第4章:闇の都(やみのみやこ)
Aジンとジャイロは目標へと進み出す――だが、闇はあらゆる場所に潜んでいた。
彼らは果たして、生き残るほどの力を持っているのか!?
タラゴルは、闇の軍の野営地――ヴォルカニアへと戻ってきた。そこはアルグアディアとインペリアの国境付近にある。野営地には、
およそ五十体のトロル、三百体ほどのオーク、百五十体近くのミノタウロス、そして百体のゴブリンが集まり、まだ制圧されていない地域への侵攻に備えて武装していた。
タラゴルは、軍の指揮官のテントへと歩み寄る。そのそばでは、側近の一人が鋭い目つきで周囲を見張っていた
衛兵:「誰だ!?」
タラゴル:「将軍に会いに来た。」
衛兵:「今は取り込み中だ。さっさと立ち去れ さもないと、お前をミンチにしてやるぞ!」
タラゴル:「伝えなければならないことがある……極めて重要なことだ! 貴様ら『魔剣の牙』のオークたちのことは知っている。その剣は、触れたものすべてを毒に染める……!」
衛兵:「ほう……よく調べてるじゃねぇか。」
衛兵は一瞬で刃を振るい、タラゴルの目の前、数センチの距離でピタリと止まった!
衛兵:「さあ言え……. お前の首を切り落として、トロルどもに餌として投げ与えない理由を――たった一つでいい。」
タラゴル:「雷と炎の都は、新たな皇帝世代によって奪還された。……そのことを伝えに来たのだ。」
衛兵は黙って剣を収め、タラゴルに通行を許した。
その奥、指揮官のテント―― そこに座していたのは、“死の剣”タファルと呼ばれる男。
彼の剣によって、数千の命が奪われてきた。
タラゴルは静かに近づき、右手に掴んでいた騎士を―― バキッ!首の骨を砕き、テントの外へと投げ飛ばした。
ズバァッ!
テントの布が破け、大きな裂け目を残す。ゆっくりと、タファルが振り返る――。
タファルは、後ろに縛り上げられた三人の騎士へと振り返ると、容赦なく激しい蹴りを浴びせた。
その後、タラゴルがタファルに近づき、彼の喉を掴んで持ち上げ、笑みを浮かべた。
タファル:「貴様……俺の尋問中に割り込む. は、いい度胸だな……!」
タラゴル:「大将……これは重大な報告です!雷と炎の皇帝がそれぞれの都を奪還し、我らの兵は全滅しました!」
その言葉にタラゴルはタファルを解放。
タファルは床に倒れ込み、怒りに震える。
タファルは目前のテーブルを拳で粉砕し、捕らえられていた騎士の一人に歩み寄り、その首元に噛みついて、頸動脈を引きちぎった。
タファル:「……皇帝オークに報告せねば。」
その時、騎士の一人が笑い出した。タファルはゆっくりとその男の方を振り向く。彼の前にしゃがみ、目線を合わせた。
タファル:「何がそんなに可笑しい?」
騎士:「お前が怯えるべき相手は、皇帝たちじゃない……」
騎士は口から血を吐いた。.
