第22話 l’épreuve d’Elfia
数日間、静かな平原を歩き続けた末、ついに Jin たちは国境へとたどり着いた。
彼らの目の前に広がるのは、古代から続く魔法の息吹が大地そのものを生かしているかのような、神秘の大地 ―― エルフの領域だった。
JIN(真剣に地図を見つめながら) :
「持っている情報によれば、俺たちは Elfia を通ってドワーフ帝国へ向かわなければならない。
そこでドワーフ皇帝に頼み、島へ渡るための頑丈な船を手に入れるんだ。」
JACKARD :
「油断するな… エルフもドワーフも、客人に対して友好的な種族じゃない。
ましてや、よそ者に対してはなおさらだ。」
JAIRO(好奇心を抑えきれず) :
「俺は一度も会ったことがないけど… エルフって、そんなに敵対的なのか?」
SANDRA :
「他の種族の存在をほとんど受け入れないのよ。
彼らが私たちを“許す”のは、自分たちに都合がいい時だけ。」
PRINCE(落ち着いた低い声で) :
「俺は以前、エルフの女帝に会ったことがある。
彼女は賢明で、そして強大な力を持つ女性だ。
だが皇帝の方は違った。俺に会うことを拒み、まるで虫けらを見るように俺を無視した。」
その言葉に Jairo は思わず Prince を見つめる。
だが、腕を組んでいた Jackard が、重い口調で Jairo に向けて語り出す。
JACKARD :
「Prince と Riku がまだ十歳ほどの頃だ。
二人は森をさまよい、飢えに苦しみ、獣に追われていた。
そんな彼らを救ったのが、元自然帝 Akane だ。
彼は二人を自らの息子のように育て、戦いと叡智を授けた。」
そこで Jackard は一度言葉を止め、暗い目を伏せる。
JACKARD :
「そして Prince は後継者に選ばれた。
彼を守るため、俺たちは Akane の死を偽装したんだ。
聖域を囲むように巨大なジャングルを創り出し、オーク帝の軍勢や Alcads を罠にかけた。
この森を越えられるのは、我らの都市の民だけだ。」
重苦しい沈黙が流れる。
やがて彼らは再び歩みを進め、巨大な樹木と絡み合う根の間を抜けながら、声を潜めて語り合い続けた。
一行は慎重に進んでいた。枝が折れるたび、その音が聖域のような森の静寂に響き渡る。木々の隙間から光の筋が差し込み、足元には彼らの歩みに合わせるように光を帯びた花々が咲き揺れていた。
PRINCE(枝に触れ、周囲に葉を咲かせながら):
「エルフィアの最初の領域に近づいている…。ここでは、ほんのわずかな動きでも望まぬ視線を引き寄せかねない。」
JIN(拳を握りしめ、指先に小さな火花を散らしながら):
「気を抜くな…。」
SANDRA(髪がわずかに風に揺れながら):
「エルフは空気の乱れさえ感じ取るわ…。油断すればすぐに、私たちがよそ者だと知られてしまう。」
その時、葉の間をすり抜けるような微かなざわめきが耳に届く。
視線を上げると、葉を失った木の枝の上に、細身の影が立っていた。
一人のエルフが彼らを見下ろしている。その瞳は、まるで一人一人の魂を覗き込むかのように鋭く光っていた。
ELFE(澄んだが氷のように冷たい声で):
「お前たちは誰だ…? 女帝の加護もなくエルフィアに足を踏み入れるとは、死を望むに等しいぞ。」
JIN(決意に満ちた眼差し、手に雷の光が走りながら):
「我々は争いを求めてはいない。ただ、ドワーフ帝国への道を探しているだけだ。」
エルフの青年は長く彼らを見つめ、やがて薄く、しかし残酷さを秘めた笑みを浮かべた。
ELFE:
「よそ者はいつも急ぎ、そして愚か…。よかろう。ついて来い。ただし…最初の試練を生き延びられればな。」
その言葉とともに、彼の姿は風と葉のざわめきに溶けて消えた。
残されたのは、花のようでありながら金属のような、不思議な香りだけだった。
JACKARD(眉をひそめながら):
「エルフの試練は決して形だけのものではない…。軽率に挑む者は、ほとんど生きて帰れぬ。」
PRINCE(落ち着いたが力強い声で、足元の根を揺らしながら):
「わかる…あれはナリオだ。傭兵にして、エルフィア最強の魔導士。奴は危険すぎる。」
JIN(拳を握り、腕に雷光を走らせながら):
「何が待ち受けようと…俺は退かない。これまで乗り越えてきた全てを無駄にはしない。」
突如、大地が微かに揺れる。
