第19章 : 自然の皇帝の影 ― Akane
戦場を覆う黒き霧。
その気配は、兵士たちの心に絶望を刻みつけていた。
しかし――闇を切り裂くように、一つの影が現れる。
その名は Akane。
「自然の皇帝」と呼ばれし存在。
彼の放つ一撃が、戦場の運命を大きく揺るがした。
同じ頃、黒い毒霧が戦場を覆い尽くした。
Rikuは激しく咳き込み、視界が揺れる。
その背後に、Roi Alcadが姿を現した。
ROI ALCAD(残酷な笑み) : 「貴様はただの虫だ。哀れな人間め。」
背中に拳がめり込み、さらに蹴りが叩き込まれる。
Rikuの口から血が溢れた。
王は彼の喉を掴み、持ち上げる――とどめを刺そうとした、その瞬間。
獣じみた影が空を裂き、隕石のような衝撃でRoi Alcadを吹き飛ばした。
王の身体は建物に激突し、轟音と共に崩れ落ちる。
影はゆっくりと歩み寄り、Rikuをそっと地面に横たえた。
RIKU(弱々しく) : 「Akane…」
瓦礫を突き破り、Roi Alcadが立ち上がる。
その瞳は怒りに燃え、全身から黒いオーラが迸った。
大地が砕け、周囲の家屋が次々と崩壊していく。
王が吠え猛りながら突進する。
黒きオーラを纏った拳、その圧に空気そのものが震えた。
ROI ALCAD(咆哮) : 「粉々にしてやる!」
だが、Akaneはただ片手を差し出した。
その掌が、王の拳を完全に止める。
まるで山にぶつかったかのように。
AKANE(冷静に、氷のように) : 「言葉が多すぎる。」
彼は身を翻し、稲妻のような蹴りを放った。
大気が破裂音を上げ、轟音が戦場を揺るがす。
Roi Alcadの身体は砲弾のごとく吹き飛ばされ、いくつもの壁を突き破り、
土煙と瓦礫の中に叩きつけられた。
RIKU(誇らしげに) : 「紹介しよう。元・自然の皇帝、俺たちの養父――Akaneだ。」
ROI ALCAD : 「どうせ他の者と同じ運命を辿るだけだ…」
言葉を言い切る前に。
Akaneの姿が消え、次の瞬間――拳が王の腹を貫いた。
鋭い蹴りが頭部を撃ち抜く。
拳、蹴り、爪。怒涛の連撃が矢継ぎ早に繰り出される。
王はよろめき、体勢を崩す。
Akaneは跳躍し、その巨体を地面へ叩きつけた。
AKANE(静かに) : 「この大地を穢すべきではなかった。」
王は絶叫し、黒い粒子を全身に凝縮させる。
だがAkaneは眉ひとつ動かさない。
彼の耳が羽のように震えた瞬間――黒煙は一瞬でかき消された。
刹那、Akaneの腕は速度で刃と化す。
その一閃が、王の心臓を貫いた。
間髪入れず、体をひねり、兎脚が唸りを上げる。
次の瞬間、王の身体は真っ二つに裂かれ、大地へと崩れ落ちた。
AKANE(片手を差し伸べ、低く響く声) : 「秘技――《樹液の牢獄》。 」
掌から滴る液体が王の残骸を覆い、石像のように固めていく。
さらにAkaneは地面へ手を当てた。
AKANE : 「秘技――《砂海》。 」
大地が泥へと変わり、王の石像を呑み込んでいく。
次の瞬間、地面は元のままに戻り、痕跡は何も残らなかった。
Akaneは歩み寄り、Rikuを支え起こす。
彼に小瓶を渡し、口元へ注ぐ。
Rikuの顔に血色が戻っていく。
AKANE : 「すまない。長くは留まれない。」
RIKU(衝撃) : 「なっ…!? もう行くのか!」
AKANE : 「他の皇帝たちはお前の兄と共に戦っている。だが、まだこの地には戦いが残っている。
……俺は妖精の都へ知らせに行かねばならない。」
RIKU : 「一体、誰がそんな事態を――!」
AKANE(陰りを帯びて) : 「二人の存在だ。ひとりは将軍オーク。
そしてもう一人は仮面を被った男。
その力は理を超えている。俺が行かなければ、この世界は蹂躙される。」
AkaneはRikuの肩に手を置いた。
その瞳は優しさと決意に満ちていた。
AKANE : 「Riku、お前は強い。自分が思う以上にな。……この大地を護れ。」
言葉を残し、彼の身体は植物の風に溶け込み、姿を消した。
まるで最初から存在しなかったかのように。