タファル:「……皇帝より恐ろしい存在など、あるものか?」
騎士:「お前の顔が楽しみだよ……. ヒューマニアの二大将軍、カイドウとアトラスがこの拠点を壊滅させる瞬間をな!」
タファル:「たかが二人の将軍に……俺の軍も、この俺自身も倒せると思っているのか?」
騎士:「あいつらはただの人間じゃない……
お前たちに勝ち目なんてない!きっと、もうすぐここに現れる……!」
タファル:「フン……奴らがどうなろうと同じだ!最後は我らの食卓に並ぶ運命よ!この剣でな!」
騎士:「違うな……折れるのはお前の剣だ……. そして、切り刻まれるのは、お前自身だ……!」
タファルは立ち上がり、オーク二人を呼びつけた。二人はテントに入ってくると、タラゴルを押しのけて前に進み、タファルの前で跪いた。
その姿は、一般的なオークとは異なり、どこか人間の特徴を持っていた―― 彼らは半オーク(セミ・オーク)だった。
やがて二人は立ち上がり、不気味な笑みを浮かべた。
タファル:「この男を“千の苦痛の杭”に縛りつけろ。」
騎士:「知っておけ……俺たちはまだ“新兵部隊”にすぎん。
本物のヒューマニアの騎士は――恐怖を知らぬ戦士たちだ!」二人の半オークが騎士に向かって歩み寄る。そのうちの一人が、タファルに問いかけた。
オーク:「他の連中はどうします?まだ八人残ってますし、他は全部……鍋の中に入りました。」
タファル:「そいつらは生かしておけ。……だが、こいつだけは別だ。この剣が腹を空かせているからな。」その言葉と共に、タファルの手元に漆黒の剣が現れる――
黒き刃が、第三の騎士の肌をかすめた瞬間だった。
刃から溢れ出た漆黒の物質が、生きているかのように騎士の身体を這い回る。
その恐るべき“毒”は、一瞬で彼を包み込み、声を上げる暇すら与えなかった。
そして――音もなく吸い込まれた。
パキン、と骨の砕ける音が響き渡る。
そこに残っていたのは、ただの白骨だけだった。タファルはその様子を、感情一つ見せずに見つめていた。
彼は無言で頷き、オークたちに合図を送る。命を失った騎士の骸を持ち上げ、彼らはテントを出た。
タファルは忠実なるタラゴルと共に、その後に続く。
目指すは――巨大な鉄製の箱。
重たい静寂が場を支配する中、箱から鈍い音が響く。ゆっくりと蓋が開き、地の底から現れたかのような怪物が姿を現した。
それは「ヴェルダトル」。漆黒のキチン質に覆われ、鋭い牙を持つ巨大な蟲――否、“地獄の蠕虫”だ。
タファルは静かにその喉元に手を当て、古代の言葉で囁いた。
オークが一つの小さな箱を運んでくる。
中では、あのタラゴルが苦しげに身をよじっていた。
迷いなく、オークはタラゴルを箱ごと封じる。タファルが指を鳴らすと、ヴェルダトルが口を開け、それを丸呑みにした。
背中に軽く拳を叩かれると、地面が揺れる。ヴェルダトルは地下へと潜り、姿を消した。――目的はただ一つ。
「闇の都」への伝令。
少し離れた場所では、ひとりの男が杭に縛り付けられていた。
杭には無数の鋭いトゲが突き刺さっており、男が少し動いただけで血が吹き出す。
呻き声が空気を裂いた。その瞬間、タファルがキャンプの角笛を吹き鳴らす。
ズオォォンッ――!轟く音に、場が凍りつく。オーク、ゴブリン、ミノタウロス、トロル…全ての魔物が動きを止めた。
その場に立つだけで肌が粟立つような静寂の中、タファルは拳を天に突き上げた。
TAFAL:「オークども、ゴブリンども、ミノタウロス、トロルたちよ…今夜、人間どもを狩るぞ!出発だ!アルグアディア海岸を目指せ!」
その瞬間、獣のような咆哮が軍勢から轟く。六百を超える魔物たちが、一つの黒い波となって大地を揺らす。
彼らが通った後には、燃え上がる村と灰、そして死体しか残らなかった。
