。この子やっぱり可愛すぎない?純粋でチョロいところもポイント高いわ」

「女性との接し方については教育したはずなのですが、何故かこんな調子で…」

「仕方ないわよ。仕事として割り切って口説くのと、惚れた相手と接するのとではわけが違うわ」

「はぁ…。確かに利用するだけの相手に本気になりすぎるなとは教えてきましたが…」

言われたなぁ…。口説くときは本気で、だけど惚れるなと。難しいことを言われた気がする。

メリスさん相手に色々と練習して、いつも合格もらってたんだけどなぁ。

お嬢様相手は違うらしい…。


お茶会の終わった後、リリス様には後日必ず花束を持って侯爵家へ来るようにと約束させられた。

これは監禁コース確定だな…。

一瞬、お嬢様にならいいかもって思ってしまったのは振り払っておいた。


「見つけたわよ、シン! 話の途中で逃げた挙げ句、リリス叔母様とお茶なんかして!」

「おもてなししない訳にいかないじゃないですか」

「そうだけど! なんか腹立つのよ! 話があるから私の部屋に来なさい」

「すみません、やらなければいけないことがありまして…」

「あ、待ちなさいシン!!」

すみません、お嬢様…。今は顔を合わせれらないんです!



そんな感じで一日お嬢様を避け続けていたら、ブチギレたお嬢様とメリスさんコンビに捕縛されて地下室へと引きずられていき、鎖で繋がれた。

「本当はこんなことしたくないのよ? でもシンが逃げるから」

「嬉々として繋いでおいて何を言ってるのです?」

「それはメリスでしょう?」

「私は大変楽しかったです」

メリスさんはそうだろうなぁ。幼い頃から何度いじめられたか…。

ちょっと口答えとかするだけでメリスさんの部屋に繋がれたり…なんて日常茶飯事だった。


でもさすがにこんな場所へ連れてこられたのは初めてだ。

「お屋敷にこんな地下とかあったんですね…」

「昔は忍び込んでくる愚か者とかがいたらしいのよ。そういう相手をここへ繋いで、雇い主とかを吐かせていたらしいわ。もうそっちの理由では使われなくなって何十年も経つけどね」

「その割にキレイですよね」

「お父様が浮気をした時にお母様が使ってたからよ。また使うかもしれないからと、いつでも利用できるようにはしてあるの」

知りたくなかったその情報! たしかに旦那様は愛人というか、側室もいない。若い新人のメイドに鼻の下を伸ばしていただけで奥様に叱られたのを見たこともある。



「まさか私がここを使うなんて想像もしてなかったわ」

お嬢様は変わってはいますが、そちらの常識は欠如していませんでしたもんね…。

僕もまさかお嬢様に本当に繋がれるとは思いもしませんでした。やられてもメリスさんにかと。

「さあシン? どうして私を避けるのか聞かせてもらいましょうか?」

「ですからお嬢様、好き避けというやつですって言いましたよね?」

「私は本人の口から聞きたいの!」

「…………」

「そう。答える気がないのなら仕方がないわね。答えたくなるようにするまでよ」

なにされるんですか…?お嬢様!?









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