ルール
二人の言ってることが漠然としてるし、まさかと思いながらも長老は魔法で鏡を出現させる。
魔法で作った、敵の攻撃を防いだりするための壁だが、その応用で光が反射する壁を作った。
これで姿見くらいの大きさの鏡になった。
「さすが! 圧倒的に魔法が強くなってる」
と、ロイ。
今までの長老にはおおよそできない芸当だ。
女神ルウの加護を受け、最高位の力を得た証だ。
鏡に映った自身の姿を見て、長老は呆然とした。
「オレ、子どもになっちゃったんだ……オレ? あれ?」
首を傾げる長老。
今まで、オレなんて言葉を使ったことがあっただろうか?
するりと、口調が子どもっぽくなっている。
子どもっぽいのに気づくと、次は服はぶかぶかなことに気づいた。
長老は鏡を消して、深々と思い出す。
「子どもの頃は神童とか言われてたもんなー」
成長するとともに魔力が弱まっていった。
それでおかしな名誉欲や出世欲ばかりこじらせていったような気もする。
「あぁ、そうだったね」
ケイがそんなこと言う。好意的な意味なのか否定的な意味なのか――?
「まぁ、おめでとう。今日から念願の最高位だ」
「オレが最高位に……」
と、長老。
あれだけなりたかった最高位なのに、いざなってみると実感がわかない。
でも、やりたいことがたくさんあった。
まずは、民衆の前に颯爽と登場してやる。
最高位になったんだということを見せつけて、自慢してやる。
「早速だけど、注意点を言うね」
と、ケイが無慈悲に語り出す。
「きみは今後百年はその姿でルウの地出入りすることは禁止だから」
「どうして!?」
長老は呆然となる。
「最高位はね、ルウの民全員のために生きるからね、家族とか知ってる人が生きてる間はその姿を民に見せてはいけないんだよ」
「いろいろルールがあるからな。俺が教えてやるよ」
と、ロイがにこやかに言う。
「ルール?」
長老はその言葉を噛み締める。
念願の最高位になれても、なかなか思い通りにはいかなそうだ――。




