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2.姫様も聖女も24歳女子の呼び名で正しいのかな

(姫様はなぜこんなに冷静にいれるだろうか。)

クリスは、不思議に思っていた。

【異界の姫様をお迎えする手順書☆】のなかには、

姫様は突然この世界にくるので情緒不安定になられる方もいるという記載もあったが、

不安でびくびくしているよりはニコニコ堂々としている。

「姫様、横乗りはお辛くはございませんか?」

 楓の耳元でクリスは言った。低音ボイスにドキッとする。

「お昼をいただく前は少し気持ちが悪かったのですが、今は大丈夫です。」

「もうすぐ馬車を手配できる場所があるのですが、馬に二人で乗り続けるのとどちらが

よろしいでしょうか。」

「すみません。馬車のご手配いただいてもよろしいでしょうか?」

 馬の横乗りで神殿に向かうのはスカートではキツイ。

「ますます人の目が増えるわけですよね?」と楓はクリスに聞いた。

「そうですね。馬車を手配します。」

 神殿まで姫様を馬でお送りしたかった・・・少し残念な気持ちになりながら、クリスは

手はずを整えた。

 馬車の方が良かったかというと全然そんなことはなかった。道は砂利道なので、ガタガタ

してその度にお尻が痛くなる。

 でも人の目が気にならなくなったことは良かった。段々と市街地に入ってきて、神殿の門

をくぐった。

「姫様、到着しました。」

クリスが馬車を止め声をかけてきた。

 地方の神殿だといっても立派な建物だ。ヨーロッパの古くからある礼拝堂のよう‥

行ったことはないけど、と楓は思った。

「司教様のところへまいりましょう」

 クリスは馬車に乗り換えるところで神殿へ先ぶれを出していたらしい。

 神殿のメンバーは準備をして待っていたようだ。

 神殿の奥まった場所に楓は連れていかれた。部屋の中央に鎮座している水盤の前に司教はいた。

「ようこそお越しくださいました。姫様。

 私はこの教会を預かるザハトラーシュ・マルコスと申します。姫様のお名前をお伺いしてもよろしいかな」

「サントウ・カエデと申します。カエデとお呼びください。」

「早速ですが、カエデ様、この水盤に手をかざしていただきたいのですが。」

 司教は水盤を指さしてそういった。

「わかりました。」

 楓は水盤の前に立つと両手を掲げた。

 すると水盤の中心が煌き光があふれた。

「ああ!!やはりカエデ様が今代の聖女様なのですね!!」

 ザハトラーシュ司教が感極まったように叫んだ。

(聖女設定のやつね、これって。)


「さて、私から質問させていただいてもよろしいでしょうか。」

 司教とクリスに向かって楓は言った。

「はい。」

「私はこことは違う世界からまいりましたが、戻ることはできるのでしょうか。」

「歴代の聖女様が元の世界に戻ったとはきいたことがありませんが、初代の聖女様はもしかし

たら戻られたかもしれません。結界を張りなおした後の聖女様の足跡の記録が一切残っており

ません。」


「わかりました。聖女はどういった条件でこちらの世界に来るのでしょうか。この世界の人が

無理矢理呼び出しているのであれば、誘拐です。私は協力する気にはなれないのですが。」


「この国の結界が破られるときに、聖女様が落ちてくると言われています。まれに聖女様では

ない落人もこの国にやってきますが、祈祷などで呼び寄せるわけではございません。」

「私がその落人の可能性もあったわけですよね。」

「落人はこの世界にない技術をもたらしてくれる方が多いです。善なる人々で、我々も大切に

保護し、一人でお暮しになりたい場合は住まいを整えたりします。

姫様は落ちてきた状況が状況でしたので、聖女様と推測した次第です。

我が国には聖女様の羽衣伝説がございまして、羽衣をまとって落ちてきた聖女は歴代の聖女の力

をしのぐといわれています。」

「すみません。これ羽衣ではなく私の国ではストールという名前で、季節の変わり目には好み

により女性が羽織ったりしてますよ。

で、私は何をすればよいのでしょうか。」

 微笑みながら歴代の聖女をしのぐ能力などないと言外に伝えた。

「で、私にはどんなことをお望みなのでしょうか。」

「聖女様には各地の神殿を巡回して、この水盤に力を注いでいただきたいのです。具体的には

聖女様が水盤に手をかざして、光らなくなるまでそのままの状態を維持していただきたいと思

います。」

「それだけ?で、全国にどうやってまわるの?もしかして馬車?」

 あんなガタガタの道ばかりだとお尻が馬鹿になってしまう。

「一応主要都市には転移陣と呼ばれる、各場所から転移できる装置がありますが、そこからは

馬車ですね。」

「何か所くらい回ればよいのですか?」

「およそ50か所、巡回騎士が置かれた場所とほぼ同じです。」

 司祭は厳格な表情でそういった。

「私の待遇はどうなるのでしょうか。衣食住ですとか、こちらでの今後の生活はどうなるので

しょうか」


「代々の聖女様用のお屋敷が中央神殿の近くにございます。そこが聖女様のお住まいとなります。

その他にご希望があれば住まいを変更することは可能です。

聖女様のなかには一人では寂しいので王城でお住まいになったり中央神殿で修道女と共にお住ま

いになったりした方もいらっしゃいます。

また、お召し物や食事等もリクエストがございましたら最大限応えさせていただきます。

また、結界の修復後は年金替わりに王領の一部が一代限りの領地として聖女様のものとなられます。」

 

司教あらかじめ覚えておいた内容なのかすらすらと答えた。


「わかりました。少し疲れました。司教様、少し休ませていただいてもよろしいでしょうか。」

 疲れた・・・環境も変わって足元も砂だらけだし、まだ夕方にもなってないのに疲労困憊だ。

楓は案内された部屋で、体をふきたいとお願いすると盥とタオルが出てきて侍女が楓の体を拭

こうとしたが、その申し出を断り自分で拭いた。

あっという間に眠気が来て、気が付いたら翌日の昼前になっていた。

楓が起床したのをどこから見ていたのか、察知したのか侍女が部屋に入ってきてまた盥とタオル

を渡してきた。盥の中身は温かいお湯だった。

「聖女様、司祭様とアーレス卿がお目通りしたいとのことです。」

「わかりました。身支度を手伝ってもらってもいいですか。」

「かしこまりました。」


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