女神
キョウは頷く。
「体調は大丈夫なの?」
ファウのその言葉にもキョウは頷く。
「環境維持ロボが壊されて痛かったけど、もう大丈夫」
――ん!?
ミフルは耳を疑う。
環境維持ロボが壊されて痛い?
どういうことだ?
ミフルの脳裏に水脈を引きずり出した環境維持ロボが思い出される。
あれはキョウがつれてきた環境維持ロボだ。
――そういうことか、いや、まさか。
キョウも、今の自分と同じように環境維持ロボを操っていたのか。
キョウを誘拐して水脈を拓かせようとしたとき、キョウができないと言ってたのは人間の姿のままではできないという意味か……?
その時、はっとミフルの脳裏に、金色の髪の子どもが水を沸かせる様子が映し出される。
月明りの下、金色に輝く髪は女神ルウを想像させた。
そんな光景なんか、実際には見たことないのに。
『水たまりにキョウが浮いてたんだ』
甥のガイルが、そんなことを言っていた。
その時は、子どもの戯言だと思っていた。
半信半疑でその場所を見に行ってみれば、水たまりどころではない、泉といってもいいくらいの大きな水たまりがあったのだ。
そこで遊んでたキョウとファウを追い出し、立ち入り禁止にしたもののすぐまた元の砂漠に戻ってしまった。
もしのあの時立ち入り禁止になどせず、まだキョウを自由に出入りさせていたら泉は枯れることもなかったのではないか――?
なんてことだ。
自分の見栄で民に必要な水脈が消えてしまっていたのだ。
いや、本当にあの泉は消えたのか?
『かつて、キョウが水脈を開いた地に………』
ファウを誘拐した男がそんな言葉を言い残していた。
あの場所がまだあるのか?
それを維持できていたのが最高位だからか?
なぜ最高位がそんなことをしたのか?
それは、キョウこそが女神ルウだからなのではないか?
昔、そんな噂があった。
キョウが女神ルウの生まれ変わりじゃないかという噂が。
根も葉もない噂だと思ったが、本当なのかもしれない。
今、グレスがキョウに尽くせと言ったのはそういうことも含めてのことなのだろう。
ルウの民のために尽くすのは勿論のこと、なんとなく、キョウのために何かしてやりたいと考え始めたミフルだった――
終わり
最後まで読んでいただきありがとうございました。




