墓
(どこ行きたいんだ? 俺がつれってやるよ)
ミフルが目的の場所を告げると、グレスがミフルの腕をつかみ走り出した。
二人がたどり着いたのは墓場だった。
苦労しながら、ミフルはなんとか自分の墓を見つける。
(自分の墓参りか)
と、グレスが自分語りのように言う。
(俺もしたなー。民衆たちから離れる時、神の化身になるって覚悟できたな)
その民衆には、ミフルは死んだことになっていた。
本当は最高位になったんだ!と民衆たちに自慢してやりたかったのに、それは駄目らしい。
墓の中には、ミフルの代わりにシヴァが葬られていた。
元々は長老の影武者として雇ったのが、結局死んでしまうなんて――
ケイが顔をぐちゃぐちゃにつぶしたので、ネードの変化魔法がなくてもミフルの身内にはごまかせたらしい。
おそらく、ケイが邪眼でも使ってある程度の心理操作はしたのだろうけど。
考えてみれば、恐ろしい話だ。
なぜ、ケイはそんなことをしたのだろう?
ミフルの見た限り、シヴァは温厚な人物だった。
何があったのかそのうち聞いてみたい気もするが、かつてのミフルはケイを暗殺しようとしたのだ。
ケイに相当恨まれていても不思議ではない。
なるべく距離を取りたいような――
今のところ、最高位たちの人間関係には浅くしか踏み込めないでいた。
ミフルは、自分の墓の前で、両手を組み祈りのポーズをする。
自分のために祈るのはとても滑稽だ。
その隣で、グレスも同じように祈りのポーズをした。
(俺の場合は身内がこの地にいるから、100年ほど人間の姿でここに来ちゃ行けないことになってんだ)
ああ、どうりで、とミフルは思った。
だから、グレスは環境維持ロボでここにいるのだ。
(俺は、グレス・レファイってんだ。ファウはひ孫にあたる。キョウとお付き合いしてるってんだから、たまげたよ)
なんだか、聞き覚えのある名前だ。
(まあ、そのファウにだって直接は会ったことはないわけだし、もう人間の姿でこの地にいてもいいと思うんだがね……)




