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月色の砂漠~新最高位誕生編~  作者: チク


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怪我


 そう言い終わると、エニモスは怪我をした長老の方へ駆け出す。


 見れば、長老の部下たちが、怪我をしている長老を囲み慌てている様子だ。

 回復魔法が得意なはずのオズでは治せない怪我のようだ。

 オズよりも魔法が強いエニモスが治療魔法をかけるため魔力を集中させている。今まで戦っていたエニモスが治療魔法を施すにはそれなりの準備が必要なようで……



――長老が怪我? どういうことだ? 屋敷にいるはずの長老がなぜここに?

 ガイルには訳が分からなさすぎた。


「急いで」

 オズが促すように早口で語り掛ける。


「うむ……」

 頷くエニモスだが、もう少し時間が必要なようで……



「僕に任せてくれないかな?」

 その声に長老たちは一斉に驚く。


 リゾがキョウを連れ消えた後、長老たちが慌てている時、まさしくケイが現れたのだが長老たちは気づいていなかったらしい。


 ガイルはガイルでどう声を掛けるべきか、ケイが長老たちと一緒に行動していたのかよくわからず、結果的にただ傍観していた。



「やあ、長老、水脈を開いたんだね、お手柄じゃないか」

 ケイはにこやかに長老に近づいて来る。

 ルウ族最高位のケイが近づいて来るのだ。部下たちは長老に近づくケイのため道を開ける。


「強い魔力に惹かれてアンドロイドが来ちゃったんだね。ちょっと迂闊だったね」


「ケイ様……?」

 痛みを堪えつつ、長老は話を聞いていた。


「あの時きみが作ったあの強いナイフがあれば、アンドロイドごとき追い払えてたかもしれないね」


「ケイ様、早くお願いします」

 恐る恐る口をはさんだのはオズだった。

 オズは、ケイが長老に報復に来たかと思った。話を長引かせ治療しない魂胆なのかと思っていた。


「あぁ、そうだね。キョウ君を助けたんだったね。ご褒美に長老を最高位にしてあげるよ」

 その言葉に長老は歓喜する。ようやく長年の夢が叶う。

 だがそんなことよりも傷が痛む。にやにやしたケイの顔が妙に癪に障る――。


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