過去編 04ー科学部からのメール
一週間が過ぎた。
それは金曜日だった。最後のチャイムの音は、解放というよりも、長くて退屈なチュートリアルの終わりのように響いた。授業終了の期待感で張り詰めていた教室の空気は、椅子を引きずる音、カバンのジッパーの音、そして週末の計画についての弾んだ会話で満たされた。俺はいつものように、異なるリズムで動いていた。荷物をまとめるその動きは我ながらメトディカルで、現実世界への再突入を遅らせるための、小さな儀式だった。
カバンを肩にかけ、廊下を歩いた。騒がしい生徒たちの川が俺の周りを流れていく。もうすぐ学校の出口というところで、ズボンのポケットが命を得た。
ブル…ブル…。
スマホを取り出す。画面が樹からのメッセージで光った。
樹:「わりぃ!急用で先に帰る。昨日のギルドの奴らとの話はまた後でな」
軽い溜息が漏れた。いつも元気な彼が、まっすぐ家に帰るなんて、何かあったのだろう。まあ、異常なことではない。今夜予定しているダンジョンをキャンセルさえしなければ。彼のような無謀なタンクには、ミスを修正するためのエリートヒーラーが必要なのだ。小さな、皮肉な笑みが顔に浮かんだ。少なくとも、ゲームの世界では、俺は自分の価値を知っていた。
ウォークラフトと次のボスのための最善の回復戦略について考えながら、俺の指は画面をロックし、スマホをポケットにしまおうと動いた。だが、その動きを完了する前に、デバイスは再び俺の手の中で震えた。今度は、短く、一回だけの振動。異なる通知。
俺の視線は画面に落ちた。LineでもDiscordでもない。緊急に点灯することなどめったにないアイコンだった。
「――ん……メール?」
珍しい。メールなどほとんど受け取らない。ましてや……。
俺の目は画面に釘付けになり、送信元に焦点を合わせた。その言葉は単純だったが、俺の肺の中の空気を一瞬、凍りつかせた。
「――科学部……」俺は、ますます人のいなくなった廊下に向かって囁いた。
俺の心は、その異常事態を処理しようと加速した。なぜ学校の科学情報部が俺にメールを?どうやって俺のアドレスを?集団での勧誘か?だが、それは最低でも校則違反だろう。
少し速くなった鼓動と共に、俺はメールを開いた。本文はなかった。挨拶も、説明もない。ただ、タイムスタンプのように見える名前の、二つの動画ファイルが添付されているだけだった。
12391481419041.mp4
131841895255.mp4
最初のファイルに触れた。エラーメッセージが現れた。「無効なファイル形式です」。二番目を試した。同じ結果。「メディアが破損しています」。
眉をひそめた。なぜ科学部が、わざわざ俺に、二つの破損した動画ファイルを送ってくる?これはテストか?パズルか?俺が何年も訓練してきた、脳の論理的な部分が制御を握った。コーデック情報を確認すれば……生のデータを復元しようとすれば、フレームを回復できるかもしれない……。
「――はぁ……」溜息をつき、髪をかき上げた。
これだ。俺の探求的な性質、壊れたプログラムを修正し、論理的な問題を解決しようとする衝動。気づく前に、それは俺を支配していた。自制しなければ。まず、最も重要なこと。なぜ部がこれを俺に送ってきたのかを突き止める。
気づいた時には、俺の足はすでに出口から遠ざかっていた。俺を突き動かしたのは、社会的な不安感よりも、遥かに強い好奇心だった。部室がある上階へと、俺は階段を上っていた。静かな廊下と、ドアにかかった使い古されたプレートを見つけた。
「――ここか……」
俺の手が上がったが、金属製のドアの数センチ手前で止まった。どういうわけか、俺の意志は二つに裂かれた。一つは、良質なミステリーを愛する部分で、答えを求めていた。もう一つは、何年もの間俺の人生を支配してきた部分で、このドアを開けることは問題を引き起こすと叫んでいた。自分の部屋の静寂の方が安全だと。俺は、そもそも部活に入るつもりはなかったのだ。
それに、科学部?面白いかもしれないが、もしかしたらゲーム部の方が俺の性に合っているかもしれない。そして、両親は何と言うだろう?彼らは賛成するだろうか?それとも、また一つ、無駄な気晴らしだと見るだろうか?
そうだ……チューリングはかつて言った……。
「――『科学とは微分方程式である』」俺は、閉ざされたドアに向かって囁いた。その言葉は、自分の口から出たとは思えないほど奇妙に響いた。
なぜ今、これを思い出した?これは何かの合図か?今日の自分を変えるきっかけになるかもしれない、何か?
「――……新入部員、だね。きっと」
声は、俺の右側から聞こえた。女性の声、明瞭で、どこか楽しげな響きがあった。俺はドアに集中していたので、ゆっくりと振り向いた。そこに、一人の少女が立っていた。彼女は両手で段ボール箱を抱え、その髪は、長く、深く、鮮やかな赤色で、廊下の光をすべて捕らえているかのようだった。
一瞬、世界は沈黙した。俺は凍りつき、彼女に目を奪われた。彼女には何かがあった。俺の心臓をつまずかせるような、ありえないほどの既視感。
彼女は俺の視線に気づき、微笑んだ。その仕草は、埃っぽい廊下を照らすかのようだった。
「――うーん……君、力ありそうだね。部室に入るの手伝ってくれないかな?ドアが、ちょっと固くて」
「――お、俺は……」
返事をしようとしたが、喉が締め付けられた。言葉が出てこない。
彼女は、俺の反応が世界で最も普通のことであるかのように、優しく笑った。首を傾げ、楽しげな輝きを目に宿して、俺を品定めした。
「――新入部員としての最初の任務は、私を手伝うこと。さあ、行こう」