巨大な根が地面からせり上がり、動く迷路のように彼らを取り囲む。
サンドラの周囲では風が荒れ狂い、彼女のバランスを試すかのように渦を巻く。
ジャイロは柔らかだが力強い熱に包まれ、炎を呼び覚ますかのようだった。
JIN:
「どうやら…試練が始まったようだな。」
PRINCE:
「集中しろ。ここでは自然そのものが、俺たちの行動や心の在り方を見定めている…。だが、感じる…この森はまだ本当の姿を見せてはいない。」
木々の影の間を、影のような存在がすり抜ける。
見えざるエルフたちの目が鋭く光り、彼らを監視していた。
まるで…小さな過ちを待っているかのように。
エルフィアの真の試練が、いま幕を開けた。
Jin と仲間たちは、蠢く迷宮を進んでいた。
大地の根は絡み合い、壁はまるで生き物のように脈打っている。
重苦しい沈黙を裂くように、突然一つの影が現れた。
――Nario。
エルフィアで最も恐れられる傭兵の魔導士。
彼は槍を地面に突き立て、冷酷な声を響かせた。
NARIO:
「さあ…お前たちが一人になった時、どう生き延びるか見せてもらおう!」
大地が揺れ、迷宮そのものが歪みだす。
次の瞬間、仲間たちは強引に引き裂かれ、それぞれ孤立した。
Prince
無数の蔦が彼を絡め取ろうと襲い掛かる。
だが Prince が解き放つ力が蔦を縛り上げ、動きを止めた。
彼が指先で触れると、蔦は花を咲かせ、道を開いた。
その時、槍の影が背後から突き抜け、胸を貫いた。
Prince の身体は霧のように掻き消えた。
Jackard
腕を組んだまま、微動だにしない。
二人のエルフ傭兵が背後から刃を振り下ろした瞬間――
Jackard の一閃が走り、敵は真っ二つに裂かれた。
JACKARD:
「くだらんな。」
しかしその直後、背後から突き出された槍が彼を貫き、彼の姿も霧散した。
Sandra
彼女の前に立ちはだかったのは、全身棘だらけの怪物。
Sandra は風を纏い、果敢に飛び込む。
怪物が跳び掛かってきた瞬間、
両腕から放たれた嵐が敵を貫き、身体に大穴を開けた。
だが勝利は一瞬。
背後から突き刺さった槍が腹を貫き、Sandra の身体も消え去った。
Jairo
静かに歩を進めていた時、四人のエルフ傭兵が忍び寄る。
鋭い刃が襲うが、Jairo の炎がそれらを溶かし尽くす。
四人が一斉に飛び掛かる。
炎の拳が次々と敵を打ち倒していった。
しかし地面に広がった影が彼の足を捕らえ、黒い槍が胸を突いた。
Jairo もまた霧のように消えた。
Jin
十人のエルフ傭兵が彼を取り囲み、一斉に矢を放つ。
Jin の瞳が閃光を放ち、その身体は矢の雨をすり抜けた。
稲妻のごとき速さで敵を打ち倒し、最後の一人を掴み上げた時――
背後から槍の影が迫る。
咄嗟に振り向いた Jin は槍を弾き飛ばし、相手を地面に叩きつける。
立っていたのは再び Nario だった。
NARIO:
「ふむ…悪くない。だが仲間たちはそうはいかなかったようだな。」
JIN:
「……仲間?」
Nario が槍を振るうと、光の立方体が空中に描かれた。
その中には、鎖に縛られた Prince、Jackard、Sandra、Jairo の姿が閉じ込められていた。
NARIO:
「ここからが本当の試練だ。
時が過ぎるごとに光の檻は狭まり、いずれ仲間を押し潰す。
救う方法は一つ――俺を倒すことだ。」
JIN:
「……なら全力で行く!」
言葉を終える前に、Nario の拳が Jin の顔面を捉え、巨木へと叩きつけた。
立ち上がる間もなく、腹部へ強烈な蹴りが突き刺さる。
血を吐きながらも Jin は笑った。
彼は Nario の足を掴み、逆に地面へ叩きつける。
二人は再び立ち上がり、苛烈な連撃を交わす。
その頭上では光の檻がじりじりと狭まり、仲間たちの叫びが響いた。
Nario が槍を構え、突進する。
しかし Jin の身体を稲妻が包み込み、その動きは一線を超えた。
槍の突きを次々と躱し、一撃の雷拳を叩き込む。
Nario の口から血が飛び散ったが―― Jin の拳は最後の瞬間に止まった。
NARIO:
「……試練は、終わりだ。」
彼は槍を手に取り、光の檻を解放する。
仲間たちは無事に解き放たれた。
NARIO:
「よくやった。お前には資格がある。」
そう言い残し、Nario の姿は霧のように消えた。
迷宮もまた、大地に吸い込まれるようにして消滅した。