一日がかりの行軍の末、彼らはアルグアディア海岸へと到着。
軍は手際よく布陣を整える。その少し離れた場所、闇の中を忍ぶ二つの影があった。
雷の帝・ジンと、炎の帝・ジャイロ――
二人は静かにアルグアディアの境界線を越えていた。
ジャイロが眉をひそめる。
ジャイロ:「…あの野営地、なんだ?」
ジンは黙ったまま、地平線をじっと見つめていた。次の瞬間、目を見開く。
ジン:「見ろ…!」
ジャイロがその視線を追うと、息を呑んだ。
そこには、八人の騎士たちが鉄で補強された木製の檻に囚われていたのだ。
目と目が合う。頷き一つ。
言葉は不要だった。
音もなく、二人は影のように近づいていく。見張りは二人のオーク。
ジンは地面の小石を拾い、それを静かに投げた。音に気づいた一人のオークが、不審そうにその方向へと歩いていく――その背後から、ジンが稲妻のように跳びかかる。
喉元に撃ち込まれた一撃。オークは地に倒れ、息をする間もなく絶命した。
もう一人のオークが驚き、斧を抜く―― だが、遅い。すでにジャイロの姿は彼の背後にあった。回し蹴りが首筋に炸裂。
骨が砕け 音とともに、オークは塵と炎に包. れ、跡形もなく消えた。
ジンが檻に近づき、声をひそめる。
ジン:「…助けに来た。」
疲れ切った一人の騎士が、ゆっくりと顔を上げた。
騎士:「助かった…!奴らに奇襲されて…我々の部隊は全滅しました…」
ジャイロは空を見上げ、不安げに眉をひそめた。
ジャイロ:「時間がない。もうすぐ夜明けだ。奴らが戻ってくる…!」
カチャッ、カチャッ――鍵が次々と外され、弱り切った騎士たちが一人、また一人と檻から出てくる。
だが、場の空気は急に重くなった。ジンの目が細められる。
首筋に寒気が走ったその瞬間――彼は悟った。
ジン:「…罠だ!」
だが、もう遅かった。
すでに、彼らは完全に包囲されていた。
群れをかき分けるようにして、タファルがゆっくりと歩み出てくる。
その唇には、獣のような嗤いが浮かんでいた。
タファル:「雷と炎の皇帝か…ハハハ!今日は楽しくなりそうだな!」
その手に握られた魔剣が、黒い光を放ちながら現れる。ジンとジャイロは背中合わせに立ち、雷と炎がそれぞれの体を包み込む。
タファルの姿が、突如かき消えた――!次の瞬間、ジャイロが強烈なアッパーカットを受け、空中に吹き飛ばされた。
ジンが反応する間もなく、胸元に鋭い蹴りが襲いかかる!咄嗟にガードするが、重すぎる一撃に押し返される。それでもジンは、ニヤリと笑みを浮かべた。
TAFAL :「ほう…悪くないな。」
JIN:「そっちこそ…本番はこれからだ!」
Jairo は炎に包まれた拳を握りしめ、再び戦闘態勢に入った。
その時、巨大なミノタウロスが一歩前に出る。顔には引きつったような笑みが浮かんでいた。
Minotaure:「で、誰から始めるんだ?」獣のような声で唸る。
その瞬間、Jairo の姿が炎の中に消える。次に現れたのは、ミノタウロスの頭上。彼は腕から繰り出した一撃で、斬り裂いた。ミノタウロスはまばたきをする――その直後。頭部は体からゆっくりと滑り落ち、地面に鈍い音を立てて崩れた。一瞬の沈黙。周囲のモンスターたちは恐れを感じて一歩後退する。Tafal は高らかに笑い出す。
Tafal:「今夜は…実に楽しめそうだ。」
彼は剣を消し去り、一瞬で Jin と Jairo の目の前に出現した。
その瞬間、二人は地面に叩きつけられた。まるで見えない重圧に押し潰されたかのように。
Tafal は二人の喉元を掴み、上空へと投げ飛ばす。だが、Jin と Jairo はすぐに反撃に出た――!
JIN : Raijin vortex !
JAIRO : Karyuken !
