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3.可愛いを集めるのに年齢は関係ないよね

 昨日のうちに準備をしてもらったのか、楓のための服が部屋のなかにどんどん運び込まれた。

楓は元の世界で受付を任されるだけあり華やかな顔だちをしている。派手な服を着るとそれだけ派手派手になってしまうので、なるべくおとなしい服をと依頼した。


 その中から選ばれた胸元がしまったクリームホワイトのデイドレスは教会にもしっくり合う装いだ。

スカート部分の丈がくるぶし下まであるので歩きにくいことこの上ないが、なれればどうにかなるだろう。

「昨日は失礼しました。もう疲れてしまって、話し合いの途中で退出して申し訳ございませんでした。」

 楓がそう謝ると

「いえ、この国に来ていただいてすぐお話を聞いていただけて、私の方も少し前のめりになっていたようです。」

「昨日結界とおっしゃっていましたが、なにからこの国を守る結界なのでしょうか?」

「結界の外には魔物がおります。

シュバイツエン王国の建国の前、このあたりは魔物が跋扈していたそうです。

それを聖女の力で魔物を追い払い結界を張ることで人間が定住できるようになり、一緒に魔物を駆逐した勇者が建国したのがシュバイツエン王国です。

 百年に一度程度結界が弱まるので結界が破られようとするときに聖女様が降臨するといわれております。」

「その聖女の証明方法が昨日の水盤に手をかざすことなんですね。」

「その通りでございます。」


「水盤に力を籠めれば魔物がこの近辺にやってこない、その解釈でよろしいしょうか。1度力を籠めれば百年くらいは大丈夫とそういうことなんですね。」

「そうです。」


「皆様は魔物はどこからやってきて何を嫌がるのかの研究等は進められているんでしょうか?」

「それはその・・・」


(百年大丈夫となればそりゃ研究をしないわね。でも、もし仮に百年経って聖女が落ちてこなければ、結界が破られて国は滅びてしまうのでは・・・?危機管理に問題ありよね)


「何故、聖女様が必要なのか、なぜ結界が魔物をはじくのか、正直私は考えたこともございませんでした。そういうものだからと思っておりました。」

とクリスは答えた。


「何が原因で結界が破られるのかも気になりますね。さて、私が中央神殿へ向かうスケジュールはどんな感じになるのでしょうか。」


 翌日、楓とクリスは中央神殿へ転移陣を使って向かった。

転移陣は、この神殿を管轄する領主館のなかにあるという。領主館から中央神殿の転移するので実質移動距離は楓らが神殿から領主館に向かう道のりだけ1時間もかかっていない。しかし、転移陣を使うと利用者はその移動に対し疲れをみせることがあるというので、中央神殿の総司教・・・一番偉い人に面会するのは明日以降になり、楓は、聖女の住まいに案内された。


 そこは白亜の洋館で、可愛いが大好きな女の子の希望を全部集めたような建物だった。


猫足の家具だったり一人掛けのソファなどは曲線美が美しい小さな作りだったりした。ベッドは天蓋付きのクッションがてんこ盛りベッドだ。

「気に入っていただけましたでしょうか?」


 クリスは案内しながら楓に尋ねた。


「素敵なおうちですね。私には過剰な可愛さの無駄遣いなくらい。」

「可愛さの無駄遣い?」


「いえアリガタイが過ぎるって意味です。」

「では、本日からこちらで過ごしていただくことになります。私の住まいもこの近くにございますので何かございましたら、侍女にお申し付けください。

近隣の情報や、神殿の事情に詳しいものを専属侍女としてつけさせていただきました。リサ、挨拶をしなさい。」


 クリスはドアの方に向かって声掛けをした。 


しずしずと部屋に入ってきてリサと呼ばれた女性は楓に挨拶した。

「お初にお目にかかります。専属侍女に任じられましたリサ・アーレスと申します。

クリスの従妹に当たります。至らぬ点もあるかと存じますが聖女様にお仕えできることありがたく存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。」


 クリスは180を少し超える身長で騎士であるだけあって体つきもがっしりしているのに対し、リサは楓より少し小さい小柄の少女だった。


「こちらこそ宜しくお願いします。リサさんはおいくつ?」

「聖女様、リサとお呼びくださいませ。18になりました。」

(しっかりしているけど高3くらいの子か――年上が良かったとか言えないよね・・・)


「わかりました。リサ、もう今日から働いているの?」

「2日前にクリスお兄様から連絡をもらいまして、昨日からこのお屋敷付けで働いております。」

「そう、お屋敷のなかのことも色々教えてくださいね。」

楓は微笑みを浮かべながらリサにそういった。


「クリス様、この屋敷には図書館・・・聖女に関する本等がございますでしょうか?

私、気になっているのですが、異世界に来たのに話すことは問題ないんです。これはよくあることなんでしょうか。」

「言い伝えによりますと、歴代の聖女様の言葉について、読み・会話には不自由しなかったといわれております。書くことには不自由した方がいらっしゃったようですが詳しくはわかりません。

図書館には一通りの書籍は置いてあります。聖女様にご満足いただけるかどうかわかりませんが。」

「ありがとうございます。図書館で蔵書数が多いところはどこですか?」

「王宮と中央神殿です。」

「入館したいのですが可能でしょうか?」

「聖女様の許可書を申請しておきます。」

 楓は、クリスに気になることをまとめて質問したが、クリスは面倒くさがることなく丁寧に答えてくれた。


「聖女様お疲れではございませんか??」

「そうね・・・気持ちは落ち着かないけど体調は悪くないかな。今は現状把握、例え結界を張り終わってももう元の世界に戻れない可能性が高いこと・・・実際帰っても両親はおととし事故で亡くなっているし一人っ子だからあちらの世界で心から心配している人はいないだろうけど・・・結界を張るって仕事かなければ発狂してたかもしれない。」


「発狂って・・・聖女様は冷静に対応なさっておいでです。我々は、聖女様が安心できるよう最大限努力する所存です。私はこれから王宮へ聖女様の報告等に向かいます。明日、またこちらへ伺わせていただきます。」

「ありがとう。」


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