最高位
「カースが、キョウが邪眼にかからないのを不思議がってたから、人間の姿でこの地に来たついでに確認したらしい」
リゾが説明すると、ロイは否定する。
「いやいや、そんなの口実だろう。キョウに気があったからあわよくばって思ったんだろう?」
「……さあ?」
と返事したものの、リゾは内心穏やかではなかった。
ケイに限ってまさかという思いと、あのケイならあり得るという思いがグルグルする。
反対したい気持ちが強いが恋愛は自由だし止める権利はない。
キョウはファウという恋人がいるわけだが、もしかしたら別れるという可能性も全くないわけではなく、その先にケイと付き合うということがあり得るのだろうか?
リゾの危惧が、その表情からロイに伝わったのだろう。
「お前、本当にキョウが好きなんだな」
「いや」
それに関してはリゾは否定する。
「レン様に、髪と魂をくれたんだ。守りたいだけだ」
「守るんだったら、ケイと付き合ったらそれこそ完璧に守ってもらえるだろうさ」
それは確かにその通りなのだが、同意は出来かねる。
「まあ、いい。どうせなら、そのキョウを最高位にしちまうってのはどうだ? その方がお前も守りやすいだろう」
「………」
リゾは無言になる。
それに関してもは考えたこともなかった。
「女神ルウの加護を得られれば、髪も魂も戻るさ」
「………」
そうかも知れない。
そうなる可能性があるならそれに賭けたい。
無言で真剣な顔つきのリゾに、ロイは苦笑する。
「どんだけ好きなんだよ」
否定しようとしたリゾだが、ロイは倒れたアンドロイドを持ち上げる。
「アグんとこに運んでおくわ」
と言い、ロイは去るのだった。
最高位同士は互いの家へ、瞬間移動できるのだ。
「ああ、助かる」
言いながら、意外に面倒見のいい男だよな、とリゾは思った。
あの調子なら、文句を言いつつもケイの家の掃除もしそうだ。
――それにしても……
キョウを最高位にするなんて発想、そもそもなかった。
それもありかも知れない……。
このことに関して、よく考えようと思ったリゾだった。