雷と炎が一つのエネルギーの奔流となって融合した。爆発が夜空を明るく照らす。煙が晴れると…タファルの姿は消えていた。背後から叫び声が響いた。タファルは騎士たちの中に紛れ込み、刃を高く掲げ、今にも振り下ろそうとしている。
タファル:「生かしておくつもりだったが、結局は…」冷酷な笑みを浮かべ、武器を振り下ろす。
その時、戦場に圧倒的な気圧の波が押し寄せた。全員が海の方を見上げる。太陽が昇り、海の上に小さな船がゆっくりと進んでいた。
船の上には二人の男が立っている。
ミノタウロスたちは襲いかかろうと突進したが、船の男が放つ猛烈な圧力により押し戻された。
ミノタウロスたちは斧を構え、筋肉を緊張させ、
まるで空気自体が張り詰めたかのような緊張感に包まれていた。
二人の上位ミノタウロスがゆっくりと前に進み、軽蔑と不安が入り混じった目で相手を見据える。
ミノタウロス(左):「なんてオーラだ…まるで空気そのものが近寄るのを拒んでいるようだ。」
ミノタウロス(右):「だから何だっていうんだ?
こいつがどれだけ圧力を放とうが、俺たち全員の前では他と同じ運命だ!」カイドウは流れるような動きで二刀を抜いた。
一瞬の動きで、鋭いエネルギーの刃が二本、前方へと飛び出した。
一瞬のうちに、五十体ほどのミノタウロスが真っ二つに斬り裂かれた。彼らの体は砂浜に音もなく崩れ落ちる。
オークたちとタファルは凍りつき、目を見開いたまま動けない。
たった一撃で、浜辺は死体の山と化した。カイドウはまだ船の上にいたが、生き残った者たちの中に一本の梁を見つけた。
そこに一人の騎士が縛り付けられている。彼は姿を消し、次の瞬間には残ったミノタウロスの真っ只中に現れた。
そして一瞬のうちに、周囲は動かぬ死体で埋め尽くされた。
もう一人の男が現れ、砂浜に降り立った。
name : Atlass
ゴブリンやトロールたちが彼に突進するが、彼は剣で次々と切り裂いていく。
闇の軍団の長と対峙する騎士は、タファルの方を見て微笑んだ。
タファルは歯を食いしばり、行動を起こす必要があると悟る。
彼は処刑のために剣を振り上げた。だが、二刀流の男は力をほとんど使わずにその攻撃を防いだ。ジンとジャイロさえも、何が起きたのか理解する暇がなかった。
タファルは震えながら後退する。振り返ると、そこにはオークとトロールの死体の列があった。
彼の手の中の剣は震え、動かすことができない。二刀流の男はまだ船の上にいたが、梁に縛られた騎士を見つける。
彼は姿を消し、生き残ったミノタウロスたちの真ん中に再び現れ、一瞬で彼らを切り倒した。
梁に縛られた騎士はタファルに向かって微笑みかけた。
タファルは彼を見て振り向き、首をはねようとしたが、一瞬のうちに二刀流の男がその攻撃を防いだ。
ジンとジャイロですら、何が起きたのか気づく暇がなかった。
タファルは恐怖に駆られ、後ろを見ると、オークとトロールの死体の列が広がっていた。彼は剣を動かすことができなかった。
TAFAL :お前は誰だ…?
二刀流の男:(不敵な笑みを浮かべて)我こそは、貴様らを絶滅させに来た死神だ。
TAFAL :お前は間違いなく、ヒューマニア軍の討伐者、カイドウだ!そしてそいつは…軍の将軍、アトラスか!
