欲しい
* * *
キョウはすがるような目で、リソの腕をつかみ、「欲しい」と訴えていた。
何を? という疑問が浮かんだが、リゾはとりあえず頷いた。
まずはキョウを落ち着かせるのが大事だと思ったのだ。
「嬉しい」
キョウがつぶやくと、その目は金色に輝きはじめる。
――これは邪眼!?
キョウは、かつてレンにされたことをリゾにしようとしている。
魔力を失ったキョウにそんなことが出来るのか? 半信半疑でもあったが、リゾは逃げようとは思わなかった。
キョウを助けるためにはなんだってするし、なんだってしなきゃいけないと思っているからだ。
リゾは金色の瞳が綺麗だと思った。
目が眩むような美しさ。
ふっと、指先が冷えるような感覚に襲われる。
体中が冷え、地からが抜けていく感じ。
だんだん意識が遠くなっていくのを感じっていた。
あの時は、意識を失ったキョウをファウが支えた。
今のリゾを支えてくれる者はいない。
――それもいい、ある意味天罰。そのままレン様のもとへ……
だが、予想外のことが起きる。
リゾではなく、キョウが意識を失った。
キョウの瞳が閉じられその体が床に倒れ込む……前にリゾがその体をつかむ。
つかんだのだが、腕の感覚がなかった。
なので、リゾはキョウを胸元に引き寄せる。
そこで意識を失った。
*
「リゾ!」
キョウは必死にリゾの名前を呼んでいた。
さっきまですぐそばにいたはずなのに、気配がまったくない。
キョウはざわざわしたような不安な感覚になった。
その時、リゾの悲鳴がした。
見れば、大勢の男たちが一人のリゾを殴る蹴るしていた。
リゾはうずくまり、暴力にひたすら耐えていた。
キョウが慌てて止めに入る。
だが、それはキョウの声ではなかった。
「止めなさい」
と言ったのはレンだった。
キョウの口から、レンの言葉が出る。
というより、キョウはレンの内側から外を見ていた。
レンは死んだと聞いていた。
どうやら、ここも夢の中のようだ。




