32. 聖女の力って何なんでしょうね②
馬のブラッシングに悪戦苦闘した楓は汗をかいて体のあちこちに草がまとわりついていた。
「どうもありがとうございました。とても良い経験になりました。今後、乗馬できるように馬に慣れ親しみたいと思います。」
楓は教えてくれた厩務員にお礼を言った。
「とんでもねえことです。頭を上げて下さい。
移動移動で休む間もなく働かれていると伺っております。頑張ってくだせえ。」
ニコニコと厩務員はお礼を言った。
お昼を食べてから楓は部屋に戻り温泉に入って、侍女のゴッドハンドによる本日のメニュー、ヘッドマッサージを受けてたっぷり午睡をしたのであった。
そして晩餐のとき。
「今日の前菜についている冷製スープは、聖女様がこしらえてくださったものなんですよ。」
と言いながら給仕が前菜と共に、スープを運んできた。
晩餐の席についたのは、グリースデン伯爵・伯爵夫人、クリス、ヒューイ他、騎士・魔術師数名だ。
カイトは謹慎中だそうだ。
乾杯の挨拶と共にみな料理を食べ始める。
「冷製スープ?ってわたくしはじめてですのよ。」
伯爵夫人が朗らかにはなし始める。
「冷たくてコクがあっておいしいですわ~」
「あれ?」
騎士の一人が何が気になるのか他の騎士に何事か話しかけた。
「どうかしたのですか?」
クリスが気になって声をかけた。
「スープをいただいたんですが、ケガをしたところが良くなった気がして・・・
他の皆はどうかなと。」
「私も、足を痛めていたところの痛みが消えたような・・・」
「見てください、昨日、魔猪との闘いの途中で負った擦り傷が消えてなくなりました。」
スープを飲んだだけでケガが治ったと口々に言い合う騎士たち。
「いやー気のせいじゃないですか?」
けろっと楓は言った。
また一つ聖力の謎が深まった出来事だった。結界を張るだけではなく、食事をつくることで聖力を他者に分けることができる、歴代の聖女たちは、結界を張った後、どんな職業についていたのだろうか。
それも気になってクリスに聞いてみた。
「クリス様、歴代の聖女様は、結界を張り終えると、その後どんなご職業につかれたのでしょうか?」
「職業ですか・・・聖女様は生涯、聖女館で心安らかにお過ごしいただくか、どこか釣り合うところへお輿入れされることが近年は定石でした。仕事をされた聖女様はいらっしゃらなかったと思います。」
「歴代の聖女様も何か手に職を持っていれば、聖力の有効活用もできたかもしれませんね。
私は料理屋でもやってみようかしら?でも全メニュー自分で作るのは大変ね・・
お菓子屋さん、薬屋さんとかかしら・・?」
「今日の食事ですごく元気になった気がします。
聖女様の冷製スープのおかげです。料理長が怒るかもしれませんが」
騎士の一人が楓にお礼を言った。
「ほんとにパルミア地方の料理は何を食べても美味しくて。
おいしいものを食べるとストレスってなくなりますね。
今日のお料理、どれもとてもおいしいです。私の冷製スープ、飲んでいただけただけでありがたいです。」