カイドウは何も言わず、刀を差し出した。するとすぐに、タファルの剣に宿る悪魔のエネルギーが吸い取られた。タファルは後ろに跳び退き、容赦なく攻撃を仕掛ける。
剣は猛スピードで空気を切り裂き、連続で斬撃を繰り出す。
カイドウはその一撃一撃を軽々と防ぎ切った。突然、カイドウの速度が爆発的に加速する。
その刃は観客の目にはほとんど見えなくなり、普段どんな激しい戦いも追いかけられるジンさえも、ただ金属の稲妻のようにしか見えなかった。
タファルは咆哮し、狂ったように戦い続けるが、カイドウの蹴りで浜辺に吹き飛ばされた。
タファルは傷つきながらも立ち上がり、無力に自軍の壊滅を見守る。アトラスはまさに壁のような存在だ。
盾の一撃は敵を粉砕し、剣の一振りは致命的な精度を持つ。彼は冷たい視線をタファルに向けながら、トロールの頭蓋に剣を突き刺した。
タファルは理解した。彼らは普通の戦士ではなく、鎧をまとった怪物だ。タファルはカイドウに最後の突撃を仕掛け、全力を込めて一撃を放つ。しかし、彼の大切な剣はひび割れた。
タファルが見上げると、カイドウの姿は消えていた。
一瞬の静寂の後、首の後ろを貫く刀が口から出てきた。
タファルは倒れ、その最後の光景は壊滅した自軍だった。
オークの守護兵が不意打ちを仕掛け、酸のついた手をカイドウの背中に向けて投げた。
だが、カイドウは瞬時に盾を放ち、その手を真っ二つに切り裂いた。
カイドウはアトラスに向かって振り返り、片方の口角を上げて微笑んだ。
彼らは虐殺を続け、最後の敵を斬り伏せた。
アトラスは怒りをあらわにしながら、ジンとジャイロに近づいた。
アトラス:「さあ、若者たちよ! 大人たちに戦いを任せっぱなしにするのか?」
ジン:(燃えるような視線で)「雷と炎の帝王を侮るな!」
ジンとジャイロは戦いに飛び込む。空気は彼らの攻撃でビリビリと震え、雷と炎が敵陣を次々と焼き尽くしていく。
傷ついた騎士たちも、力強い波動に後押しされ、剣を取り戦いに加わった。
20分も経たずして、暗黒軍は灰燼と化した。
ジャイロは決意の眼差しで遺体を焼き払い、ジン、カイドウ、アトラスは負傷者を船へと運び出す。
カイドウとアトラスは、彼らに軽く頭を下げて感謝の意を示した。
アトラス:悪くないな、若造たち。これからもその調子でいけ。
カイドウ:「お前たちの名前は?」
ジン:「ジン・フスカイ、雷の帝王だ。」
ジャイロ:「ジャイロ・ミツコ、炎の帝王だ。」
カイドウはほほえみを浮かべた。
カイドウ:「ヒューマニアに来たら、ぜひ会いに来いよ。」
一時間の話し合いの後、将軍たちは再び自分たちの船に戻った。ジンとジャイロは彼らに敬礼した。新たに二人の味方を得たのだ。
彼らの旅は今、アルガディアへと向かう。
闇の中心に、巨大な要塞がそびえている。それが「テネブラ」、影の都だ。
無数の魔物たちが徘徊し、すべてがオーク皇帝に忠誠を誓っている。
ヴェルダトルが深淵から現れ、不気味な視線を向ける。
一人のオークの長が前に出る。ヴェルダトルは箱を吐き出した。
長はそれを開け、中からゆっくりと一体の魔物が現れた。
タラゴル:「オーク皇帝への伝言がある。」
オークの長はうなずき、彼を連れていく。陰鬱な要塞を進むと、道の両側には串刺しにされた人間の死体が並んでいた。オーク皇帝の宮殿は「恐怖の深淵」と呼ばれている。
その内部の壁は拷問されたエルフで覆われており、麻痺する毒によって生かされている。彼らは巨大な会議室にたどり着いた。
五人の将軍がテーブルを囲み、オーク、ミノタウロス、ゴブリン、サイクロプス、トロールがオーク皇帝の玉座の前に立っている。
オークの長が跪くと、オーク将軍、筋骨隆々で邪悪なオーラを放つ男が立ち上がった。
