25. ヒューイの甥っ子
装備を整えていよいよグリースデンに向かう。
グリースデン第1神殿まではおよそ2時間30分ほどである。
想定していた通り、魔物は街道沿い、川岸沿いに現れたが、護衛が問題なく倒してくれていたため、楓の出番はなかった。
グリースデン第1神殿に到着すると、ここでも楓は挨拶そこそこに水盤に手をかざした。
この神殿で聖力を吸い取られるの量は過去一番多かったと思うが、クリスの指摘通り手のひらに力を集中させてさらに水盤の中心に集中して力を込めたので、気を失うことはなかった。成長している気がすると、楓は思った。
神殿で辞去の挨拶をして―――もちろん司祭には多いに感謝された―――グリースデン領主館に向かった。
途中で、一人で魔物と戦っている少年がいたので、護衛が加勢して魔物を倒した。
よく見ると狼っぽくて大きく、総じて黒っぽい気配を纏っている。
なぜ、人間を襲うのだろう。襲う人間もえらんでいるのだろうか?
そして、討伐された魔物の断末魔の叫びはいつも聞きなれない。
なので、私が「浄化」をしたほうが私の精神衛生上良いのでないかと思っていると、
「ヒューイおじさんありがとう」
戦っていた少年がヒューイに向かって声をかけた。
「カイトお前、なんで外出ているんだ?
父さんに怒られるんじゃないか?」
カイトというのは、ヒューイの一番上の兄のところの長男だという。
甥っ子ね。そう思ってカイトを見ると、ヒューイに似ているところがある。
ヒューイが15歳くらい若ければ、筋肉はまだ育ちざかりで少しひょろひょろしているような。
「外出は禁止されているけど、監視兵に交じって出てきたんだ。少しでも魔物を減らしたくて。」
「カイト、グリースデン領にも領軍がある。近く入隊する予定だろう。
一番嫌われる新人はなんだかわかるか?」
「何?」
「指揮系統に従わない人間だ。軍は命のやり取りをする。熱意のあるふりをして自分の功名心だとかを重視する人間は採用しない。意味わかるよな。」
いつもの3倍は怖い顔をしてヒューイは言った。




