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10.晩さん会に参加してみた

 今日の聖女の作業が早く終わったので、パルミア城では急遽決起集会のような晩餐が用意された。

 

 楓もいつもの聖女服から夜会用ドレスに装いを変えた。

 夜会用ドレスというのは肩を少し出すらしい。首がスース―して、しかも歩きにくいのが特徴だ。


 楓が会場に着くとパルミア公爵以下、城に住まう家族と王国軍、パルミア領軍のトップ、魔術師、セディナ・パルート、グリースデンの各領主たちがすでに集まっていた。

「皆様、突然の呼びだしにもかかわらず本日は我が城へ集結いただきありがとう。

 聖女様が、パルミア地方から結界を張り直すために、2日前に到着された。

 こちらの世界にお越しいただいて日がないのに我々の窮状にお応えいただいておる。

 感謝と共に乾杯をしたいと思う・・・それではグラスを持っていただきたい。

 乾杯。」


「「乾杯」」


 晩餐形式で、40人ほどが集まった。各人が乾杯を終えると会話を始めた。

「聖女様、お綺麗ですわね・・・羽衣をまとって降り立ったとか・・・」

「・・・クリス様とお話されているお姿・・・絵になりますわね」

(女性陣は、聖女の人となりに興味があるようね)


 楓は、得意の微笑みを浮かべながら周囲と控えめに会話する。


「聖女様、お疲れではございませんか?」


「・・・本日はそれほど大変な作業ではございませんでした・・。移動の距離も短かったので。皆様とこうやってお話できてうれしいです。」


「まあ、なんてお優しいことで・・。結界が破れて魔物が少しづつ領内に入り込み始めてから、気が気ではなくて・・。聖女様にお越しいただいて有難く存じます。」

 

 楓の体調を気遣いながら、しっかりとお礼を伝えたのはパルミア公爵の長女イザベラだ。

 楓の隣に座っている。パルミア公爵家からは、成人した娘二人が晩さん会に出席していた。

 

 パルミア公爵家は娘だけで息子がいない。


 領軍を本来率いるのはパルミア公爵の後継者だ。が、娘では領軍を率いることは難しく、パルミア公爵の縁戚にあたるヒューイ・グリースデンがその任にあたっていた。

 

グリースデン家の三男で、パルミア公爵の従弟でもあった。3男で武芸に秀でていたところを買われ、パルミア領軍入りした。自力で騎士団長となった剛の者だ。


「聖女様にご挨拶申し上げます。ヒューイ・グリースデンと申します。」

 斜め向かいに座っていたヒューイから楓に挨拶された。

「サントウ・カエデと申します。どうぞ宜しくお願いします。」


「今日は魔物にも遭遇したとか。」


「クリス様と護衛があっという間に退治してしまったので遭遇というほどではございません。」


「それは良かったですね。

 明日、王国軍のメイン部隊が到着します。

 連携については引き続き調整を重ねますが、聖女様が今日魔物に遭遇した場所に監視兵を

 領軍から送っておきます。」


「聖女様、ヒューイはいつもこんなに口数多くないんですよ。口数多いと思ったら討伐の話。こういうときだけ言葉がでてくるのね。」

 

 ニコニコと笑いながらイザベラが軽口をたたいた。

 

 楓が晩さんの席を見回すと、クリスは魔術師らの近くの席に案内されたらしい。

 本当はクリスにマナーのフォローなどをしてもらいたかったが、おそらくクリスはいろいろな調整のためにあの席に着いたのだろう。

マナーについて気になることは後で聞くことにしよう、と楓は思った。


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