彼は皇帝よりも強大だと言われている。
後ろでは、ミノタウロスの長とゴブリンの長がこっそり話し合っている。
その声は緊張の轟音にかき消されそうだ。
ミノタウロスの長:「確かに…奴は恐ろしいエネルギーを放っている。だが、我らの将軍なら問題なく倒せるはずだ!」
ゴブリンの長:「チッ…そんな夢物語だ。俺たちゴブリンはそういうのを感じ取れるんだ。」
突然、深紅の瞳を持つ将軍がゆっくりと彼らに顔を向けた。
一瞥で、ミノタウロスの長は反応する間もなく、その体は見えないエネルギーの閃光とともに爆散し、ゴブリンの長が呆然と見守る中、跡形もなく消え去った。
その視線はいま、オークへと向けられた。
オーク将軍:「時間は十秒だ。話せ。」
タラゴルは唾を飲み込み、怪物の圧倒的な視線に体を震わせた。
タラゴル:「大将軍タファルの命令で伝言に参りました…帝たちが戻ったと。」
部屋に沈黙が訪れた。
オーク皇帝:「十八年ぶりの帰還か…(獰猛な笑みを浮かべて)」
タラゴル:「陛下…お考えをお聞かせ願えますか…?」
オーク皇帝は冷たい笑みを浮かべる。
オーク皇帝:「お前に計画を話す意味があるか?もう死んでいるようなものだからな。」
タラゴルは驚き身を震わせる。
タラゴル:「死んでいる…?」
背筋に冷たい震えが走る。オーク皇帝は手を一振りした。重い音が背後から響く。タラゴルは圧倒的なオーラを感じる…血と死の匂い。ゆっくりと振り返ると、彼の目は恐怖で見開かれた。高さ五メートルの一つ目の巨人が立っていた。
彼の巨大な手が襲いかかり、まるでぬいぐるみのように彼を掴み上げた。サイクロプス将軍は瞬時に圧倒的な力を放ち、タラゴルを粉砕した。サイ
クロプス将軍:哀れな奴め」
オーク皇帝:「話は終わりだ。各自の陣営に戻れ。数週間後に再び集まろう。」
将軍たちはうなずき、鎧の響きと重い足音を立てながら部屋を去った。オーク皇帝は宮殿の奥にある秘密の扉へ向かう。扉が開くと、暗い中庭に続き、壁の暗い洞窟が鎮座していた。突然、姿が現れたのはゴダル。大陸で最も恐れられる科学者の一人だ。彼は狂気じみた笑みを浮かべ、皇帝に付き従うように命じた。
オーク皇帝はためらうことなく進み、闇の中へと足を踏み入れた。
目の前には血のように赤い扉が立ちはだかる。
彼がそれを開けると、すぐに悪臭が空気を満たした。無数の檻が部屋に散らばり、その鉄格子は時と苦痛に刻まれている。
人間やエルフたちが押し込められ、恐怖に満ちた虚ろな目をしていた。
彼らは暴君の影に肌を震わせ、反射的に後ずさる。
奥には金属製の台が並べられ、その上では変形した身体が凄惨な実験に苦しんでいる。痛みの叫び声が廊下に響き渡る。
オーク皇帝:「成功したのか?」
ゴダル:「二人はもうすぐ孵化の準備が整います…しかし三人目が最も強力です。」
皇帝の目に興味が宿る。
オーク皇帝:「見せてみろ。闘技場の勝者を使ったのか?」
ゴダルは微かに笑みを浮かべてうなずく。
ゴダル:「ああ…そうだ。あんな戦士は今まで見たことがない。」
二人は緑がかった光に包まれた部屋へ進んだ。中央には二つの孵化器が置かれ、不思議な機械に繋がれている。
中には二つの人型の影があり、その目がゆっくりと開く。オーク皇帝は目を細めて見つめた。
ゴダル:この18年間、あなたから預かった骨を使って数千もの実験を行いました。
ゴダル:こちらが…最初の2人のプロト皇帝、ナンバー1とナンバー2です。
オーク皇帝:「プロト皇帝?」
ゴダル:「ただの試作品ですが、あなたがこれまで見てきたものをはるかに超えています。」
ゴダル:「18年間、あなたから持ち込まれた骨で何千もの実験をしてきましたが、物質を吸収できたのはわずか3人だけでした。こちらが最初の2人のプロト皇帝、ナンバー1とナンバー2です。」
オーク皇帝:「なぜ彼らをプロト皇帝と呼ぶのだ?」
ゴダル:「彼らはまだ試作品だからです。」
ゴダルはDNAの混合を行う必要があると説明し、孵化器に近づいてボタンを押す。
孵化器の中身が空になり、2人のプロト皇帝が現れる。
ゴダルは彼らに衣装を選ばせるため、いくつかの服を差し出す。
彼らは服を着るが、プロト皇帝2は顔全体を覆うものを欲しがる。近くの暗い棚へ向かい、その中の悪魔の仮面を取り出してかぶる。
ゴダル:「これは闇の皇帝のために用意したものですが、プロト皇帝2が気を悪くしないようにします。
彼らの力の全貌を見せるために、あなたの将軍を呼んでみてください!」
皇帝はプロト皇帝2に前に現れるオークの将軍を倒すよう命じる。
オークの将軍が現れる。
オーク将軍:「呼びましたか?」
一瞬で、プロト皇帝2は姿を消す。オーク皇帝は首をかしげ、倒れたオーク将軍の首なしの体を見る。振り返ると、プロト皇帝2がオーク将軍の首を手に持っている。
皇帝が気づかぬうちに、彼は将軍の首を切り落としていた。皇帝は彼を称賛し、ゴダルは微笑む。
ゴダル:「これがお気に召したなら、地下の者をご覧になってください。」
ゴダルは皇帝に従うよう促し、プロト皇帝たちを部屋に残しておく。二人は洞窟の奥深くへ降りていき、魔法の扉の前にたどり着く。ゴダルは説明する。
「この扉の向こうにいる存在の力は非常に強大かつ不安定なため、ここに封じざるを得なかったのです。
彼は世界を滅ぼすことを誓っていますから。」ゴダルは扉を開ける。そこにいたのは、一人の男だった。
Godal : ご覧の通り、カプセルのガラスですら、あの力を抑えきるのは難しいようです……。やつは、まもなく目覚めるでしょう。
オーク帝王 : 今はまだ封じておけ。我らの敵どもに解き放つ時までな……。
黒い霧が部屋を覆った。
オーク皇帝が一歩踏み出そうとしたその時、ゴダルが彼を制止した。
ゴダルは一人の男を檻に連れてきて、そのまま部屋の中に檻を放り込んだ。
霧は男の体内に入り込み、やがて消え失せた。
ゴダルはオーク皇帝と共に部屋に入った。
男の目が変わり、オーク皇帝にじっと視線を向ける。
「お前の将軍を連れてこい」
男は叫び声を上げ、爆発し、血しぶきを四方に撒き散らした。
オーク皇帝:「何が起こった?」
ゴダル:彼は霧を放つとき、誰かに憑依して意思を伝え、その後その人物を爆破します。
だが心配はいりません.
彼は一日に一度しかそれを行えません。皇帝、その力は並外れています。
オーク皇帝はショックを受け、ゴダルに部屋を封印し、自分の命令があるまで開けるなと告げた。扉の前には見張りが配置される。ゴダルは皇帝が暗黒皇帝の力を目の当たりにして恐怖を感じたことを理解した。
彼はプロト皇帝たちの部屋へ戻り、プロト皇帝1にアルグアディアにあるタファルの基地へ向かうよう命じた。
プロト皇帝2にはゲウリア王国に潜入しているエルフの拠点を壊滅させるよう指示した。
出発前、オーク皇帝は彼らに宮殿へ行くように告げた。二人は階段を上り、バルコニーへ向かう。広大な軍勢が静かに彼の言葉を待っている。
オーク皇帝:闇の戦士たちよ!我々は新たな時代の夜明けに立っている!プロト皇帝たちの力によって、ヒューマニアを打ち砕き、世界を支配するのだ!
獣の咆哮が空に響き渡る。軍勢は皇帝に歓声を送り、地はその戦の叫びで震えた。闇の時代が幕を開ける。
目的に向かって歩みを進める二人――だが、闇は決して彼らを離さない。
生き残れるのは、強き者のみ。
ジンとジャイロはその中に入れるのか……?




